ゲームや動画編集はもちろん自分だけのAIも作れちゃう
GIGABYTE AI TOPマザーボードはなぜ超高額なのか? AI研究者にはむしろ格安と言える製品だった
2024年6月にCOMPUTEX TAIPEI 2024で発表された、ローカルPC上に自分だけのAIモデルを作成できるGIGABYTE独自ソリューションとなる「AI TOP」。自分の机でAI学習ができるようにする”Train Your Own AI On Your Desk”をコンセプトに開発されたAI TOPは、同社がこれまで手がけてきたノウハウを活かし、AI処理向けに高い性能、耐久性、信頼性を備えたマザーボードなどの製品と、用途に合わせたデータセットを使ってオフラインでAI学習をさせられるソフトウェア「AI TOP Utility」の2つから構成されている。
AI TOPシリーズに属するハードウェアは、マザーボード、ビデオカード、SSD、電源ユニットが発表されているが、根幹となるのはマザーボードになる。AI学習に特化しているだけでなく、オフラインで自分だけのAIを作れる「AI TOP Utility」のライセンスが含まれているのが最大のトピックだ。
しかしAI学習というと、ワークステーションで使うRyzen ThreadripperやXeonプロセッサー向けマザーボードを使用するのではと考えるが、GIGABYTE AI TOPシリーズには、コンシューマー向けプロセッサーのRyzen 7000/9000シリーズ、Core Ultra 200Sシリーズ向けのAI TOPマザーボードをラインアップ。実験的にAI学習を行ないたい企業から、AIを学んでみたいエンジニア、著作権などに触れずAIを使って創作したいクリエイターや、AIに興味のある個人ユースなどまで、コスト面の導入ハードルを下げつつ、自分だけのAIを作れる環境を提供している。
AI学習はクラウド上でするもので、オフラインで実行するものではないのでは? と疑問に思う人もいるだろう。たとえば、企業秘密をAIに覚えさせて新たな技術開発に役立てたい、顧客情報をAIに覚えさせて商品ターゲットを絞り込みたいなど、データをクラウドにアップするのは抵抗がある場合において、オフラインでのAI学習は効果的だ。また、AI研究者が自宅でAI学習の研究をするのにも役立つわけだ。
そんなAI TOPマザーボードの国内販売が11月からスタートしている。実売価格は「AMD X870Eチップセット」を採用したマザーボードの「X870E AORUS XTREME AI TOP」が約18万円、「インテルZ890」チップセット採用の「Z890 AI TOP」が約12万円、同じく「Z890 AORUS XTREME AI TOP」が約20万円になる。
「AORUS XTREME」シリーズは、GIGABYTEのゲーミングプラットフォームマザーボードの最上位に位置するうえ「AI TOP」に属するとあって、マザーボードとしてはぶっちぎりの価格となっている。ただし、AI学習や作ったAIを使ったクリエイティブな作業だけでなく、日常使いから写真、動画の編集、ゲーミングといった用途まで、AI学習に特化したワークステーションとしての面と、コンシューマーの面の両方を備えているのだ。
気になる「AI TOP Utility」の動作システムは、「Ubuntu 22.04.5(Linux Kernel 6.8.0-generic)」になるが、Windows 11上でLinuxを動作させられる「Windows WSL」上での動作もサポートしている。ネイティブ動作に比べると効率は下がる可能性はあるものの、AI学習と普段使いを両立できるのは魅力的だろう。
AI TOPシリーズの発売を心待ちにしていた人も多く、入荷した秋葉原のパーツショップでは、おおむね売り切れとなっている。そんな購入者たちのなかには、ゲームに特化したCPUの「Ryzen 7 9800X3D」と組み合わせたユーザーもいたようだ。
価格納得のAI TOPマザーボードを眺める
Socket AM5、LGA1851プラットフォームのAI TOPマザーボードは、シンプルな見た目となっている「GIGABYTE」と、ゲーミングプラットフォーム「AORUS」の2種類のブランドで展開している。
AI TOPマザーボードの価格は10万円台から約20万円と強烈だが、「AI TOP Utility」のラインセスだけでなく、堅牢な電源回路設計やマルチGPUのサポートなど、最高峰ギミックの搭載を考えると妥当な価格に感じる。
そこで、約18万~約20万円となる「Z890 AORUS XTREME AI TOP」と「X870E AORUS XTREME AI TOP」が普通のマザーボードとなにが違うのか、外観から眺めてみることにした。