日本の営業に関する意識と実態、HubSpotの定例調査より
営業職の20代、7割が「転職や起業」前提でキャリア開始 …マネージャーはどうすべき?
2025年02月26日 08時00分更新
世代間における“生成AI活用度”にもギャップ
続いては、日本の営業組織における、「新しいテクノロジーやツールの導入状況」だ。
世代間のギャップは「生成AI」に関しても発生している。生成AIの認知率は全体で85.5%と高いが、「活用したことがある」と回答したのは28.9%にとどまった。加えて、認知率と活用率とのギャップ(認知はしているが活用したことのない人の割合)は、20代と60代で倍近く広がっていた。
テレワークについては、顧客側も対象として、営業組織の導入状況を調査。その結果、全体の導入率は49.9%から49.1%と、前年調査と比べて0.8ポイント減少した。
ただし、コロナ禍以降(2020年以降)に営業職に就いた層が所属する営業組織は、テレワーク導入率が6.3ポイント高かった。また、仕事にやりがいを感じている層が所属する営業組織も、テレワーク導入率が18.8ポイント高い。土井氏は、「テレワーク環境が、職場選びや仕事のやりがいに影響している可能性がある」と推測する。
土井氏は、生成AIの世代間ギャップについて、新しいテクノロジーの活用は避けて通れないと強調し、ギャップ解消に向けて「小さな成功体験を作り、社内の抵抗感を減らすところから始めるべき」とアドバイスした。
将来の購入意思決定者、44歳以下の需要は“多様化の一途”
最後は、「変遷する顧客の需要」だ。ここでは、インターネットの普及が飛躍的に進む前に育った45歳以上の世代と、インターネット普及期または普及後に育った44歳以下の世代(≒ミレニアル世代)を比較している。
まず、商品・サービス購入時に重視するポイントは、基本的なスペックに関わる「価格(64.9%)」「コストパフォーマンス(57.3%)」「機能(47.2%)」が上位となった。ただ、44歳以下の世代は、「セキュリティやデータの保護」「ブランドへの信頼」など、“幅広い項目を重視する”傾向がみられたという。
「どのような会社」の商品・サービスを購入したいかは、全世代共通で「信頼できる」会社が最も回答が多かった。その上で世代間でギャップが大きかったのは、45歳以上の世代は「製品の品質」を、44歳以下の世代は「データや個人情報の保護」「従業員のエンゲージメント」を重視する点だった。
商品・サービス購入時の「情報収集源」については、全世代共通で「インターネットでの検索」が最多の回答。一方、世代間のギャップが大きかったのは、44歳以下の世代で重視されている「インターネット上のクチコミやレビュー」「SNSの情報」だった。
「購買プロセス」については、全世代共通で「営業担当者からしっかりと話を聞けること(57.1%)」が最も重視され、44歳以下の世代では、「購入完了までがスピーディであること」が45歳以上と比べて10.8ポイント高かった。
ここでは、営業担当者を介さずに購入ができる「セルフサービス」を重視する回答は少なかったが、 44歳以下の58.8%は、セルフサービス自体は肯定しており、45歳以上(29.1%)と大きなギャップが生じている。
土井氏は、今後、購入の意思決定者が44歳以下の世代にシフトしていく中で、「多様なチャネルでの情報整備とセルフサービスの導線を整備していく必要がある」と提言する。加えて、セキュリティ対策やデータ保護を徹底して、製品やサービスの裏側にあるビジョンや企業文化を伝え、顧客との間に信頼や透明性を築いていくような販促活動が必要になるという。
「大切なことは、顧客は“千差万別”ということ。世代別の違いや組織内の役職や役割、1人1人の価値観の違いなど、購買意思決定の視点は無数にあり得る。今後の営業組織には、顧客に必要な情報、共感を生み出すような情報をなるべく幅広く、明確に提供した上で、“相手から選んでもらう”というスタンスが求められる」と締めくくった。







