著述家・中道あんさん/夫に頼らずに生きる居場所を確立するため45歳で専業主婦から就職、起業へ
人生100年時代といわれる昨今、自分らしい働き方や暮らし方を模索する女性たちが増えている。そんな女性たちに役立つ情報を発信するムック『brand new ME! ブランニューミー 40代・50代から選ぶ新しい生き方BOOK vol.1』(KADOKAWA刊)から抜粋してお届けするインタビューシリーズ。今回は著述家の中道あんさんに、ご自身のライフシフト体験について伺った。
これ以上、後悔したくない。自立からたどり着いた目的地
26歳で専業主婦となり、3人の子どもに恵まれ、お小遣い稼ぎ程度のパートやママ友との交流を日々楽しんでいた中道さん。その中道さんが、「これでいいのだろうか」と思ったのは、リーマンショックで夫の年収が激減した年のことだった。「何かあったときに夫に頼るのは嫌だ。自立しよう」。そう思い、45歳で正社員を志した。
「中堅病院でパートをしていたときに、周りを見渡せば、医師や薬剤師など手に職のある人ばかり。みんな一所懸命自立している、私はここまで何をしてきたんだろうと、『差』をすごく感じました。自分が彼女たちと肩を並べるには『正社員』という肩書きと社会的地位を得なければいけない。それが自分の居場所を確立するものだと思ったんです」
決意した中道さんは迷わずハローワークへ。そこで紹介された会社にそのまま就職する。給料は月額16万。ボーナス込みでも年収は200万円台前半だった。そんなある日、夫への不信感を抱く事実が発覚する。すでに夫との関係は冷めていたが、これで本格的に自立の決心がつく。より良い条件の職場を求めて、友人に「あなたの会社に空きがあったら紹介して」と頼み続け、1年後、ようやく転職が叶う。
「私は資格もないし履歴書はほぼ白紙なんです。だから正社員になるときは、パートでどんなことをしてきたか、職務経歴書をしっかり作成して持っていきました。そこが買われたようです」
翌年、夫とは別居。シングルマザーとしての日々が始まった。同じ立場の人がどんな生活をしているのか気になった中道さんは、ネットで検索してみた。 「そうしたら、上がっているのは、貧困と病気と将来に対する不安ばかり。いやいや、足元の幸せに気づいたらもっと楽しく生きられるでしょうと食卓で家族に話すと、長男が『それなら自分が発信者になってブログをやったら?』と勧めてくれたんです。あっという間に開設してタイトルもつけてくれて。そこから毎日書き始めました」
発信内容は、50代で自立し、充実した日々を送る自身の経験。「読まれる記事」にするにはどうしたらよいのかと研究する努力も惜しまなかった。 「徹底的に他者目線に立って、検索エンジンに引っかかるにはどうしたらよいのか、この記事が誰にヒットし、誰の役に立つのかを研究。『日記』ではなく『情報化』する努力をしました」
自分の経験を誰かの幸せのためのノウハウに
努力が実って2年後にはトップブロガーに。収入的にも安定したのだが、そこでまたチャレンジ精神がムクムクと湧き上がってきた。「自分の能力は別のことにも発揮できるのではないか」、考えた中道さんは、2019年、会社を退職し、一念発起して起業する。
「これまでのノウハウを活かして、女性がライフシフトをするための講座を主宰することにしたんです。ブログを活用した起業や集客、自己実現のためのアプローチなど、ブログを使って人生を動かしていくレッスンですね」
起業に際しては、自分がブログで頭角を表すことができた、その成功体験をお客様に伝えるための共通言語がないなと感じていたので、たまたま知り合った女性起業家のマーケティング講座に半年間通い、セミナー運営の勉強もして臨んだ。顧客は順調に増え、コロナ禍にいち早くオンライン講座に切り替えたことで、海外からの参加者も増えた。現在は、1回2時間のマンツーマンのレッスンを月に20人以上こなしている。著書も3冊刊行し、中道さんは「なりたかった自分」を実現した。
「諦めてしまうから思い通りにならないのであって、時間さえかければ思い通りになるんだと思うんです。思い通りにならなくしているのは、自分の中のブレーキ。まず自分の棚卸しをして、お金がないとか、親がどうだとかいう条件をすべて度外視して、自分がどうなりたいのかを考える。その『目的地』さえ見失わなかったら、ライフシフトは十分可能だと思います」
Profile:中道あん
なかみち・あん/1963年、大阪府生まれ。26歳で結婚、2男1女を授かる。子どもの成長とともに自身の生き方を考えるようになり、正社員として働き始める。ブログ「アラフィフの生き方ブログ 50代を丁寧に生きる、あんさん流」でAmeba公式トップブロガーに。2019年「自分らしく生きたい女性のための発信塾」を起業。23年、株式会社LSBを設立。代表取締役に就任。著書に『50代、もう一度「ひとり時間」』『昨日とは違う明日を生きるための 新しい幸せの始め方』(KADOKAWA)、『「誰かのために」を手放して生きる』(自由国民社)がある。
この記事の編集者は以下の記事もオススメしています
-
ライフシフト
【平野ノラ】片付けによる人生の切り開き術を伝授!KADOKAWAの新事業「brand new ME!」イベントで講演 -
ライフシフト
予防医療コンサルタントの細川モモが“ライフワークの見つけ方”をアドバイス -
ライフシフト
ハンドメイドリボンのベストセラー著者が講演!「やってみたい」と思ったらまずは小さく始めてみては? -
ライフシフト
人気ブロガーのカータンが講演!「好きなことはやった方がいい!」と“日常の楽しみ方”を伝授 -
ライフシフト
柚希礼音の成長を促したターニングポイントとは?イベント「brand new ME!」で講演 -
ライフシフト
思い出を整理する方法は捨てるだけじゃない。新しい視点で“楽しい終活”を目指す -
ライフシフト
なぜ器だったのか。自問自答を繰り返して見つけたスタイリストの歩き方 -
ライフシフト
バレエダンサーからアパレル立ち上げ 花柄レオタードでバレエの魅力を広めたい! -
ライフシフト
自分のペースを見極めて 仕事も暮らしも楽しめる老後を過ごしたい -
ライフシフト
誰かの役に立ちたいという思いで独立、料理を武器に夫とともに発信 -
ライフシフト
「40 代・50 代はちょうど折り返し地点」ライフシフト・ジャパンの河野純子が人生 100 年時代 の楽しみ方を指南