低遅延はワイヤレスイヤホンの大きなキーワード
ソニーマーケティングはゲーミングイヤホン「INZONE Buds」を展示。スマホとの接続(Bluetooth)はLE Audioのみという、現時点では珍しい制限がある。こ理由を担当者に聞いた。
まず、INZONE Budsはゲーミングイヤホンなので、遅延の大きなBluetooth Classicとの接続を残してもユーザーにメリットが少ないという考えがある。音楽用の「WF-1000XM5」との住み分けを意図しているそうだ。LE Audioのみという仕様にすることで、ANCをオンにして最大11時間の長時間再生を可能にした。LE AudioとBluetooth Classicの両方に対応する場合、Bluetooth Classicを使用しない場合も接続待機などで電力を消費するからだという。
以前、Bluetooth SIGのケン・コルドラップCMOにインタビューした際、「Bluetooth ClassicとLE Audioの両方をサポートしている機種で、LE Audioを使っても、Bluetooth Classicのオーディオ規格に引っ張られて消費電力が増すことはないと考えている」という回答をもらった。これと齟齬があるようにも思えるが、実装によって差異が出るのかもしれない。
INZONE Budsでは、USBドングル接続が推奨されていて、LE Audioについてのみ将来性を踏まえてワイヤレス接続を許すという考え方だ。遅延はUSBドングル接続(2.4GHzの独自方式)時は約30ms未満、LE Audio使用時は48ms。LE AudioはUSBドングル経由よりも遅延が高いことになる。
面白いことに、付属のドングルはUSB-C対応モデルならばiPhoneでも使用できる。手持ちの「iPhone 15 Pro Max」を使用してINZONE Budsに接続してみた。iPhoneはUSB接続のヘッドホンとして認識する。
価格は抑えているが、音質はコンシューマーモデルによくあるドンシャリサウンドではなく、帯域バランスがいい音だ。低音も抑えてある。ゲームでの使用を考え、低音のマスキング効果で中音域が聞こえにくくなることを防いでいると考えられる。音場は広く、細かい音もよく聞こえる。音楽を聞いても悪くはないが、ゲームのBGMに適した音傾向に思える。遅延はかなり小さく、ゲームで試してみるとほとんど画面タッチと同時に音がする感覚だ。
なお、INZONE Budsはソニーの製品なのでAUDEZE買収の影響というのはないとのことだ。
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