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第1回 故郷でキッチンカーを開業したい! アラフィフからの新たな挑戦

イラストレーターと二足の草鞋! 移住×キッチンカー開業というダブルのライフシフト

文●杉山幸恵

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 雑誌や書籍、WEBでイラストや漫画を手がけ、コミックエッセイ「ばあさんとの愛しき日々」などの著書や、家族とのエピソードをつづるブログ「あっけらかん」も好評のなとみみわさん。23年3月に母の近くに住もうと出身地である石川県へ東京から移住、さらには一人息子と共にキッチンカーにチャレンジするという。イラストレーターとしての仕事も精力的にこなしながら、24年9月より営業をスタートすべく奔走する彼女に、今回のライフシフトについて話を聞いてみた。キッチンカーを始めることになった経緯から準備中のあれこれ、そして始動にいたるまでを3回にわたって紹介する。

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生まれ故郷である能登が大きな被害を…被災地でキッチンカーができたら!

 なとみみわさんがブログでもおなじみの息子・ブルースくん、愛犬・りくと一緒に、石川県の金沢市近くに移り住んだのは23年3月のこと。53歳にして、住み慣れた東京を離れることにしたのはなぜだったのだろうか。

 「花の都に憧れて18歳で石川県から上京し、それから35年間東京で生活しましたが、家賃も高いし、フリーランスだし、正直しんどいな〜と感じていたんです。ある日ケアハウスに入居している母が施設を出て、姉夫婦と同居するという話を聞きまして。母と暮らすのもこれが最後かも…ということで、思い切って石川県に帰ろうと。金沢市から程近い姉の家の近くに部屋を借りて、一人息子と愛犬と移り住んだのですが、結局母は施設から出てこない。〝同居するする詐欺〟に引っ掛かってしまいました(笑)」


愛犬であるジャックラッセルテリアのりくちゃんも一緒にお引越し

 移住をして迎えた初めての正月、なとみさんは息子、愛犬と共に富山県に向かっている途中、石川県を中心に大地震が発生したことを知る。自身の住まいをはじめ、母親も姉夫婦もみんな無事ではあったが、故郷である能登の被害は甚大だった。その時の様子をブログでも「親戚や同級生が家の倒壊、半壊、ガラスや食器が割れてとても危険で家の中にはいれず、車中泊、避難所で過ごしています。本当にきついと、言っています」とつづっている。その後、能登へと足を運び、生まれ育った家が倒壊を免れたのを確認できたそう。

 「久しぶりに帰った故郷で、久しぶりに見るお祭り、優しく迎えてくれる年老いた親戚、相変わらずな同級生、寂しそうな実家、懐かしい町並みを見て一気に故郷が恋しくなり。実家をリフォームして、能登に移住することにしました」

 すでに誰も住んでいなかったというなとみさんの実家はやや古く、特にキッチンや浴室、トイレなど水回りは手を加える必要があるということで現在リフォームが進行中。そして、そんな能登への移住と共に決意したのが、かねてからの夢だったというキッチンカーの営業だ。

 「以前から、車で日本中を旅したいな〜、でもスナックもやりたいな〜という夢があったんです。だったら、旅するスナックでもいいんじゃない?と(笑)。将来はキッチンカー『スナックなとみん』をしたいんだと息子に話したら、調理師の免許を持っている彼も『やりたい!』となって。昼は息子が、夜は母がという2部構成でやろうと話がどんどん進んでいきました。また、能登の地震のこともあって、キッチンカーがあったら何かと役にたつかもしれないと思い、まずは車両を購入することにしたんです

 息子のブルースくんが好きな芸人がキッチンカー営業をしており、埼玉県・美女木にあるオリジナルキッチンカー製作会社「ビーステージ」で車両を購入したという話をキャッチ。現地まで行き、2回目の訪問で早くもキッチンカーの購入を決めたそう。<

 「購入したのが2月11日で、偶然にも私の54歳の誕生日でした(笑)。今、内装が完成した状態で、このあと外装など進めてもらい、納車は8月末の予定です。並行して営業許可やいろいろと手続きがあるのですが、そのあたりは息子とキッチンカー屋さんにお任せしています」

フレンチカスタムのキッチンカーを購入。写真はまだ未塗装時のもので、ここから手が加えられていく

6月下旬には内装が完成した

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