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ViXion、オートフォーカスアイウェア「ViXion01S」にプログラミング言語「Ruby」をIoTデバイス向けに軽量化した「mruby/c」を採用

しまねソフト研究開発センター
2024年12月13日

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しまねソフト研究開発センター
あらゆる人の「見えづらさ」を解決するため、「ViXion01S」に「mruby/c」を組み込むことで、各種機能や操作を自由にカスタマイズできる柔軟性を実現




公益財団法人しまね産業振興財団(島根県松江市、代表理事理事長:馬庭正人、以下「当財団」)は、次世代の視覚サポートデバイスを開発・提供するハードウェアスタートアップのViXion株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:南部誠一郎、以下「ViXion」)の自動でピントを調節するオートフォーカスアイウェア「ViXion01S(ヴィクシオンゼロワンエス)」に、当財団が運営する「しまねソフト研究開発センター(以下「ITOC」)」で研究開発するIoTデバイス向け開発言語「mruby/c」が採用されたことをお知らせいたします。

▍オートフォーカスアイウェア「ViXion01S」について
「ViXion01S」は自動でピントが合うことで、近くも遠くもはっきり見えるオートフォーカス機能を有するアイウェアです。「ViXion01S」はデジタルイノベーションの総合展「CEATEC 2024」の『CEATEC AWARD』でデジタル技術分野における最高峰の賞のひとつである『総務大臣賞』を受賞しています。



「ViXon01S」の詳細はこちらよりご確認いただけます。
https://vixion.jp/vixion01s-lp/

▍「mruby/c」採用の背景
ViXionでは、ViXion01Sのファームウェア開発において、ソースコードをビルドし、有線接続でFlash ROMに転送する作業を行っていました。しかし、この方法では、ビルドと転送に毎回数分を要する上、有線接続の煩雑さから試行錯誤やパラメータ調整が思うように進まないという課題がありました。
これらの課題を解決し、開発効率を向上させるため、VMを搭載した開発言語の採用が検討されました。消費メモリ容量が40KB未満と小型・軽量であることや、ViXion01Sの機能をRuby(mruby/c)スクリプトを通じて操作・カスタマイズできる点が評価され、「mruby/c」が採用されました。ViXion01Sのアプリケーション部分は全て「mruby/c」で記述されています。



▍「mruby/c」について
mruby/c(エムルビー・スラッシュ・シー)は、プログラミング言語「Ruby」の高い開発生産性と可読性の特徴を引き継ぎつつ、プログラム実行に必要なメモリ消費量がmruby(組み込み向け軽量Ruby)より少ない開発言語です。小さなワンチップマイコンでも動作するように開発しており、センサーネットワークやウェアラブルデバイスなどの小型端末のソフトウェア開発に適しています。
しまねソフト研究開発センターと国立大学法人九州工業大学(田中和明准教授)との共同研究によって開発され、オープンソースとして公開しています。
詳細はこちら:https://www.s-itoc.jp/mrubyc





▍ViXionが独自開発した「ViXion Blink」でIoTデバイス開発を高速化
さらに、ViXionの開発チームで構成される「ViXionLab」ではIoTデバイス開発における新しいファームウェアの更新技術を開発しています。従来の方法では、有線接続でファームウェア全体を書き換える必要があり、その更新のたびに数分の待ち時間が生じていました。今回開発した技術では、Bluetooth(BLE)を用いてファームウェアの必要な部分のみ高速転送・書込を実現しました。
具体的には、実機の再起動が不要でプログラムを実行している間でも、エディタ上でRubyファイル(ソースコード)を書き換えると0.1秒未満でアプリの書き換えが完了します。これにより、ユーザー体験に関わる機能開発で求められる試行錯誤を大幅に高速化し、製品の品質向上と開発期間の短縮を実現します。さらに、「mruby/c」と組み合わせることで、IoTデバイス開発における高い開発生産性と各種機能や操作を自由にカスタマイズできる柔軟性をもたらします。
なお、今回開発した技術はBluetooth(BLE)でアプリが瞬時に書き換わるため、「瞬き(=Blink)」する速さであることから「ViXion Blink」と命名して現在開発されています。





