楽天グループは、2023年度第3四半期決算説明会を開催。グループトップの三木谷浩史氏は、モバイル事業の順調な赤字減少をアピール。また、プラチナバンドによるネットワーク構築についても自信を見せた。
企業向けも含めて、楽天モバイルは1ヵ月で20万契約の伸び
2023年度の設備投資は2000億円の予定から下回る
楽天グループの中では引き続き順調なインターネットサービス、金融サービスに対し、大きな赤字を出し続けているモバイル領域だが、三木谷氏は赤字幅は大幅に縮小している点を紹介した。
その背景にあるのが、契約者数の伸びと効率的な設備投資。特に契約者数は、ここに来て月あたり約20万程度の増加となっている。なお、全契約者数のうち、約11万回線は法人向けにBCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)用途で販売しているプランで、セカンダリー的な使い方の契約であるため、収益貢献には限定的としているが、そこから収益性のある契約に繋げていく狙いだ。
契約者数の説明に一部間違いがありました。お詫びして修正いたします。(11/15 15:00)
設備投資額については、2023年度の当初予算の2000億円を下回る予定。さらに2024年度には半減を見込んでいる。これが可能なのは「知恵と工夫でコストの安いネットワークを構築してきたから」と語る。なお、現状のネットワークで1300万ほどの契約数をサポート可能であるため、「これを超えてくる際には新たな投資が必要になるが、当面は必要ない」と説明した。
プラチナバンドのネットワーク構築は
計544億円でも十分お釣りが来る
また、10月に新規割り当てを受けたプラチナバンド(700MHz帯)については、10年間合計で約1万局、544億円の投資額を開設計画として示している。最初は都心部建物内のカバレッジ対応に注力。10年間の後半に設備投資が集中する予定だ。
一方でこの楽天モバイルの計画に対しては、「可能なのか」「遅いのではないか」という見方もあるのも事実。そうした見方に対して三木谷氏は、もちろん可能と主張。仮想化技術と既存の基地局サイトを活用することで、700MHz帯用の機材を「パカパカとはめて繋ぐと電波を発射できる」ため、「544億円で十分おつりができる形で可能」とした。
なお、前日にはソフトバンク宮川社長からプラチナバンドの展開に関して、「基地局のロケーションやバックホールを貸し出すといった部分で協力してもいい」といった発言があったのだが、「報道でしか聞いていない」とするとともに、「ソフトバンクさんだけでなく、KDDIさん、ドコモさんも含めて、いろいろな形でお話しできれば」と抽象的なコメントに留まった。
また、NTT法の議論についても言及している。あらためてバックボーンとしての光ファイバーの重要性を強調するとともに、NTTは国民からの税金などを使って構築されてきた特別な資産を持っており、しっかりした特別法の下で管理していく必要があると、NTT法廃止に反対する主張を展開。「(すでにドコモは100%子会社になっているため)光ファイバーの料金を上げても下げてもNTTの連結には関係ない」「自分がNTTのCEOなら間違いなく料金を上げる」「(NTTドコモの完全子会社化など)約束が破られて進んでいるので、彼らの行動をまったく信用しない」とNTT側への強い不信感を見せた。