政治家向けSNSコンサルタント・飯島彩香さん/「好き」を追い求めて、ミニマリストインフルエンサーから転身

文●志賀佳織

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 人生100年時代といわれる昨今、自分らしい働き方や暮らし方を模索する女性たちが増えている。そんな女性たちに役立つ情報を発信するムック『brand new ME! ブランニューミー 40代・50代から選ぶ新しい生き方BOOK vol.1』(KADOKAWA刊)から抜粋してお届けするインタビューシリーズ。今回は「ミニマリスト」として著書があり、現在は政治家のSNSコンサルタントも務めている飯島彩香さんにお聞きしたライフシフト体験談をお届けする。

まずはお金になる/ならないは置いておき、好きなことで小さく行動してみる。失敗は最高の 学び。行動さえすれば道は開ける、と語る飯島さん。

アメリカ生活がきっかけでミニマリスト界のインフルエンサーに

 持ち物をできるだけ減らし、必要最低限のものだけで心豊かに暮らすーー。飯島彩香さんが、そんな「ミニマリスト」の暮らしに目覚めたのは、夫の海外研修に同行して半年間暮らしたアメリカでの生活がきっかけだった。

「半年間でしたから、身のまわりのものを厳選して、それぞれのスーツケースと段ボール1箱だけに収めて行きました。すると、人間、案外少ないもので生きていけるなということがわかったんですね。要らないものが視界に入らない生活というのが、精神衛生上どれほど大事なことかを痛感したんです」

「厳選した」ものは、洋服にしても、結局は気に入ったものや着やすいもの。必要なものしかない生活は、迷ったり選んだりする時間の無駄をなくし、そのよさを飯島さんに強く印象づけた。

 帰国後、すぐに住まいである都内のマンションの片付けに取りかかった飯島さん。フルタイムで会社勤めをしながら、3~4年かけて、各部屋や持ち物をすべて整理。整理収納アドバイザーの資格もみごとに取得した。

「あるとき、友人から『この能力をSNSで発信したほうがいい』と勧められたのをきっかけにInstagramへの投稿を始めてみたんです。テーマは『ラクして身軽に賢く暮らす』。会社員としてのキャリアはずっとIT業界で、デジタルにはわりと詳しかったので、部屋の片付けだけでなく、家計管理や時短家事など、スマホを使って効率よく暮らす提案もしていきました。そうしたら、フォロワー数が1カ月で千人、1年半後には5万5千人にまで達しました。ブログも始めて、ついに書籍『スマホひとつで暮らしたい』も出すに至りました」

「私の仕事はこれだ!」という事業を見つけた

 2020年、飯島さんは会社員を辞めてインフルエンサーとして独立した。発信業1本に絞ってアクセルを踏み、アカウントはどんどん成長していくが、2021年の第一子出産を機にそのモチベーションに陰りが出始める。

「SNS 発信はもうやり切った感があり、このスキルをもっと必要としている人に提供したいと思うようになりました」

 そこからしばらく試行錯誤の日々が始まる。企業の整理収納を仕事にしようと思ったり、経営者向けにネット発信のコンサルティングをやろうと思ったり、あれこれトライするが、どれも今ひとつピンと来ない。

「こちらの熱量と先方の力の入り方にギャップがあったりして手応えが得られず、1年半ぐらい迷走していました」

 そんな中、知人からこんな依頼が来る。〝知り合いの地方議員さんが情報発信を頑張りたいと言っている。SNSのやり方を教えてあげてほしい〟

「子育てが始まり、今まで無関心だった政治が気になり始めていたタイミングでした。実際にお会いしたらすごくいい方で、統一地方選挙までの7カ月間、その議員さんのSNSコンサルティングをやらせていただいたんです。そのうちに『ああ、私の仕事はこれだ!』って。政治家こそ、伝えたいものがたくさんあって、その熱量が高い人たち。ただその伝え方がわからないのであれば、それをお手伝いするのが私の使命かもしれないと思ったんです。ついには会社を設立してしまいました」

 会社名は「株式会社ほどく」。

「私の仕事って、クライアントの抱えているものを一つ一つほどいていく。思考の整理をしながら一緒に肩の荷を下ろしていくことが大半だなと」

 現在は、政治家を対象としたオンラインサロンを開き、SNSを使って活動をどう見える化するか、選挙区のフォロワーをどう集めるかといった相互の学びの場を提供している。読者に向けてアドバイスを求めると、こんな答えが返ってきた。

「ライフシフトしたいと思ったら、前に進むことですね。立ち止まらない。行動しないことには何も始まらないので。前に進んでいると、気が付いたら自分の行きたい方向に向かっているし、誰かが手を差し伸べてくれたり軌道修正してくれたりもする。動いたら何かが始まります」

アメリカ生活で、最小限の「もの」で暮らす快適さと、キャッシュレスの便利さを知った飯島さんが、帰国後に刊行した著書『スマホひとつで暮らしたい』(KADOKAWA)

Profile:飯島彩香

いいじま・あやか/1986 年千葉県生まれ。株式会社ほどく代表取締役。2017年、半年間の海外生活でミニマルライフに開眼。帰国後、家中のモノやスマホの中などの片付け術をインスタで発信し一躍インフルエンサーに。2020年IT関連企業を退社。21年の出産を機に、自身で培ったスキルを政治に生かすため起業。23年1月、会社設立。現在は自身のライフスタイル発信を続けながら、政治家向けSNSコンサルタントとして活動している。

Instagram:@aya.jima

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