東日本旅客鉄道(JR東日本)は9月26日、東北新幹線で9月19日朝に発生した走行中の列車分離事故について、調査結果と今後の対策を発表した。
金属片で手動解放装置が誤作動か
本件は2024年9月19日8時7分頃、東北新幹線(古川駅〜仙台駅間)を走行中の東京行き「はやぶさ/こまち6号」で、「はやぶさ」と「こまち」の間の連結が外れ、自動ブレーキにより緊急停車したもの。事故の影響で同線は約5時間にわたり全線で運転を見合わせ、航空会社が急遽臨時便を設定するなど、各方面に大きな影響を及ぼした。
JR東日本が事故を起こした車両を調べたところ、後部(青森/秋田方)に連結されていたE6系車両(こまち6号)の運転台で、連結失敗時に手動で連結を解除するスイッチの端子付近や裏面に、複数の金属片(切りくず)を発見。検証のため、金属片をスイッチの端子に接触させてみたところ、連結を切り離す動作が再現されたという。
これを受け同社は、併結運転する新幹線車両(全形式/合計96編成)を対象とした緊急点検を実施した。結果、E6系のみ、事故当該編成以外の10編成でもスイッチ裏側に金属片が発見され、9月26日朝までに除去作業を実施している。
事故原因については、スイッチの端子が金属片により短絡し、走行中に装置が誤作動したものと推定している。金属片の出所は車両メーカーとの調査により、車両製造時に発生した切りくずの一部と見られている。
回路の無効化や仕組みの変更で対応
同社は事故防止策に関して、問題を起こしたスイッチから配線を取り外し、回路を無効化する暫定的な措置を、併結運転する全96編成を対象に順次施工する。E6系については9月27日までに、それ以外の車両についても10月末までに完了する予定だ。
恒久的な対策としては、今後、連結を解除する回路が走行中に動作しない仕組みに見直す方針を発表。こちらの実現時期は明確化されていない。
JR東日本をめぐっては、車両組立時の不正問題で9月24日から国土交通省の特別保安監査を受けるなど、9月に入って安全に関わるトラブルが続いている。同社は2028年度以降、上越新幹線で営業列車の半自動運転や回送列車の無人運転を順次導入する計画も進めており、今後、さらなる安全性向上に向けた取り組みが求められそうだ。