業務を変えるkintoneユーザー事例 第212回
現場を取り残さない、大山乳業農協・新生・長谷川鉄工のDX事例を見る
kintoneがつなぐDXのラストワンマイル 牛舎でも、工場でも、屋外でも
2024年01月09日 09時00分更新
新生:Unifinity×kintoneでつなぐリサイクル工場のDX
続いては、福岡県で金属を中心としたリサイクル事業を展開する、新生のマネジメント課 西村貴彦氏が登壇した。
西村氏は、使用済自動車のリサイクル業務の効率化やサービス向上を目指す、自動車部DXチームに所属。自動車リサイクルは、1台につき8つの作業工程を踏み、1日に処理できる車は40から50台が限界。さらに工程は複数の場所で同時並行的に進み、工程間のスムーズな連携も課題だったという。
リサイクル業務の効率化において、チームが注目したのが「5枚の複写式伝票」である。各工程の情報を通して記載するための伝票で、複写式になっているのは作業の担当者がバラバラで、利用用途もそれぞれ異なるからだ。
伝票は各自管理するため、情報が更新されず、情報共有は口頭伝達に頼ることに。紙という性質上、紛失や破損も日常茶飯事で、文字が読めなかったり、情報が食い違ったりして、問い合わせのため作業が中断することも多かったという。「現場では、生産性を下げているという疑いを持ったまま、日々の業務を続けていた」と西村氏は振り返る。
チームは、富士フイルムビジネスイノベーションジャパンに課題を相談。リアルタイム共有のためのソリューションとしてkintoneを紹介され、アプリを自身で作れるところや、リアルタイム性、DBの操作性は気に入ったという。しかし、kintoneの標準スマホアプリは、現場担当者にとって入力のハードルが高かった。
「入力項目が多いため、スマホ内のスクロールが大変、入力欄を探す手間もかかる。通常の業務があるため、探したり考たりという負担を現場にかけたくなかった」と西村氏は説明する。
そこで活用したのがユニフィニティーの提供する「Unifinity」とkintoneの連携だ。UnifinityはローコードでスマホアプリのUIを構築でき、入力された内容をそのままkintoneへの流し込める。これなら現場担当者が使いやすいスマホ画面を作れると確信したという。
Unifinityで作ったアプリは、カメラを起動してQRコードを読み取ることもできる。最初の車輌の引き取りの工程にて、車輌情報をまとめたQRコードを印刷、QRコードのシールを車体に張り付けて各工程で読み取るプロセスにすることで、車の情報を「探す」作業が瞬時に完了するようになった。紙に起因する紛失もなくなり、屋外作業においても雨濡れを心配せず作業できるように。
さらには、各工程の正確な情報を得られたため、情報発生点を明確にし、そのタイミングに沿うよう業務を見直した。自動車リサイクルにおいては、本当に破砕して良いか慎重な決断を求められる場面があるが、スマホUI上で明確に判断できるような仕組みも構築した。
結果、Unifinity×kintoneにより、問い合わせや転記作業、伝票の紛失に起因する業務などがなくなり、20%の作業効率化を実現した。もちろんペーパレスによるコスト削減も達成。kintoneに車輌情報を集約したため、工程ごとに年2回実施していた在庫確認作業も短縮、棚卸作業もQRコードを読み取るだけになるなど、多くの成果を得られた。
現在、新生では貿易取引の確認アプリも開発中。加えてUnifinityアプリを予約システムとして顧客に渡すことで、転記作業をさらに削減できないか構想中とのことだ。

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