このページの本文へ

モルフォ、イベントベースビジョンセンサーの実用化を目的としたハッカソンを開催

モルフォ
2024年09月04日

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

モルフォ
株式会社モルフォ(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:平賀 督基、東証グロース市場:3653、以下 モルフォ)は、先端のビジョンセンサーであるイベントベースビジョンセンサー(Event-based Vision Sensor、以下EVS)の実用化を目的とした社内ハッカソンを開催しました。
EVSおよびAIを提供するProphesee社のご協力のもと、EVSを活用し、日常生活での身近な課題等を解決するソリューションを開発し、有用性のあるものについては、将来的な新規事業創出を目指して、開発を継続していきます。




開催背景
EVSは人の眼が光を感じる仕組みを模した最先端のビジョンセンサーです。一定の時間間隔で画像を出力するフレームベースセンサーと異なり、各画素が一定の輝度変化を検知したときにだけイベントデータ(座標・時間・極性)を出力します。これにより、高速・低遅延、低データレート、低消費電力で変化を検知することが可能です。スマートフォン、外観検査、セキュリティ等の幅広い分野での実用化が期待され、注目度が高まっています。
モルフォは、先端技術への知見を深め、新たな発想でソリューションを生み出すことで、将来的に新規事業の創出に繋げることを狙いとして、ハッカソンを開催しました。
ハッカソンの概要
今回はエンジニアと営業が混合となった3チームにて、「アイデア実現度」、「プレゼンテーション」、「技術力」、「市場価値」、「独創性」の5つの評価基準をもとに、EVSを活用したソリューションのアイデア出し、プロトタイプ開発、デモを含めた成果発表を3か月間で行いました。
また、Prophesee社には、EVSカメラの貸与に加え、審査員としても参加いただきました。
開発したソリューション
1.[同時優勝]Optical Wireless Communication(光無線通信)
本チームでは、EVSの特長であるハイフレームレート、省エネルギーを活かして「高速なデータ読み取りに使えないか」と考え、光無線通信をテーマに設定しました。
文章等の情報を2次元の明滅パターンに変換して、ディスプレイ上で高速に明滅させます。それをEVSで撮影して情報を受信・処理することにより、リアルタイム光通信をカジュアルな環境で実行できる可能性を示しました。複雑な専用機器やネットワーク接続が不要であり、将来的なEVS活用方法として基盤技術開拓を目指してアプリケーションを開発しました。


■活用例
(1)建物内のLED照明に明滅パターンを設定し、地図情報&位置情報を持たせます。EVS搭載のスマートフォン等で照明を撮影することで、地図の取得や自己位置の把握ができます。
(2)独自の信号パターンを持った複数台のロボットが、同時に信号を送受信することにより、位置や状態を把握することができます。


■アプリケーション例:QRコードの3次元化

(左)EVS取得データ (右)EVS取得データを平行化し、デコード実行の様子


Gif:送信データ(1/60倍速)市松模様部分に文字列のバイナリ化がエンコードされている

2.[同時優勝]スマートなドア制御
本チームでは、身近な「ドア」に注目し、EVSを活用することで既存のセンサーでは難しいスマートなドア制御が実現できるのではないかと考えました。
市場調査を行う中で、「物理的な鍵を用いない施錠・解錠の需要」および「スマートな自動ドア制御に対する需要」が大きいことがわかりました。
前者においてはRGBカメラによる顔認証が普及していますが、他人の画像や3Dマスク等で突破されてしまうセキュリティ上の弱点があります。通常、顔の3D形状を認証要素に使用する多要素認証と組み合わせるなどのアプローチがとられますが、追加のセンサーの設置コスト等のトレードオフも存在します。
一方、後者の自動ドアのスマート制御においても、赤外線センサーに加えてRGBカメラを用いて「ドアの前を横に素通りする人に対しては反応しない」等のスマートな制御を行うソリューションもあります。しかし、夜間・逆光シーンや複雑な柄の床があるシーン等はRGBカメラが苦手とするうえに、動画処理が必要となる都合上、消費電力がより多く必要になってしまうリスクも存在します。
 そこで、センサーとして"EVSのみ"を用いた「セキュリティ性の高い本人認証」「公共の自動ドアのスマート開閉制御」をテーマに開発を進め、以下のデモンストレーションアプリを完成させました。
- RGBを用いないEVSによる顔認証
- 「実際の瞬き」と「モニターに映した瞬き」をEVSで判別する瞬き検知
- EVSによるOptical Flowを活用したドア開閉シミュレーション