韓国語学習書作家・ショップオーナーhimeさん/「学び」の力で切り拓いていく多彩な人生

文●伊藤美咲

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 人生100年時代といわれる昨今、自分らしい働き方や暮らし方を模索する女性たちが増えている。そんな女性たちに役立つ情報を発信するムック『brand new ME! ブランニューミー 40代・50代から選ぶ新しい生き方BOOK vol.1』(KADOKAWA刊)から抜粋してお届けするインタビューシリーズ。今回は、韓国語学習のベストセラーを多数生み出す一方、ショップ経営など多方面で活躍するhimeさんのライフシフト体験談をお聞きした。

himeさんは多数のベストセラーを刊行している人気作家だが、2021年12月、東京・浅草橋に韓国から直輸入したバッグや小物を販売するショップ「hime shop」をオープンした。

韓国で買付けたものをインスタで受注販売。好評で実店舗開店へ

 ユニークな手描きイラストと大胆な切り口で、初心者でも韓国語が楽しく身に付けられる方法を書籍にまとめて発表しているhimeさん。これまで多数のベストセラーを刊行している人気作家だが、2021年12月、東京・浅草橋に韓国から直輸入したバッグや小物を販売するショップ「hime shop」をオープンした。店で販売されているバッグは、himeさんが現地で買付けからデザインのカスタマイズ、制作までを直接手がけているオリジナル商品だ。ラインナップのメインは、レザーを使ったバッグや小物。トートバッグは手に持ってみるとフォルムが洗練されていて、軽くて使い心地も抜群。2個、3個と色違いで揃えるファンが多いのもうなずける。

「最初は、韓国旅行の購入品をInstagramで紹介していたんです。すると、だんだん『私ほしい!』という声をいただくようになって。なかなか韓国に行けない方もいるし、それなら私が買ってきて販売してみようか? と思ったのがきっかけです。好評で徐々に受注が増えていって、自宅で在庫を管理するのが手狭になったこともあり、実店舗を始めることに。見て購入したいという方がお店を訪れてくれたり、私のブログや書籍の読者の方がいらっしゃることもあります」

 himeさんは、とても早い時期から韓国の面白さに目をつけていた。「『冬のソナタ』が日本で流行る前の2003年頃から、何度か韓国旅行をしていました。もともと韓国に関心があったというよりは、とにかく買い物が大好きで、妹と一緒に買い物旅行をしていたんです。観光客として東大門市場の卸店を巡って、バイヤーでなくても買えるお店を探し歩いていたのですが、そのときに見つけたお店が今の取引先になっています」

販売されているバッグは、himeさんが現地で買付けからデザインのカスタマイズ、制作までを直接手がけているオリジナル商品。軽くて使い心地も抜群。2個、3個と色違いで揃えるファンも。

離婚を機に韓国留学。シフトチェンジしてもっと自由に生きる

 大学卒業後、プログラマーとして10年働いたhimeさん。現在の仕事にたどり着くまでには紆余曲折あった。

「会社員として働いていた29歳、離婚をしました。これからは女一人で生きていけるように仕事を頑張ろうと決意したのですが、プログラマーは気力も体力も使う仕事なので、60歳までこのまま続けるのは無理だなと薄々感じていました。別の仕事にシフトするか、副業で何か始められないかなと考えていた頃、韓国映画にハマったことから韓国語の勉強を開始したんです」

 himeさんは、ハマるととことん追究したい性格。韓国語学習にのめり込み、やがて会社員に区切りをつけて韓国の大学に留学。留学を潔く決めた背景には、韓国語の勉強会で出会った、韓国出身の彼(現在の夫)の存在も影響した。帰国後は留学経験を生かして旅行会社に就職したのだが、運悪くリストラのタイミングに遭い、その時にフリーランスで生きていくことを決意した。そこで、ブログを始めたことが現在の学習参考書作家と店舗経営の仕事につながっている。

「ブログから始めて生活できるレベルになるまでは数年かかりました。アメブロの語学ランキングで1位をキープするようになって、語学教室からセミナーのオファーをいただいたり、自分で『新大久保さんぽ』の企画を始めてみたりと、少しずつ仕事につなげていきました。書籍のオファーにつながったこともあります。ブログと並行してインスタを始めたことで今のショップ経営につながりました」

 30代から韓国語の勉強を始めたにもかかわらず、今では何冊もの韓国語学習書を刊行しているhimeさん。関心のあることをとことん学び、次の働き方や生き方に取り入れてきた。

「出来るかどうかわからないことも、仕事としてやっているうちに慣れたり、上手くやれるようになったり。イラストもプロとしての画力はないまま書籍化に挑戦。1冊描き終わるたびに最初の頃より描けるポーズや表情などが増えてきました」

 これから何かを始めたい人へのアドバイスを求めると、こんな答えが。

「個人的には、全く異なることにシフトするよりは、『できることを増やしていく』のをおすすめします。私の場合、プログラマーは好きな仕事ではなかったので現在やっていませんが、ブログやSNSの発信、本などの執筆、イラスト、バッグ販売など、得意で嫌ではない仕事を増やしています。ただ、その比重は『やりたい気持ち』を優先して変化させています」

Profile:hime

ひめ/1970年、東京生まれ。韓国語語学書クリエーター。35歳で会社を辞め韓国へ語学留 学。2006年に高麗大学語学堂を卒業。帰国後再就職したがリストラされ2009年7月からブログ「アラフォー韓国マニアの果てなき野望」を開始し、大人気に。現在は韓国語教材の執筆、イラスト、デザインなどをやりながら、浅草橋にて実店舗「hime shop」を運営している。近著に『hime式 イラスト&漫画でわかる韓国語勉強法』(KADOKAWA)があるほか著作多数。

Instagramアカウント:@hime.kmania  Xアカウント:@himekmania

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