チゲ味噌の話
アスキーグルメのモーダル小嶋です。日高屋は「チゲ味噌ラーメン」(690円)を11月24日より期間限定で販売しています。
チゲ味噌ラーメンとは何か。その名の通り、チゲ風に仕立てた、やや辛口のラーメンです。公式によると「豚肉、国産ニラ、白菜キムチ、国産玉ねぎといった具材を中華鍋でサッと炒め、一気にスープと合わせました。秘伝の辛味噌が旨味と辛みのバランスのあるスープを生み出しています」とのこと。
チゲ味噌ラーメンの詳細についてはこちら
日高屋のチゲ味噌ラーメンを、チゲ味噌ラーメンが大好きな日向坂46・齊藤京子さんの紹介も交えながら解説していくという、デスクに変な目で見られた記事です。
チゲ味噌ラーメンは、一言で言えば“ゆるい”です。
かつて日向坂46・齊藤京子さんを起用した動画では(期間限定公開なので今では見られません、残念)、味噌に唐辛子を5種類を使用。また、赤味噌、白味噌、八丁味噌、14種類のスパイスが入ったブレンド味噌、17種類のスパイスが入った味噌ラーメンの素を使用していると明かしていました。
それだけこだわったのに、では、奥深い味わいかと言われると……。特にスープ。コクがあるといえばあるし、ないといえばない。たしかに辛口、ピリ辛なんですが、辛党もうなる激辛! というほどのレベルではない。
しかし、その突き詰めていない感じが、野菜の甘味や食感などを邪魔しないですし、お酒を飲んだあとのシメとしても機能するのです。
作り込みすぎていないから、完成度ではいま一歩な気もするのに、ちょっと愛嬌がある。スープ、麺、具、それぞれがほどほどな感じなので、全体として親しみやすいまとまりが生まれている。そんな“ゆるい”一杯です。
自分、もう30代後半です
突然ですが、筆者は30代後半。もうアラフォーになろうとしています。この記事を読んでいるみなさんはどうでしょうか? 筆者と同じくらい、もうちょっと上ぐらいだよという人もいらっしゃるかもしれません。
それぐらいの年齢になると、いろいろと自分に足りないものも見えてきませんか。「あれ? 大人なのに、何もやってない」「これから先、どうなるんだろう……」みたいな。
そして、自分の足元が不安になり、周りと比較してしまうわけです。そんなことはダサいと思っていても、誰それが家を買っただの、どこどこのお子さんはもう小学生になっただの、いろいろ考えて……。
どちらが優れているとか、どちらが正しいかとか、もうそんな時代ではありません。ただ、残念ながら、自分は順調に人生のコマを進めているような気がしない。主役になれているかというと、そうとも思えない。
編集部にいても、ときどき、そんな気はします。みんな、専門知識を持っていて、さまざまなことに詳しい。一緒に仕事をするライターさんはもちろんのこと、最近はYouTuberの方々を見ていると「うわ、おもしろいなあ」「こう見せてくるのかなあ」と思うこともしばしば。「それと比べて、自分は……」となりがち。
そんな自分ですが、いつまでも若手気分でもいられません。スーパースターにはなれないけど、ちょっといいことができるようにはなりたい。
もう「まだまだ自分なんて」ではない
自分が編集部に入ってからそれなりに経ち、先述したように、年齢としても30代後半になりました。自分としては「ステップアップ」している感覚もさしてないのですが、周りから見ると、そうもいきますまい。下から見れば、10年選手なのです。
先日、先輩と食事をしました。その中で最近の仕事ぶりについて聞かれた際、「いや、まだまだ自分なんて……」と謙遜したところ、次のようにたしなめられたのです。
「自分はそう思っていても、周りはそう見てくれないよ。外側の人はベテランとして、下の人は先輩としてお前を見るんだから。仕事を続けているだけで『生き残ってきた人』として判断するはずだし」
なるほど、と腑に落ちました。自分がいくらヘラヘラしていても、どうしても上の人たちは年齢などで辞めていくし、下の人たちは新しい感性とともに入ってくる。そんな中で続けてきた自分は、自己評価がどうあれ、周りに「あなたは何かできるから、(まだ)ここにいるのでしょう」と見られるわけです。いや、そうでなくてはいけない。
続けていること、あるいは「知ってるし、こいつにしてみるか」と選ばれることに価値がある。めちゃくちゃスペシャルなものでなかったとしても、誰もがその領域に辿り着けるはずわけではありません。
そうなると、やはり人としての理想は、チゲ味噌ラーメン。
チゲ味噌ラーメンが目標になる
他の追随を許さないとか、絶対にこれでなくてはいけないとか、そういうことではないかもしれません。だけれども、ファンはいる。なんだかんだ、愛する人もいるわけです。楽しみにしている人もいる。“ゆるい”けど、認められている。
人として、こうなりたいんですよ。チゲ味噌ラーメンみたいになりたい。いつまでも「いやあ、自分はまだまだなんで」という顔をしているわけにはいかない。だけれども、大看板として主役になれるかというと、難しい。そこで、チゲ味噌ラーメンが目標になる、と。
“ゆるい”けど、オリジナル。それなりに愛されて、それなりに必要とされる。こういう存在になりたいし、もしかしたらなれるかもしれない(と、思わせてくれる)。そういう絶妙なラインの参考になるものって、日高屋のチゲ味噌ラーメンなんじゃないかと……。
というわけで、筆者が「どういう人になりたいですか?」と聞かれたとしたら、今なら「日高屋のチゲ味噌ラーメンみたいになりたいです」と答えるでしょう。でも、日高屋に行ったことのない人に(そもそも、行ったことのある人に対してさえも)、これで通じるでしょうか……。
ともかく、2024年もよろしくお願いします。
モーダル小嶋
1986年生まれ。「アスキーグルメ」担当だが、それ以外も担当することがそれなりにある。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。よろしくお願いします。