KDDIは11月24日、超高層ビルの建設現場にSpaceXの衛星通信サービス「Starlink」を導入し、無線通信環境を構築する実験に成功したと発表した。
固定回線で都度ネットワークを構築する手間を解決
一般に超高層ビルの建設現場では、工事が進み施工階が高くなると携帯電話が利用しづらくなる。電波は低い場所から高い場所へは飛びづらいため、周辺の基地局より建設中のビルの方が高くなると、基地局からの電波を上手く受信できなくなることが原因だ。
対策として地上から施工階まで固定回線を引くこともできるが、工事が進み施工階が上がる度にネットワークの再構築が必須となるため、多大なコストが掛かってしまう。今回の実験の目的は、こうした問題の解決策として、衛星通信サービスStarlinkの有効性を確認することだ。
実験は8月から10月にかけて実施。清水建設の協力を受け、同社の建設現場に設置されたタワークレーンの上部にStarlink端末を取り付け、通信環境の構築とクレーンの旋回や悪天候時の通信品質を検証した。
KDDIが発表した実験結果は以下の通り。
・Starlink端末をタワークレーンのガイサポートに設置することで、クレーン旋回の影響を受けることなく、通信環境の構築が可能であることを確認
・豪雨や強風等でも業務中の通信が途切れることはなく、安定した高速通信を利用できることを確認
・高層施工フロアからの映像伝送やオンライン会議などが、従来よりも容易となり、業務効率化に寄与
同社は実験結果を踏まえ、今後も超高層ビル建設現場における通信環境整備へのStarlink活用や、遠隔監視などIoTツールの活用による建設現場における課題解決に取り組んでいくとしている。