イオンリテールは5月7日、過去の販売データに基づきAIが適切な値引き率を提示する値引き支援システム「AIカカク」の適用範囲を拡大することを発表した。
AIカカクは、販売実績や天候・客数などの環境条件を学習したAIが“その日その時”の需要を予測し、バーコードで読み取った商品情報と陳列数をもとに適切な割引率を提示するシステム。データに裏付けされた価格で販売することで、導入前に比べロス率が1割以上低減しているほか、値引きや売り切り業務に関わる教育時間も低減しているという。
同社は2020年、デジタル化の一環としてAIによる需要予測に本格的に着手し、2021年にAIカカクを総菜部門で実装。2022年には日配品(消費期限が短い食品)の一部に適用拡大しており、今回新たに畜産部門と水産部門に拡大する。
生鮮部門への拡大にあたり、部門ごとの販売特性や値引きによる売れ方の変化などを細やかに分析し、店舗特性も考慮しさまざまなチューニングを施している。これにより、適用品目数はおよそ1200品目と、これまでのおよそ1.5倍に拡大する。導入店舗は、イオンリテールが運営するおよそ380店舗。
また、同社が2023年に導入した需要予測・発注システム「AIオーダー」についても、6月に適用範囲を拡大する。
新たに対象となるのは、日配品の漬物やチルド飲料、チーズ、ハムといった商品と、デリカの冷総菜やサラダで、品目数としては従来のおよそ2倍に増やす。発注にかかる時間が半減され、入荷整理や品出しをはじめ、在庫管理、値引き、発注修正などあらゆる業務負荷が減り、大きな生産性向上につながるという。