ベッコフオートメーション株式会社
MX-Systemは機械製造における設計のあり方を大きく変える -MX-System初の導入事例:ドイツ Schirmer Maschinen GmbH社の窓枠加工機に採用
全長14メートルのシルマー社PVC窓枠前自動加工機
ベッコフオートメーション(ドイツ・フェアル)の製品や技術は、世界各国の多様な業界で活用されています。今回、ドイツの窓枠建造メーカーSchirmer Maschinen GmbH(以下、シルマー社)によるベッコフの制御盤レスの自動化システムソリューション MX-System の導入事例を公開いたします。
同社は、MX-Systemを窓枠加工システムにおいて初めて採用し、 計画、設計から設置、試運転に至る全てのプロジェクトフェーズで要件を満たしました。
シルマー社とは
窓枠やドアの建材製造は極めて高い技術を要する分野ですて。1979年に創立されたシルマー社はベッコフの最初の顧客でした。同社は、40年以上にわたりベッコフのPC制御技術を活用してきました。初めて導入された位置決めコントローラから、最新のMX-Systemまで一貫してベッコフのソリューションを採用し続けています。シルマー社のマシンコンセプトは、窓枠の種類や加工工程に合わせ、高い生産性と柔軟性を兼ね備えたユーザごとのカスタマイズマシンを、標準化モジュールをベースに開発するものです。 同社は 2016 年からベッコフオートメーション・ グループの一員となり、現在約250人の従業員を擁しています。
MX-Systemとは
制御盤レスを実現するプラグイン方式の自動化システムソリューションMX-Systemは、シルマー社のマシンコンセプトと要件に合致し、初の採用となりました。
MX-Systemとは、機械とシステム開発の歴史上初めて、完全に制御盤レスな自動化を実現するモジュール型のプラグイン式システムです。ベッコフが培ったノウハウを組み合わせ、発展させることにより誕生したMX-Systemは、ベースプレートと各種機能モジュールで構成されます。モジュールは、クロムメッキ処理が施された堅牢な金属製の筐体でIP67対応です。これらを自由に組み合わせることにより、電源供給、保護ヒューズ、モニタリングや、シーケンス制御、モータおよびアクチュエータの制御、フィールドデバイスの接続など、制御盤の全てのタスクと機能を統合します。IPC、I/O、モーション、リレーなどの各種機能モジュールを自由に選択し、特定アプリケーションに適した構成が可能です。これにより、全ての機械機能をシステムに完全に統合できます。
一般未発売品であり、発売時期は未定です。
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課題と導入によるメリット
シルマー社の機械は、多種多様な窓枠形状に対応しています。品種変更が頻繁に必要であり、切り替えプロセスは自動で行われます。2023年の実績では合計210軸のラインを導入しています。そのため、手作業でのセットアップは問題外で、多くのストッパーや取り付け金具を全自動で配置することが必要です。
2021年、同社が最初にベッコフのMX-Systemによる完全に制御盤を必要としない、自動化の可能性を耳にしたとき、即座にMX-Systemがモジュール式マシン構築にもたらす可能性を認識しました。
制御盤レスは全く新しい機械設計をもたらす
システムの背面は自動化エンジニアには特に興味深い。機械の各モジュールごとにMX-Systemベースプレートが配置され、その上に様々な機能モジュールがねじ止め、固定されている。
機械の設定および操作は、お客様専用にカスタマイズされたベッコフ製コントロールパネルを使用。
機械製造の工期と工程の最適化を目的とした新たな方向性を探るため、MX-Systemを導入した結果、以下のようなこれまで抱えていたさまざまな課題の解決に繋がりました。
・コミッショニングの簡素化:全ての電気部品を事前に組み立てることができ、組み立て済みのケーブルを使用して簡単に機械に接続が可能となった。事前組み立ての際、あらゆる方向から自由に機械モジュールにアクセスでき、ケーブル敷設や接続が非常に簡潔になった。
・部品点数および配線工数の削減:従来の制御盤設計で一般的なサブコンポーネントの複雑な配線が不要になり、配線ミスの防止、部品の合理化を実現した。MX-Systemのべースプレートとモジュール、組み立て済みのシステムケーブルをセット部品とし、電気設計後に、即座に倉庫からピッキングし、事前組み立てができるようになった。最終段階での変更要求さえも、実装は格段に簡単で、工数も最小限で可能となった。
・メンテナンス工数の低減:モジュール式のため部分的に試運転を実施することでて、機能エラーを早期発見し、時間的なプレッシャーなしに修正可能となった。
エンドユーザへの迅速かつ効率的な対応
シルマー社の工場では、最終組み立て段階で機械が大きな面積を専有します。そのため、後続する機械にスペースを確保するため、最終工程を迅速に進める必要がありました。
今回、上流工程、特に電気部分の取り付けと部分的な試運転によりダウンタイムを大幅に削減し、工場のスペース利用効率を大きく向上させました。同じ敷地面積でより多くのシステムを組み立て、 検査、納入が可能となったのです。
同時に、輸出向け製品が75%を占めるシルマー社では、ユニバーサルな自動化ソリューションを使用することも重要な側面です。これまでは、電気設計や資材調達の際に最終納入地を考慮して部品選定する必要がありました。しかし、MX-System はIEC、UL、CSAに準拠しているため、時間のかかる選定や部品変更をすることなく、世界中で使用できます。これは、従来の制御盤の状況とは対照的で、シルマー社の標準化レベルをさらに高めるものです。
制御盤レスは、MX-Systemは、エンドユーザにも実質的なメリットをもたらします。
特に、機械構造へのアクセスのしやすさや、制御盤が不要になることによるスペースの削減が挙げられます。例えば、避難経路の要件に違反することなく、生産設備の貴重なスペースを最適化し、機械同士を密接に配置することが可能です。部品点数が10分の1に削減されたことで、予備品倉庫の規模も縮小されました。
順調なスタートをきった制御盤レスの自動化システム
ベッコフのMX-System採用により、シルマー社では、プロセスチェーン全体で最適化が進みました。従来の制御盤設計では、通常2~3週間かかっていた組み立て時間が数時間に短縮され、電気設計の工数は50%削減されました。同社では、最終組立段階でのダウンタイムの大幅な削減も期待していると言います。
詳細事例は以下をご参照下さい。
https://45708096.hs-sites.com/hubfs/45708096/PCC_01_2024_EN_V4_Schirmer_JP.pdf?hsLang=ja
シルマー社:www.schirmer-maschinen.com
MX-System: https://www.beckhoff.com/ja-jp/products/mx-system/