長い時間をかけて仲良くなったところで罠にかける
偶然出会った友人から暗号資産投資のお誘いが……財産を根こそぎ奪う詐欺の恐怖
2025年01月06日 07時00分更新
・SMSなどをきっかけとする詐欺にはさまざまな亜種がある。
・特に怖いのがSNSのメッセージやSMSをきっかけにした長期間親交を深めた末に罠に落とす詐欺。偶然出会った友人を装って信頼関係を築いたうえで暗号資産投資に誘い、多額の資金を騙し取る手口。
・「ドラマのような出会い」は期待しないほうが良い。もし遭遇したら、それは詐欺師の罠の可能性大。
偶然の出会いを演出し、言葉巧みに仮想通貨投資に誘う
以前ご紹介した、SMSやSNSのDMに届く詐欺師からのメッセージには、実はさまざまな亜種が存在します。
たとえばAndroidスマホの場合、SMSに記載されているURLをタップすることで、ウイルス対策アプリに見せ掛けた不正なアプリをインストールさせる手口まで存在します。そして昨今、要注意とされているのが、長期間親交を深めた末に罠に落とす詐欺行為。現在のところ海外での事例が多いため、ピンと来ない人も多いかと思いますが、これは被害者の財産を根こそぎ奪い取る恐ろしい詐欺なのです。
これは、フィッシング詐欺のように被害者を焦らせて短時間のうちに個人情報、ひいては金銭を盗む手口とは違い、長い間インターネット越しに被害者と接触することで安心させた末に大金を騙し取る、というものです。
この詐欺はSNSなどコミュニケーションできるサービスが最初の舞台です。まず詐欺師は、「●●さん、お久しぶり! 元気でしたか」といった人違いのメッセージを被害者に送信し、偶然を装って接触します。そして言葉巧みに“珍しいアクシデントから生まれた友人・知人”となれるよう振舞うのです。
詐欺師は、親近感を醸成できるまで尻尾を出しません。ただし、メッセージのやり取りのなかで、“自分は暗号資産投資でひと財産を築いており、タイミングが良ければあなたも同じように稼げる”と誘惑することも忘れません。
そのうち、詐欺師は暗号資産投資用という触れ込みのWebサービスやアプリに被害者を誘います。この偽サービスはよくできており、あたかもユーザーたちが儲かっているかのような雰囲気を被害者に抱かせるよう設計されています。
この仕掛けに気づかない被害者がサービスに入金すると、(架空の)口座残高はぐんぐん増えていきます。さらに、口座から出金することさえできるのです。
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親交が深まったところで罠に落とす
こうした状況は、気をよくした被害者が「またとない儲け話を持ってきてくれた、気の置けない友人」の勧めに従って自己資金の大半を投入したところで終わりを迎えます。
ある日突然、投資用サービスとつながらなくなり、友人はSNSから完全に消えてしまいます。『もしかすると壮大な詐欺に引っ掛かったのでは……』と思い至ったところで後の祭りです。口座に振り込んだ資金は戻って来ません。
この詐欺を成立させるには「赤の他人が気を許すまでの長い期間、延々と友人を演じ続けられる能力」「不審に思われないWebサービスやアプリを制作・運営する技術力と資金力」などが必要なため、単独犯ではなく組織的な詐欺グループが関与していると見られています。
損得抜きの信頼関係を築いたと錯覚させて被害者に大損させるこの手口は、いわゆるロマンス詐欺の亜種とも言えるでしょう。フィクションで見掛けるドラマチックな出会いは、残念ながら現実では起こりません。もし、あなたに都合の良い出会いが生まれたなら、まず詐欺師が仕掛けた罠だと疑うべきでしょう。
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