作家・藤原淳さん/パリジェンヌが “ありのままの自分”を愛せる理由
業界では「もっともパリジェンヌな日本人」と称された藤原淳さん。ルイ・ヴィトン パリ本社の敏腕PRディレクターとして活躍していましたが、自ら決断してキャリア生活に終止符を打ち、作家へと転身しました。日本で初めての書籍を刊行し、パリから来日した藤原さんにbrand new ME!がインタビュー。パリジェンヌのように、自分ならではの生き方を貫く秘訣とは…?
年齢なんて関係ない! 歳を重ねて魅力を増すパリジェンヌ
パリのルイ・ヴィトン本社でPRのトップを務めていた藤原淳さんは、2021年に同社を退社し、現在は作家として活動をしています。今回藤原さんが初めて日本で刊行した著書『パリジェンヌはすっぴんがお好き』(ダイヤモンド社刊)は、これまでの“おしゃれで意識高い系”パリジェンヌ観とは一味違い、“ブレない自分軸を持つ”パリジェンヌの本質に迫った一冊。歯に衣着せぬパリジェンヌたちに揉まれ、「もっともパリジェンヌな日本人」と言われるまでになった藤原さんから見て、パリジェンヌと日本女性との違いとは、どんなところにあるのでしょうか。
「フランス人も日本人も、それぞれの文化があり、どちらも素敵です。ただ、違いがあるとしたら、『人の目を気にするかどうか』という点が大きいと思いますね。パリジェンヌたちは何歳になっても、それこそ70代であってもミニスカートを履いて、思い切り肌を露出するなんて当たり前。自分の好きなファッションを思い思いに楽しんでいます。私も日本に帰ってくると、『こんな格好していいかな?』っていう感覚に戻ってしまうところはありますけど。日本人は、誰かに変に思われたらどうしよう、嫌われたらどうしよう、という意識が強い。この年齢で恋愛なんかしていいの?とか。それはちょっともったいないと思いますね。フランスに住んでいて思うのは、60代、70代、それ以上の年齢の女性たちに、とっても素敵な人が多いということ。別にそれはもともと美人とかそういうことではなく、『素敵』なんです。自分のやりたいこと、好きなことがハッキリしている。誰にどう思われようがいいや、って割り切っている。女性ひとり一人がそういう意識を持ってきたからこそ、女性の社会進出が進んでいるという面もあると思います」
パリジェンヌは絶対に自分を諦めない
日本では40代、50代になってくると、そろそろその先の現実が見えてきて、「もう年相応のおしゃれをした方がいいのかな」とか、「身の回りを整理して、無理な希望は諦めた方がいいのかな」といった気持ちになる人も多いようです。パリジェンヌは自分の人生の後半戦について、どういう意識でいるのでしょうか。
「パリジェンヌ的な生き方とは何かといったら、『本当に自分を諦めない』、これに尽きると思います。とことん自分を優先させていく潔さ。母であっても、どんな役職についていたとしても。何もかも、本当に努力をして取り組んでいる。取り組みながらも、自分が女性であることを後回しにはしません。疲れたから自分にご褒美をあげようとか、息抜きしようというふうに、ちゃんとケアをしていく。日本だと『わがまま』と言われてしまうかもしれませんが、人に気を使っていたパワー、エネルギーを自分自身にむけるようになります。パリジェンヌは、自分磨きを怠らないんです。彼女たちがこの世代になって整理すること、捨てることといえば、『体面』かもしれませんね。他人からの評価よりも、自分がどうしたいかを優先して、生き方を考えるようになっていくと思います」
40代、50代は何かをはじめるのに最適な年齢
「年齢を重ねるほどに魅力が増す」というフランス人の考え方はとても素敵ですが、日本ではエイジングがハードルになり、40代、50代から新しいことをはじめる勇気をなかなか持てないという女性も多いのが現実です。どう思われますか?
「40代、50代は、人生の折り返し地点。一番いい時じゃないですか。ひと通り、いろんな経験を経て、精神的にも熟している。何かをはじめるにはぴったりの年齢だと思います。それはもちろん、誰にでも起業や転職のような大きなことを薦めているわけではありません。会社員の方も、少し違う仕事への取り組み方をしてみるとか、副業をやってみるとか、ボランティアでもいいし、それこそSNSを使った試みなど、今はいろんなことが自由にできる時代ですから、どんな小さなステップでも踏み出す勇気を持てたらいいですよね。パリジェンヌのように、『自分は自分でいいのだ』という割り切りがあれば、きっと大丈夫。私ももうすぐ50代ですが、英語での出版もしてみたいし、オンラインサロンもやってみたい。まだまだチャレンジしたいことがたくさんあります」
Profile:藤原淳
ふじわら・じゅん/ラグジュアリーブランド・マイスター、作家(パリ在住)。東京生まれ。3~6歳の間イギリスで育ち、聖心女子学院に入学。1999年、歴代最年少のフランス政府給費留学生として、パリ政治学院に入学。卒業後、在仏日本国大使館勤務を経て、ルイ・ヴィトンのパリ本社にPRとして就職。2007年にPRマネージャーに抜擢された頃には「もっともパリジェンヌな日本人」と称されるようになる。2010年、PRディレクターに昇進。2021年に本来の夢を全うするべく退社。作家として、日本を紹介する本をフランス語で3冊出版。日本に憧れを持つフランス人向けのコンテンツをインスタグラムで発信する傍ら、ラグジュアリーブランド・マイスターとしてルイ・ヴィトンのみならず、あらゆるブランドの魅力を幅広く紹介する仕事をしている。
Instagramアカウント:@junettejapon
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誰かの役に立ちたいという思いで独立、料理を武器に夫とともに発信