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USB-C搭載、Proはチタンで軽量化! iPhone 15徹底大特集 第99回

【レビュー】人々はなぜApple Watchを買うのか? 機械式時計ユーザーが体験した違い

2024年01月04日 12時00分更新

文● 鹿野貴司 写真●鹿野貴司 編集●飯島恵里子/ASCII

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画面が小さいのでスクリーンショットも一部になってしまったが、「設定→一般→向き」で左右を変更できる。デジタルクラウンの左右とともに、腕の左右も選択する必要があるのは、腕の動きやデジタルクラウンの向きが関係するため

独自OSゆえにデバイス間の連携が手軽
かつ時計としてのベーシックな部分も練られている

 地味だけどもっともApple Watch Series 9の良さを感じたのは、タッチへの反応や表示の見やすさといった、基本的なクオリティの高さだ。小さなアイコンを人差し指で突くと、きちんと目的のアプリが立ち上がるし、フリック入力もiPhoneほど快適ではないものの確実に文字が入力できる。Smart Band 7はタッチへの反応がいまひとつで、ストレスを感じることも多かった。身に着けて使うだけに、こうした使い心地のちょっとした違いが、満足度において大きな差になるはず。そこに10倍以上の価格差を認めるかは人それぞれだが、5年以上は使うと考えれば、決して高くはないと思う。

 通知や表示、操作に関して驚くほど細かくカスタマイズできる点も、Smart Band 7やその他のスマートウォッチと大きく違う点かもしれない。ここは母艦となるスマホ(iPhone)も独自OSで、デバイス間の連携がしやすいアップル製品の利点だと思うが、一方で時計としてのベーシックな部分もよく考えられている。

 たとえば僕は左利きだが、どの腕時計もリュウズが右に配置されているので、今まで左腕に装着してきた。しかしApple Watch Series 9では人差し指で画面を操作するため、左利きなら右腕に装着したほうが使いやすい。そこで左右どちらの腕に装着してもデジタルクラウン(リュウズ)やプッシュボタンが腕の先側にくるよう、表示を上下逆さまにできるのだ。自動改札のタッチ画面も右側なので、右腕に装着するメリットは大きい。

バンドの脱着も簡単。Amazonで検索すると、多種多様なバンドが存在する。バンド沼に注意

 と使い始めて早々、左腕から右腕へポジションが移ったApple Watch Series 9だが、僕のワイシャツは腕時計が収まるようすべて左の袖口をゆったりと仕立ててある。先日かしこまった仕事でそのワイシャツを着たのだが、「画面とバンドをささっと左腕仕様に変更」と思っいNikeスポーツループを本体から外したら、上下がほぼ関係なくてそのまま左腕に巻き直せばよいことに気付いた。とまあ、それくらいフレキシブルなのである。

 一方購入前に懸念したのが、これまで使ってきたガーミンやSmart Band 7に比べて、Apple Watch Series 9は圧倒的にバッテリーが持たない(公称18時間)こと。これまでApple Watchを欲しいと思わなかった理由でもある。常時装着する前提のデバイスなのに、バッテリーが丸一日持たないというのは使い勝手が悪いのではないか……。そう考えていたのだが、充電時間は速いので(約45分で0→80%、約75分で0→100%)タイミングを見て充電すればいい。僕は入浴→夕食の間に充電して、就寝前に100%の状態で装着。睡眠状態の監視で、朝起きると残量はだいたい85%ほど。日中は表示が「常にオン」で、途中1時間ほどランニングをしても、丸1日経って40%ほどバッテリーが残っている。低電力モードにすれば1泊2日の出張でも余裕で持つだろう。

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 街でApple Watchを装着している人を観察すると、ほとんどは低電力モードで画面が真っ黒。僕はせっかちで文字盤がすぐ見えないのが嫌なのと、撮影現場では周囲に気遣ってコソッと時間を確認することも多いので(それが腕時計が欠かせない理由でもある)、前述のように画面は「常にオン」にしている。後者のケースは会議や商談でもよくあると思うが、どのデザインも明暗の切り替わりが洗練されており、暗転時かつ横目でも針や数字がしっかりと見える。Smart Band 7は文字盤のデザインこそ豊富だが、暗転時は簡易的な別デザインに変わるものが多く、切り替わりがとても煩わしい。ただApple Watchはコンサバティブか大味なデザインが多く、この点は遊び心のあるデザインが充実したSmart Band 7を見習ってほしいと思う。

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