KADOKAWAは12月19日、同社が主催する縦スクロール漫画賞「第3回オールKADOKAWAによるタテスクコミック大賞」の授賞式を開催した。
「タテスクコミック」とは、PCでもスマホでも読める縦スクロール型コミックレーベル。既存のコミック人気作品のフルカラー・縦スクロール化や、オリジナル縦スクロールコミック作品の製作、海外市場への配信など、日本のマンガコンテンツを新たな表現手法で国内外に配信する取り組みをしている。
2021年に同社が設立した「タテスクコミック編集部」が推進する本賞は、全世界から6言語で募集し、622作品の応募作から受賞43作品を決定。
大賞および各部門賞受賞者には賞金(総額800万円以上)の授与と連載デビューを確約。主な受賞作は以下のとおり。
■第3回オールKADOKAWAによるタテスクコミック大賞 主な受賞作
大賞:「粛正配信」加藤しろ
女性向け異世界ファンタジー部門賞:「八色雫のエヴァンジェリン」荻灯
女性向け恋愛・ラブコメ部門賞:「ノンフィクション」夢野ゆず
男性向け異世界ファンタジー部門賞:「アカヤス」プリゲツ
男性向け恋愛・ラブコメ部門賞:「保証期間1年の彼女」スタジオテイル(3人1組)
バトル・アクション・サスペンス部門賞:「輪廻大戦」JOH
海外法人とも連携し、募集言語・エリアを拡大した「The 1st TATESC COMICS Global Awards」の授賞式も同時開催。日本語以外の5言語で描かれたオリジナルタテスクコミックを募集、言語ごとに現地の編集部が審査し、受賞作品を決定した。
中国語簡体字 金賞・日本語翻訳出版賞 銀賞の「極熱進化(日本語翻訳)」(手撃拳)はタテスクコミックレーベルで出版予定となる。
なぜ「縦スクロール漫画」を世界に仕掛けるのか?
「違う国の作品が、違う国でブームを起こす時代が、すぐそこまで来ている」と、KADOKAWA 執行役 Chief Publishing Officer 青柳氏はコメント。
スマートフォン・タブレットに特化した縦スクロール漫画は、海外で著しい成長を遂げ、海外資本の漫画プラットフォームによって、今では日本でも楽しめるようになった。
日本のコミックが海外でも読まれることは、横読みの漫画が証明している。横読み漫画とは違う表現で、海外の読者に喜ばれる方法で、同社は縦スクロール漫画の発展を海外に仕掛けるという。
KADOKAWA 執行役 Chief Global Officer 泉水氏は、「今回受賞された作品は、日本と海外で多くの人に楽しまれることを期待していて、KADOKAWAとしてもサポートしていくつもりです」とコメント。
まずは縦スクロール漫画として世に出ていくことを目指しつつ、メディアミックスの展開を見通し、後にアニメやドラマなどの映像へのアプローチも考えたいとのこと。
今回のグローバルアワードの応募数を見て、海外でも漫画家を目指している人が多いことを実感した。
世界中の「漫画を描きたい」と思う人をサポートしたい、という同賞の目的が間違っていなかったと同社は感じたようで、今後もタテスクコミック大賞とグローバルアワーズの開催を継続していくという。
応援サポーター 鴨志田一氏・いとうのいぢ氏のコメント
作家・鴨志田一氏コメント
「受賞された皆様おめでとうございます。作品を読ませてもらって、とても魅力的で、挑戦的な作品が多いと思いました。同時に、タテスクというジャンルがまだ進化の途中であり、チャンスのある媒体なんだなと強く感じました。今回受賞された皆さんが、これからより良い作品をどんどん作り、それが世界中の人に読まれるような作品になれば、今回応援サポーターを担当させていただいた僕としても嬉しく思います」
■鴨志田一
代表作は「さくら荘のペットな彼女」、「青春ブタ野郎」シリーズなど
イラストレーター・いとうのいぢ氏コメント
「この度は受賞された皆様おめでとうございます。国を越えて、皆さんの熱意ある筆力、表現力、想像している世界が伝わってきて、とても楽しませていただきました。これから、どんどん作品を錬磨して、良い作品を生み出してくれることを期待しています」
■いとうのいぢ
「灼眼のシャナ」、「涼宮ハルヒ」シリーズなどのイラストを担当