KDDIは、5Gサービスの中でも特に大容量・高速通信を可能にするサブ6エリアを拡大する作業を今年4~5月にかけて実施。特に関東圏では約2.8倍になったと発表した。
5G本来の高速大容量を実現できる基地局数で4キャリア中最多
通信衛星との干渉が今年3月になくなり、関東圏で出力アップ
同社では、5Gサービスを開始した2020年から4年を導入期、2024年以降を普及期と位置づけて、当初は4Gから転換した比較的電波が飛びやすい周波数で面でのエリアを拡大、その一方で、5G専用の広帯域で高速なサブ6(KDDIは3.7GHz帯、4GHz帯)についても、MNO4社の中で最も多い約3.9万局の基地局を2023年度末までに開設してきた。
一方で、このサブ6の周波数は通信衛星の事業者(スカパーJSAT)が地上にある地球局との通信に用いており、特に地球局が多く設置されている関東圏では、干渉を防ぐために出力を制限する必要があり、本来の性能を出すことができなかった。しかし、地球局を移設するなど通信衛星の事業者との協力で、この2024年3月末に制限が解除。ついに関東圏でもサブ6基地局の本来の性能を出すことができるようになったわけだ(このメリット自体は4社で共通)。
KDDIでは、4~5月にかけて基地局の出力を本来のものにすることを完了。首都圏でのサブ6のエリアが2倍に。また、干渉を防ぐために下に向けるなどしていたアンテナ角度をリモート操作で最適化する作業を進めたことで、2.8倍にまで達したとする。
サブ6の周波数を2つ持っているのはドコモとKDDIだけ
2つの周波数を組み合わせて、さらなる高速化を予定
基地局数だけでなく、サブ6ではKDDIにもう1点強みがある。サブ6の周波数は100MHz幅を1ブロックとして、MNO4社に周波数が割り当てられているが、4社のうち2ブロックを割り当てられているのはドコモ(3.6GHz帯と4.5GHz帯)とKDDIの2社(ソフトバンクと楽天モバイルは1ブロック)。当然ながら通信容量自体に余裕があるというわけだ。
しかもKDDIは比較的近い周波数で2ブロック割り当てられており、キャリアアグリゲーションによる高速化が比較的容易。今年度内には国内初の2周波数対応の装置を導入して、超高速5Gの世界を実現するとする。