ASUSは4月19日、PCパーツの新シリーズ「Back-To-the-Future(BTF)」シリーズの国内発売を発表した。本シリーズは、PCパーツのケーブルコネクターを裏側に置くことで、表側から見えるケーブルを最低限にするというコンセプトの製品だ。
現在のPCケースではマザーボードの裏のスペースを仕切って裏配線することで、電源ユニットから伸びるケーブルを極力表側から見えないようにする設計が主流になっている。特に最近では、ガラスサイドパネルを採用してパーツを美しく見せるというトレンドもあり、いかに配線を美しくできるかは重要になっている。
今回のBTFシリーズは、そんな配線の世界に一石を投じるものと言える。昨年の「COMPUTEX TAIPEI 2023」でも一部の製品が参考出展されていたが、今回日本で製品化が発表された形となる。
今回発表された新製品は、全部で9種類。マザーボードが4種類、ビデオカードが2種類、PCケースが3種類だ。PCケースの1種類を除いて、発売日は4月26日を予定している。
製品名 | 分類 | 発売日 |
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TUF GAMING Z790-BTF WIFI | マザーボード | 4月26日 |
TUF GAMING B760M-BTF WIFI | マザーボード | 4月26日 |
TUF GAMING B760M-BTF WIFI D4 | マザーボード | 4月26日 |
ROG MAXIMUS Z790 HERO BTF | マザーボード | 4月26日 |
TUF-RTX4070TIS-O16G-BTF-WHITE-GAMING | ビデオカード | 4月26日 |
ROG-STRIX-RTX4090-O24G-BTF-GAMING | ビデオカード | 4月26日 |
TUF Gaming GT302 ARGB Black | PCケース | 4月26日 |
TUF Gaming GT302 ARGB White | PCケース | 4月26日 |
ROG Hyperion GR701 BTF Edition | PCケース | 5月予定 |
まずマザーボードについて、TUF Gamingシリーズから登場したのが「TUF GAMING Z790-BTF WIFI」「TUF GAMING B760M-BTF WIFI」「TUF GAMING B760M-BTF WIFI D4」の3製品となる。
TUF GAMING Z790-BTF WIFIは、チップセットにZ790を搭載したATXマザーボードで、近年のトレンドといえるホワイトカラーのデザインを採用している。M.2 SSDスロットは3基で、大型のヒートシンクを搭載しており、冷却効果も期待できる。
前述の通り、最大の特徴は背面に搭載されたコネクター類だ。ATXの24ピンや、CPU補助電源、LEDヘッダーやUSB、SATAといったコネクターまで、従来のマザーボードと異なり背面に搭載されている。
今までのマザーボードのコネクターは表にあったため、裏配線のスペースを経由するとはいえ、最終的にはケーブルをわざわざ表側に引き出して接続する必要があった。そのため、硬いケーブルをグイっと折り曲げて挿すのが大変だったり、見た目がゴチャゴチャしてしまったりしたが、背面コネクターによってこうした点を改善できる。
なお、CPUファン/ケースファンのヘッダーは表面にも搭載されているが、これは簡易水冷CPUクーラーのポンプから出たケーブルの長さが足りないなど、配線がシビアな場合に使うものだ。ケーブルが届く場合は、背面のCPU OPTヘッダーに接続しても動作する。
また、他にも特徴的な点として、PCI-Express補助電源用のコネクターがマザーボードに搭載されているのも注目だ。TUF GAMING Z790-BTF WIFIの場合、8ピン×3と、12V-2x6のコネクターを搭載している。
ビデオカードによく搭載されているこれらの端子だが、今回マザーボードに搭載されているのは、BTFシリーズの特徴となる「Graphics Card High-Power slot」によるものだ。
Graphics Card High-Power slotは、PCI-Expressスロットの横に配置されている端子で、対応したBTFシリーズのビデオカードなら、この端子から最大600Wの電力を供給できる。近年のハイパワーなビデオカードも、マザーボードから直に電力供給ができることで、PCI-Express補助電源用のケーブルを表に出す必要がなくなるということだ。
なお、Graphics Card High-Power slotに対応していない従来のビデオカードでも、このマザーボードに接続することは可能だ。その場合は通常通り補助電源のケーブルを回すことになる。
また、TUF Gamingシリーズでは、他にもB760チップセットでMicro-ATXのTUF GAMING B760M-BTF WIFI、TUF GAMING B760M-BTF WIFI D4を発売予定だ。両者の主な違いは対応メモリーで、前者がDDR5、後者がDDR4対応となる。
なお、TUF GAMING B760M-BTF WIFI、TUF GAMING B760M-BTF WIFI D4は前面のCPUファン/ケースファンのヘッダーが無い他、Graphics Card High-Power slotも搭載していない。とはいえ、より安価に背面コネクターのマザーボードを購入したい場合は、こちらも選択肢になるだろう。
また、ROGの「ROG MAXIMUS Z790 HERO BTF」もBTFシリーズに追加された。ゲーミングらしいライティングパネルなどのデザインや、ハイエンドのスペックを求める人のための製品となる。
TUF GAMING Z790-BTF WIFIにも搭載されていたGraphics Card High-Power slotや、表のCPUファン/ケースファンヘッダーなどをこちらも搭載している他、新機能の「PCIe Slot Q-Release Slim」も注目だ。
ASUS製の一部マザーボードは、従来からPCIe Slot Q-Releaseという機能を搭載しており、ビデオカードのロックを押しやすい位置にあるボタンで外せるようになっていた。この機能はTUF GAMING Z790-BTF WIFIにも搭載されている。
一方のPCIe Slot Q-Release“Slim”は、ビデオカードをラッチ側に傾けるだけでロックが外れるようになっており、より楽にビデオカードを取り外せるようになっている。