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iPhone 16徹底特集 最新チップA18搭載でAI対応! Apple Watch/AirPodsも 第71回

【写真家レビュー】iPhone 16 Proのカメラは15からの継承 カメラコントロールは予想できない進化に期待したい

2024年11月17日 12時00分更新

文● 鹿野貴司 編集● ASCII

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iPhone 15シリーズでひと皮むけた印象だったが
iPhone 16はそれを継承したという印象

 なお、カメラ自体の話をすると、ディテールがとても豊かだというのが第一印象。iPhone 15/15 Proで“ひと皮むけた”という印象を受けたが、それを継承している。つまりまあ、大きな違いはないのだが、望遠カメラだけは別。15シリーズまでProは3倍・77mm相当、Pro Maxは5倍・120mm相当という違いがあった(ちなみに無印はなし)が、iPhone 16 Proは5倍を搭載しているのだ。

120mm相当・5倍の望遠カメラで撮影。超広角カメラやFusionカメラが48メガピクセルなのに対し、従来からの12メガピクセルのままではあるが、細部までしっかり描写している

これも5倍。街や自然の中で気になった部分をクローズアップするにはおもしろい画角だと思う

さらにデジタルズームで約16倍・400mm相当に。質感のあるような被写体ではディテールが崩れてしまうこともあるが、このようなシルエット+線で構成された写真なら劣化も気にならない

最大の25倍まで伸ばしてみるとご覧の通り。拡大するとややディテールは崩れているが、SNSへの投稿とか、LINEで送るといった用途であれば十分だと思う

iPhone 16 Proでは超広角カメラが進化し、AFにも対応
マクロがオンのときにメリットを感じる

 これまで12メガピクセルだった13mm相当の超広角カメラも、16 Pro/Pro Maxでは広角(メイン)カメラと同じ48メガピクセルになった。しかもこれまで被写界深度の深さに頼って固定だったピントが、しっかりとオートフォーカスになった。

 広い画角を撮るときはもちろん、マクロがオンのときも超広角カメラのクロップ(切り抜き)になるので、画素数の向上やオートフォーカス化の恩恵は大きい。

マクロで撮影。以前のマクロは不自然というか不必要にシャープな印象があったが、オートフォーカスの恩恵か自然な描写だ

 僕はこの画質低下がイヤでこれまでマクロをオフにしていたが、16 Proでマクロをオンにして撮った写真を見ると、まだディテールがわずかに劣るものの、普通に撮った写真と並べても違和感がなくなった。これらのスペック向上から考えると、これまでカメラ性能のためにPro Maxを選んでいたユーザーも、同じ性能で小さくて安価なProを選べる一方、Proと無印の差が少し開いた印象もある。そのあたりのラインナップの整え方がAppleはさすがだなぁと思う。

暗部の描写も代を重ねるごとにきれいになっている。ISO感度が1000まで上昇しているが、ノイズ処理が巧みになっているのだろう

色味を変える「フォトグラフスタイル」が細かく調整可能に

 色味を変える「フォトグラフスタイル」も進化。これまでは撮影前に「暖かい」「鮮やか」といった項目を選択。するとその後撮影するすべての写真にそれが適用された。つまりベースの色調を設定する機能だった。

 それがiPhone 16シリーズでは「クールローズ」「ローズゴールド」「アンバー」といった15種類のプリセットを用意。さらにグリッドでトーンと色味、スライダーで適用量を細かく選べるようになった。何より注目なのが、それを撮影後でも変更したり、元に戻すことができる……というのを僕はAppleさんから借用していた端末を返却した後で知った。一生懸命いじりながら何枚も撮ったあの苦労はなんだったんだ。

グリッドはこの位置に表示。親指でなぞる。もちろん結果はリアルタイムに反映され、なかなか楽しい

 iPhoneのカメラはこの「フォトグラフスタイル」が進化した結果、写真が見た目に近くなったように感じる。以前は撮影すると露出を変えた複数枚を同時に記録。それを重ね合わて階調差を埋めるHDRの効果が目立ちすぎていた。

 しかし「フォトグラフスタイル」での調整のしやすさを考えて、ナチュラルな仕上がりを目指すようになったのかもしれない。だから色味やトーンをどの方向に振ってもハマりやすい。このあたりのアレンジはさすがAppleだ。

 なお「フォトグラフスタイル」はiOS 18に対応している機種であれば使用可能。ということでまだ頑張ってくれている私物のiPhone 13 ProをiOS 18.1にアップデートした。が、調整はグリッドではなくスライダーのみ。グリッドが表示されるのはiPhone 16シリーズのみなのだろうか。そのあたりが確認できていないのだが、つまりはiPhone 16シリーズを買えということか。

「フォトグラフスタイル」で彩度を下げつつ、コントラストは強めに。後から適用できることを知っていたら、もっといじるべきだった

 10月28日にはiOS 18.1へのアップデートで、(英語であれば)Apple Intelligenceの初期機能が提供開始となり、今後さらにパワーアップが約束されている。

 カメラ機能についていえば、写真の検索性が向上し、アルバムの自動生成などもできるという。もちろんカメラ機能以外で進化する部分も大きく、個人的には「作文ツール」でこうした原稿の執筆を手伝ってくれないかな……とも思ったりするが、手伝うどころかそのうち仕事を食われそうな気がしないでもない。

 それはともかくApple Intelligence自体はiPhone 15 Pro/Pro Maxでも対応しているが、逆に言えば14シリーズ以前や、15でも無印のユーザーは、16シリーズに買い替える理由にはなるかもしれない。引き続きアップデートに注目したいところだ。

 

筆者紹介――鹿野貴司

 1974年東京都生まれ、多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーランスの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるかたわら、精力的にドキュメンタリーなどの作品を発表している。

 写真集に『山梨県早川町 日本一小さな町の写真館』(平凡社)など。公益社団法人日本写真家協会会員。

 

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