▍今後の展開について
「ViXion01S」は、2024年9月より開始したクラウドファンディングで、開始からわずか10日ほどで5,000万円の目標金額を達成するとともに2024年12月21日(土)まで継続されています。ViXionでは、クラウドファンディングの更なる成功を目指して「ViXion01S」を蔦屋家電+等の一部店舗で常設展示するとともに、全国各地での展示会や体験会を通じて体験できる機会を提供されています。
ViXionLabでは、独自開発する「ViXion Blink」の通信プロトコル標準化やリファレンス実装のオープンソース化を目指して開発が進められています。さらに、ビジュアルプログラミング環境によってユーザー自身が保有するデバイスのソフトウェアを作り、製品をカスタマイズできる機能(“Build & Blink”)の実現を予定しています。
ITOCでは、研究開発する「mruby/c」の普及発展に向けて、ViXionと協働して「mruby/c」の利活用と「ViXion Blink」をはじめとした一連の技術開発に取り組みます。また、ViXionとの協働による技術開発にあたり、Rubyの高い技術を有する島根県内企業やRubyコミュニティと共創することで、IoTデバイス開発における新たな価値創造に取り組んでまいります。これらの取り組みを通じて、ViXionとの協働が「mruby/c」を採用したIoTデバイス開発の先行事例になることを期待しています。
▍関係者コメント
ViXion株式会社
ViXion Blinkと「mruby/c」の組み合わせによる高い開発生産性により、ユーザー様の声を反映した製品づくりを加速させています。
スマートフォンアプリを介してユーザー様ご自身でViXion01SをBlinkいただくことで、操作性等を変更することにより、ひとりひとりに寄り添える製品となることを目指しています。

ViXion Blink発案者 山城 淑敬 氏 (ViXion株式会社 R&D部 マネジャー)

ITOC顧問コメント


まつもとゆきひろ氏1965年生まれ。プログラミング言語Rubyの生みの親。株式会社ネットワーク応用通信研究所フェロー。一般財団法人Rubyアソシエーション理事長、複数のIT企業の技術顧問なども兼任。島根県松江市在住。しまねソフト研究開発センター顧問。



先日、Ruby (mruby/c) VM を内蔵した ViXion01S のデモを拝見しました。ViXion01S の機能をプログラムで制御することで、各種操作を自由にカスタマイズできることと、書き換えたプログラムが即座に Bluetooth 経由でViXion01Sに送信されて有効化されることによる生産性は、無限の可能性を開きそうです。私はもともと前バージョンのViXion01ユーザーですが、カスタマイズの幅についてだけは不満を感じていました。ViXion01SがRuby処理系を内蔵したことが、ViXion社内の開発者にとっても、自由なカスタマイズを希望するユーザーにとっても、これ以上ない強力な武器になると期待しています。




塚本 昌彦 氏神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻 工学博士 / 教授
シャープ、大阪大学を経て2004年より現職。NPOウェアラブルコンピュータ研究開発機構理事長、NPO日本ウェアラブルデバイスユーザー会会長。工学博士。2001年よりHMDを日常生活で常時着用している。しまねソフト研究開発センター顧問。



mruby/cの設計において、小型軽量化するために機能を絞りすぎていないか、高い記述性というRubyの利点を損なっていないかという2点がポイントでしたが、その2点が今回の採用で立証されたものと考えます。また、mruby/cの処理系の実装においては性能や安定性が求められますが、それらについても今回実用的なレベルでの有効性が示されたものと考えます。今回をきっかけにmruby/cがより多くの製品で使われ、それらの製品でより複雑で面白い使い方を実現する上で有効に活用されていくことが期待されます。同時に、ViXionの利用者からのフィードバックによりmruby/cがさらに進化することを期待します。


▍企業情報
ViXion株式会社について
ViXion株式会社は2021年にHOYA株式会社からスピンアウトし独立したスタートアップです。「テクノロジーで人生の選択肢を拡げる」ことをパーパスとし、「見え方の能力拡張」を実現するプロダクトとソリューションを提供しています。

法人名 :ViXion株式会社
所在地 :東京都中央区日本橋堀留町一丁目4番2号 日本橋ノーススクエア8F
代表者 :代表取締役社長 南部 誠一郎
資本金 :1億円
事業内容:視覚に不自由を感じている方向け電子デバイスの開発、販売、およびソリューションの提供
設立年月:2021年1月
公益財団法人しまね産業振興財団について
公益財団法人しまね産業振興財団は、島根県の産業支援施策の実施機関であり、県内企業への中核的支援機関です。2015年10月、ITを活用する企業の支援と研究開発の拠点として「しまねソフト研究開発センター」を開設し、島根県内企業が国内外市場で売れる製品・サービスを創出・集積するために、その創出にあたっての技術的な課題を解決することを目的としています。

法人名  :公益財団法人しまね産業振興財団
所在地  :島根県松江市北陵町1番地
代表者  :代表理事理事長 馬庭 正人
資本金  :基本財産:1億4600万円
事業内容 :島根県内の中小企業に対する経営強化、起業、事業化、研究開発、販路開拓支援
設立年月日:1973年4月2日
▍本件に関するお問合せ先
公益財団法人しまね産業振興財団
しまねソフト研究開発センター(担当:渡部 / 安部)
住所:〒690-0816 島根県松江市北陵町1番地 テクノアークしまね2F
電話番号:0852-61-2225
Email:itoc@s-itoc.jp
Web:https://www.s-itoc.jp/

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