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【対談後編】マカフィー栗山憲子社長×ITジャーナリスト高橋暁子氏

AIは自転車。転んだときのためにセキュリティという名のヘルメットを被れば良い

2024年12月26日 11時00分更新

文● せきゅラボ

提供: マカフィー株式会社

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中編に引き続き、マカフィー株式会社 代表取締役社長の栗山憲子さん、ITジャーナリストの高橋暁子さんによる対談をお届けします

中編はこちら

カモになるのは学生ではなく親世代

青木(マカフィー エヴァンジェリスト) 高橋さんから見て、「これがきっかけで詐欺が増えるのでは?」という物事はありますか。たとえば学生さんとSNSの関係など。

高橋 低年齢の子どもたちと中高年もSNSを利用するようになったことで被害が増えています。そして親世代より上の年齢層は情報リテラシー教育を受けていないままSNSを利用しているので、悪意ある人たちからすると学生以上に「いいカモ」なんですよね……。

 一方、若い子たちは小学校から大学――それこそ私の講義なども含めて――まで多くの学習機会があるので、意外と「(その危険性は)聞いたことあります!」という感じで、身近にリテラシー教育が存在しているんです。

―― 実際、高校生の情報の教科書ってとてもレベルが高いですよね。

高橋 そうなんですよ。我々ですら結構頑張らないといけない内容です(笑) 一方、親御さんたちはびっくりするほどLINEしか使ったことないという人たちが多いので、SNSに関する広い知識が足りていません。

 ですから、マカフィーさんにお子さん向けの製品が充実していたとしても、まず保護者側に知識があって「危ないから入れておこうと判断できる」ことが前提です。

 しかし残念ながら親御さんたちは、そのような意識はあまりお持ちではありません。そのことが被害の拡大につながっているのだろうと思っています。さらに、そういった親御さんたちが自分の親世代(高齢者)のIT利用を見守れるかと言えば……。

 結果、中途半端にお金を持っていて「老後用に投資しなければ」という意識だけある高齢者が詐欺に引っ掛かってしまっているわけです。

ITジャーナリスト/成蹊大学客員教授 高橋暁子氏

高橋暁子さん。ITジャーナリスト/成蹊大学客員教授

 SNSや情報リテラシー教育が専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育事情に詳しい。東京学芸大学卒業。東京都で小学校教諭などを経て独立、現在に至る。書籍・雑誌・Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナー、講義、委員などを手がける。

 『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『できるゼロからはじめるLINE超入門 iPhone&Android対応』(インプレス)など著作は20冊以上。

 SNSをはじめとする10代のネット利用実態とトラブル、スマホ&インターネット関連事件などをテーマとして、NHK『あさイチ』、NHK『クローズアップ 現代+』、NHK『所さん!事件ですよ』ほか、テレビ・雑誌・新聞・ラジオなどのメディア出演多数。

 全国の小中高校大学、自治体、団体、企業などを対象に毎年50回ほどの講演・セミナーを実施している。令和2年より「青少年を取り巻く有害環境対策の推進」技術審査委員会技術審査専門員(文部科学省より委託)など、省庁からの依頼も多い。

 現在せきゅラボにて、「親なら知っておきたい人気スマホアプリの裏側と安全設定」を連載中。

栗山 そんな高齢者をいかに守ってあげるかが重要です。

高橋 メディアやメーカーが情報を届けることで防げる被害はかなりあると思います。「この話、どこかで聞いたかも」と思えるだけで被害に遭わなくて済むので、知らせることが一番重要です。

栗山 単純に「買ってね」と宣伝するよりも、「最近はこんな危険があります、知ってますか? 気をつけてくださいね」と言ったほうが自分事になります。

 また、AIとコールセンター機能をあわせて、「いまスマホがこんな状態なのですが、どうしたらいいの?」といった問い合わせに、AIで答えられるようなものも作れると思います。

マカフィー株式会社 代表取締役社長 栗山憲子氏

栗山憲子氏。マカフィー株式会社 代表取締役社長

 慶応義塾大学修士課程(MBA)卒業後、1991年カナダ大手IT企業ノーテルネットワークス(旧ノーザンテレコム)入社。以後、マーケティング・営業・技術・オペレーション・戦略企画部など、多岐にわたる部門の責任者を歴任。一方、BPR日本統括として本社直轄組織改革Projectに参画、全社Diversity活動として人材育成に携わるなど、幅広い分野を経験の後、経営企画・管理本部統括として、日本初の女性取締役就任、日本経営陣として経営参画。

 その後、Dell株式会社にて日本・韓国のソリューションビジネス部門立ち上げ、トレンドマイクロ株式会社本社経営管理統括部門責任者を経て、20年以上のITキャリアからヘルスケア業界に転身。IQVIA株式会社(旧クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン)にて、Global Business Operation部門を日本統括として立ち上げ、組織・責任範囲をAsia Pacificにも拡大し、日本・アジアのビジネス成長・組織拡充に寄与。

 2019年、マカフィー株式会社常務執行役員として再びIT業界に戻り、日本におけるセキュリティービジネスの成長をISP/Teleco、PC OEM、Retailビジネスの全エリアにて支援実現。2020年、Global Channel Marketing統括として本社組織に参画、その後Japan/APAC主要パートナー統括を務め、2022年9月よりマカフィー日本総責任者として現職に至る。

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