◆今年の落合陽一サマースクールのテーマは「生成AI」
伝統的な知識と先進科学技術の融合により、社会課題の解決を試みる「ミライの研究者」の養成と、世代を超えた知のネットワーク形成を目的としたアウトリーチ活動を行なっている「Table Unstable(TU)」は、8月11~13日の3日間、小学生から高校生までを対象とし、メディアアーティストの落合陽一氏による特別カリキュラム「Table Unstable - 落合陽一サマースクール2023(岩手町編)」を開催。日本全国から21人の生徒が岩手町に集まり、ワークショップに参加した。
サマースクールの開催は、昨年8月の山口県に続くもので、前回は「サイアノタイプ(青写真)」という技法を通して「SDGs(持続可能な開発目標)」について学ぶことをテーマとしていた。今回の題材は「生成AI」。「ChatGPT」をはじめ、AIで動画をつくるサービス「Runway」やいろいろなAIを試せるサービス「Hugging Face」などを使い、オリジナルの動画を作成するというもの。
初日は岩手町役場の開発センターにて、落合氏に加えて複数のTA(ティーチングアシスタント)による座学からスタート。落合氏はコンピューターの歴史から、現在社会的にも注目されている「生成AI」について解説。
落合氏は、「コンピューターの世界は自然を計算する人が出て、それが計算を人間の手でやっていると大変なので、機械を使って計算するコンピューターシミュレーションが出始めた。そしてベクトルに置き換えるというのが、近年の我々のコンピューターサイエンスの発明。ベクトルに置き換えてやればコンピューターに入力できる」と説明。人間対自然の関係から、計算機対自然の関係へと、新しい自然「デジタルネイチャー」に移行しており、それが現在の生成AIの技術的バックボーンとなっているというわけだ。
初日はインプットを重視しており、これらに加えて朝日放送テレビの足立冬馬TAは、テレビ局の視点で映像制作や先端ICT利活用について講義。またOpening Lineの松本一将TAは、地図アプリ上にNFTが表示可能となることの意義について、Onplanetzの権暁成TAはAI事業者の視点から今回のカリキュラムの先進性について、それぞれ講義を行なった。
また、座学の合間にはSDGsパートナーシップ事業を展開する森 優希TAの案内で、岩手町内で内外装や床材など国産建築資材の製材や販売をしている稲村製材所も見学。丸太などの原木を実際に加工する過程を実際に見て理解するとともに、将来的な森林資源の循環や木材の安定供給、木材加工の際に生まれる端材の活用方法など、森林環境に関する持続可能な社会への取り組みについて学んでいた。