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このマンガが(俺にとって)すごい! 第6回

読む電子ドラッグ『ハイパーインフレーション』で脳を溶かそう

2025年01月02日 15時00分更新

文● 南田/ASCII 編集●ASCII

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 マンガには「起承転結」がつきもの。しかし、毎話「転」しかないとどうでしょう? 脳内で何かがキマるのです。

1話読むだけで疲れる、全速力のドライブ感

 連載マンガは最終回という結末に向かって徐々に盛り上がるものですが、『ハイパーインフレーション』はこのお約束を完全無視。毎週のように攻守が入れ替わっては逆転につぐ逆転が続き、さらに唐突な裏切りと敵との共闘も。ストーリーが全速力すぎて、読者は完全に置き去りです。

 マンガはお約束が多いので、ストーリーもある程度予想できるものが多いですよね? しかし、まったく予想できない事態が毎週続くと、ものすごく脳が疲れることを教えてくれます。全6巻なのに、20巻以上の大作を一気読みしたような疲労感を感じるのです。

 読む側の感情のブレ幅も、脳波の乱れを疑うレベルで乱高下。基本的にはドシリアスなテーマなのですが、登場人物全員の個性というかアクが強すぎることに加えて、シリアスな場面にギャグが唐突に入るので脳がバグり、徐々に目が据わってきます。

 ストーリーのまさに山場、生きるか死ぬかの鉄火場で「ハレンチハレンチ!!」「ハレンチ警察出動だ!!」のセリフを見たときは笑い死ぬかと思いましたね。

 本作を初めて読む方には、読後感の衝撃を存分に味わってもらいたいのでキャラやストーリーの詳細説明は省きますが、とにかく作者の性癖が半ズボンの美少年と巨女ということだけは確実に伝わります。もしマンガに性癖部門があったら、トップクラスを狙えると思いますね。

「とにかくアクが強いキャラが見たい」「自分の予想を超える物語が見たい」なら『ハイパーインフレーション』でキマリです。全6巻なのに読むとものすごく疲れますが、これほど脳内麻薬を分泌できるマンガはそうそうありません。

 全速力かつ毎週激しく乱高下する極端なストーリーとギャグに捧腹絶倒しつつ、最終的に感動という感情のインフレーションで脳が溶けますよ!

ハイパーインフレーション
住吉九 (著)
全6巻(完結)

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