欧州の当局が、X(旧Twitter)の認証サービスは、EUの法律に違反しているとの見解を公表した。
イーロン・マスク氏が旧Twitterを買収し、2023年7月に名称をXに変更するとともに、アカウントを認証するサービスをはじめた。XのSNS空間には、著名人や政治家、大企業などを名乗る「なりすまし」アカウントが大量に存在する。なりすましへの対策として、企業や著名人は月々の料金を支払うことで、「公式」のアカウントを運用できるサービスだが、このサービスがEUの法律では問題になり得るというのが、EU当局のスタンスだ。
EUはXに対し、デジタル・サービス法という2023年8月に段階的な施行がはじまった新しい法律の適用を目指している。EUが2024年7月12日に公表した見解では、Xの「認証済みアカウント」について「利用者を欺いている」という強い言葉で批判している。EUの当局は、何が問題だと考えているのだろうか。
「認証済みアカウント」とは
現在のXの有料サービスには、「ベーシック」「プレミアム」「プレミアムプラス」の3つのレベルが用意されている。月額の料金は2024年7月15日の時点で以下のように設定されている(日本国内の場合)。
・ベーシック:368円
・プレミアム:980円
・プレミアムプラス:1960円
各レベルの課金サービスには、ツイート後1時間以内は内容を編集できるようになるなどの機能が用意されているが、ここでは詳しく触れない。Xの課金ユーザーは、以下の要件を満たすと「認証済みアカウント」の青いチェックマークが付与される。
・表示名とプロフィール画像が設定されている
・過去30日間、アカウントがアクティブである
・確認済みの電話番号が登録されている
・にせ情報を流布している兆候が見られない
短時間だが検索してみたところ、イーロン・マスク氏は当然ながら青いチェックマークがついていた。トランプ元大統領のアカウントには青いチェックマークがついていたが、バイデン大統領のアカウントにはついていなかった。
日本の政治家はどうだろうか。小池百合子・東京都知事や河野太郎・デジタル大臣のアカウントは青いチェックがついていたが、岸田文雄首相のアカウントには灰色のチェックマークがついていた。灰色のチェックマークはX側の認証は受けていないものの、有力な政治家などに付けられる。このほか、金色のチェックマークがあるが、これは公的な団体や企業などに付けられるマークだ。SoftBankや乃木坂46の公式アカウントに金色のマークがついていた。
認証の厳格さと課金の両立は困難
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