増え続けるAlexa対応デバイスはこの製品で管理だ
Amazonが昨秋の9月に発表した「Echo Hub」の国内出荷がついに始まる。
Echo Hubはスマート家電のコントロールに特化した新カテゴリーのEcho端末。もともと、音声操作できるスマートスピーカーとして始まったEchoシリーズは、ディスプレー付きのEcho Showなどが追加され、スマート家電との連携機能も強化されてきた。米国ではAlexaでつながるデバイスが20台を超えるような家庭も増えてきているという。Alexa対応機器がここまで広がれば、Echo Hubのような機器が求められるのも必然だろう。
既発売の「Echo Show 15」やテレビと接続して使う“Fire TV”シリーズにもスマートデバイスをコントロールするためのUI(スマートホームダッシュボード)が備わっていたが、機能を特化させたEcho Hubは、よりシンプルな使い勝手になるのが特徴だ。本体には壁掛け用の金具も付属しており、電源コンセントに近いリビングやキッチン、あるいは廊下の壁などに設置して使うと便利だ。
8型でタッチ対応、カメラは内蔵せず
Echo Hubの機能について簡単に触れておこう。スマートデバイスのコントロールに特化……と書いたが、実際はAlexaのボイスコントロールや各種スキル、定型アクションなど、ほかのEcho端末と概ね同じ機能が使えるようになっている。
具体的にはAmazon Musicの音楽やネットラジオを聴く、天気や時刻を知る、タイマーを使うといった具合。様々な操作が可能だ。逆に、Echo Showシリーズとの違いは、カメラを内蔵していないこと。そのため、ビデオ付きの通話は利用できない。また、ほかのEcho製品ほど音質や画質を重視していない。
ディスプレーサイズは8型でタッチ操作に対応。上部にステレオスピーカー、下側にマイクがある。右側面には音量の調節とマイクをミュートするためのボタンを用意。電源入力(USB Type-C端子)は背面にある。付属のACアダプターのほか、市販のUSB Power Delivery対応の12W(5V/2.4A)または27W(9V/3A)アダプターも利用できる。壁掛けで利用するのが基本なのか、パッケージにスタンドなどは付属しない。取り付け金具は壁にネジで留めるタイプのものだ。設置時は背面にUSB端子が隠れる。付属の電源ケーブルは1.8mと長めだが、本体背面のくぼみに巻き付けて長さを調節できる。
本体サイズは幅202×奥行き15×高さ137mm、重量は365g。Wi-Fi(IEEE 802.11ac)は5GHzと2.4GHzのデュアルバンド対応。Bluetoothの送信/受信機能、Bluetooth Low Energy Mesh、Zigbee、Thread、Matter、PoE(USB Cコンバーターが別途必要)などに対応している。
SoCは、MediaTekの「MT8169A」。OSは非公開だが、少なくともUIや背景画像は本機のために刷新したものだという。
普段は時計と画像、人が近づくとダッシュボードを表示
使い勝手は非常にシンプル。人感センサーを内蔵しており、設置した場所に人が近づくと、時計が表示された壁紙から、スマートホームダッシュボードの画面に自動で切り替わる仕組みだ。Echo Hubはスマート家電の総合リモコン的なデバイスだが、メニュー構成も整理されており、多くの機器がつながっている状況でも分かりやすい。
セキュリティーカメラのRingを利用している人は、画面を4分割して各カメラがとらえた映像を一覧表示できるが、感覚としては大き目のインターフォンを使うのに近いかもしれない。
Ringのドアベルやスマートロックを導入しているのであれば、全画面表示して応対し、玄関のカギを開けるといった使い方も可能だ。なお、Ringデバイスとの接続時は“スナップショット機能”が利用できる。これは外付けカメラで撮影した画像をEcho Hubで常時表示するものだ。一方、Echo Hubは接続しているカメラのライブ映像も表示できる。こちらはRingに限らず、ほかのAlexa対応カメラも対応している。
ホーム画面のお気に入りには、よく使うデバイスのスイッチや定型アクションを並べられクイックに操作できる。その左側にはキッチン、リビング……などスマート家電を設置している場所が並んでいて、特定の部屋に置いている機器を見つけやすくなっている。また、下側には接続されているデバイスが種類別に並ぶ。照明など複数の部屋に置いてあるデバイスを一括して消灯するといったことも簡単だ。
特定のグループや複数の機器の一括操作は、Alexaを使った音声操作でも「○○の部屋のライトを消して/付けて」といった言葉で指示できる。しかし、コントロールする家電が増えれば増えるほど、一覧表示された状態でタッチ操作できたほうが便利なはずだ。また、定型アクションも設定した数が少ないうちは記憶しやすいが、数が増えてくると正確な名前を思い出しにくくなる。これは自分だけでなく、Echoにやや不慣れな家族がいる場合に嬉しい。直観的に使えるEcho Hubの恩恵を受けやすいだろう。
また、一ヵ所から家全体のスマート家電を操作できるのは、キッチンやリビングから消し忘れた照明やテレビ、冷暖房機器といった家電の電源を落とせて急いで外出したいときに便利だ。プライバシーを意識する年ごろの子供がいる親は、子供部屋に入らずに操作が完結して助かると感じるかもしれない。
Alexaでスマート家電を利用する利点のひとつに“定型アクション”の利用がある。
定型アクションはスマホのAlexaアプリから作るのが簡単だ。「アレクサ、寝る!」などと話しかけたら、部屋の照明を落とし、寝付きやすい自然の音などを再生し、1時間後に音を止め、さらに7時間後にアラームを鳴らして目覚めるといった設定ができる。言葉で話す場合は、言い間違いをしにくい、簡潔なワードにしたほうがいいが、文字を視認するEcho Hubでは内容が分かりやすいものに設定することもできる。また、扇風機など単純なオン/オフで済むデバイスについては「Amazon Smart Plug」などを併用するといい。
Echo HubやAlexaの定型アクションをどう使うかはアイデア次第である。Amazonの説明では、Amazonに置けるAlexa対応スマートホーム製品の取り扱い数は2019年から2023年の間に4倍以上に増え、Echoと連携させている人の数も7倍に増えているという。昨年のブラックフライデーでも、売れ筋ランキングの上位をスマートホーム製品が占めた。
筆者の自宅もなんやかんやで、Alexa対応デバイスだらけになっている。Amazon自らスマート家電を管理できる端末を出してくれたことが嬉しいし、この機会に複数の機器を効果的に連携して使えるよう、整理して活用してみようと思っている。
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