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生成AIと教育の課題と可能性/18歳成人化から1年で何が起きた?
2023年のSNSと子どもを振り返る【後編】~Twitter変貌、生成AI、法律改正
2024年01月02日 09時30分更新
2024年が始まったが、今年を占う意味でも、昨年起きたネット・SNS周りの出来事を振り返りたいと思う。前編とあわせてご覧いただきたい。
■どうなる、X■
2023年は、X(Twitter)が何かとメディアを賑わした年だった。イーロン・マスク氏による買収後は大幅な人員削減が実施され、やがてデマやヘイトが増加。それまで主な収入源だった広告による収入は最大50%減少したと言われている。
本人確認済みの証だった青い認証マークは、有料サービス・Xプレミアム加入者のアカウントに付くものとなった。有料化テストも始まっており、今後は有料サービスになる可能性があるという。
機能改変が続き、サービスの不安定さや先行き不透明なことを不安視するユーザーたちによる乗り換え騒ぎも起きた。乗り換え先候補として、メタのThreadsや元Twitter社員によるBlueskyなども人気となったが、結局、まだXに残っている人も多い。
次々と新しい機能が搭載され別物となりつつあるXが今後どうなるのか、今年も要注目だ。
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■生成AIの可能性と課題■
昨年は、ChatGPTをはじめとする生成AIの年だった。文章の作成や要約、アイデア出し、プログラミングコード作成、画像作成などに安価に使えるうえ、その性能の高さに驚いた人は多かったのではないか。
一方で、生成AIによって職が奪われる問題も起きている。すでに海外ではコンテンツ制作の分野や保険業などでAIが原因と見られる人員整理が起きているようで、ストライキをはじめ俳優・声優などによる権利を守るための活動も続いている。また、生成AIによって誤情報が容易に作れるようになり、デマや詐欺などのリスクも高まっている。
生成AIが学習のために使うデータの著作権や個人情報、機密情報の流出も問題視されている。提示されるものは必ずしも正しいわけではなく、利用を不安視する人も少なくない。子どもたちが夏休みの宿題や作文などを自分でやらず、生成AIを使ってしまうことも問題視され、文部科学省からガイドラインも発表された。
人口減少するなかで業務効率化し、生産性を高める意味でも、生成AI活用は大切だ。さまざまな課題に対する法規制などの話し合いも続いている。生成AIが今後どうなっていくのか、我々はどう向き合うべきなのかについて、今年も注目していきたい。
■法律改正で起きる変化
法律の改正によって変化も起きている。
たとえば民法の一部を改正したことで成年が18歳となって1年経ったが、18~19歳の消費者トラブルが増加している。
以前なら、未成年者取消権によって保護者の同意を得ない契約は取り消すことができたが、現在は契約が成立して支払いの義務が生じるようになった。その結果、消費者経験の乏しいこの年代の若者を狙って詐欺まがいの契約などが実行されているのだ。
この年代の特徴として、「美」と「金」に関する消費者トラブルが特に多い。借金してまで契約しないこと、契約前に保護者など身近な成人に相談することがおすすめだ。
また昨年10月より、ステルスマーケティング、通称「ステマ」は景品表示法違反となっている。広告・宣伝であることを隠し、中立の立場を装い、消費者に対してSNSなどで宣伝する行為は違法行為となったのだ。広告宣伝は、「#広告」「#PR」などを付与する必要がある。処罰の対象となるのは事業者であり、インフルエンサーなどは対象外だ。
インフルエンサーの4割がステマ依頼を受けたことがあるという調査結果もある。広告であることを隠したほうが宣伝効果は高いことから、企業からのステマ依頼が横行していたのだ。今後、違反した場合は措置命令が出されることになる。過去の投稿などでも、現在も見られる状態ならば規制対象となるので注意が必要だ。
誹謗中傷が問題となり侮辱罪が厳罰化するなど、社会問題から法律が改正される事例が続いている。必ず最新の情報を得て対応していく必要がある。ネットやSNS周りでは課題も多いが、可能性も広がっている。今年も最新の情報をご紹介していきたいと思うので、お付き合いいただければ幸いだ。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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