■相場より安価なDDR4メモリーは中古チップの可能性あり
サーバーで使用された中古メモリーからメモリーチップを剥がして、新品として再利用されていると台湾の大手調査会社TrendForceがツイートしました。
These chips primarily come from the two major South Korean suppliers’ legacy processes and are reused in PC DRAM and consumer DRAM products after software modifications. In terms of performance, the reused chips from the Korean suppliers can reach a data rate of 3200MT/s.…
— TrendForce (@trendforce) August 1, 2023
廃止されたサーバーDRAMモジュールから剥がされたチップが大量に流入している。これらのチップは主に韓国の大手サプライヤー2社の従来のプロセスから生産されており、ソフトウェアを変更した後にPC DRAMおよび民生用DRAM製品で再利用される。パフォーマンスの点では、韓国のサプライヤーからの再利用チップは3200MT/sのデータ速度に達する。
全体として、これらの再利用チップの存在は、特にDDR4製品のスポット価格に下落圧力をかけ続けている。主流チップ (DDR4 1Gx8 2666MT/s) の平均スポット価格は、先週(7月第2週)の1.497米ドルから今週(7月第3週)1.493米ドルへと0.27%下落した。
この話が本当であれば、DDR4-3200MHz相当の中古メモリーチップが再パッケージされて、かなりの数が市場に出回っていることになります。韓国の大手サプライヤー2社というのは、SamsungとSK hynixのことだと思われます。
このメモリーは、チップの刻印がリマークされているわけではないでしょうから、新品との判別が非常に困難なはずです。購入後にPCに挿してメモリーチェックでエラー率を調べるくらいしか対抗手段がないような気がします。ただし、メーカー側も出荷前にエラーチェックくらいはしているはずなので、素人目には判別不能でしょう。見た目でチップが明らかに傷や汚れがついていたらわかるかもしれませんが、開封後に見た目のクレームを入れたところで、対応してもらえるかどうか怪しいところです。
チップは中古でもモジュールは新品なので、完全な中古品とは言い難いところも難点です。SamsungとSK hynixのチップを搭載したDDR4メモリーで、相場より明らかに安価な製品があったら、チップの再利用を警戒したほうがいいかもしれません。
■オークションや海外通販のビデオカードにも要注意
新品偽装はメモリーだけではありません。7月20日に中国・山東省の浜州市で中古ビデオカードを新品として販売した詐欺グループ22人が逮捕されるという事件がありました。これは、仮想通貨のマイニングに使用したビデオカードを、新品と偽って販売していたというもので、総額200万ドル(約2億8000万円)もの利益を得ていたそうです。熱などで変色したビデオカードを塗装し直したり、パッケージをシュリンクし直したりしていたことから組織的な犯行であることがわかります。摘発した地元警察によると、家宅捜索をした場所は犯罪組織の拠点の1つにすぎない可能性があり、組織が壊滅したかどうかは不明だそうです。
ビデオカードを購入する際は、メーカー公式サイトや正規代理店から購入するようにし、海外通販などの格安ビデオカードには手を出さないのが無難です。これまでも中古のPCパーツは改造や偽装に注意する必要がありましたが、新品に対しても注意する必要が出てきたことが問題です。
ちなみにインテルのプロセッサーは、正規品かどうかを簡単に見極める方法があります。外箱あるいはヒートスプレッダに刻印されたバッチ番号(FPO)とシリアル番号(ATPO)をインテルの保証情報サイトで入力すると、保証ステータスを確認できます。ここで保証ステータスが表示されない場合は正規品ではありません。
価格下落の原因がはっきりしている訳アリ品は狙い目
相場より安い特売品は手を出さないほうが無難ですが、すべてが粗悪品であるとは言い切れません。たとえば、今年1~3月に2.5インチSSDの価格が急落しました。NANDフラッシュを製造する中国企業YMTCが米国商務省のエンティティリスト(取引制限リスト)に追加されたことが原因です。これは、事実上の禁輸措置となります。過去に、通信設備メーカーのファーウェイとZTEが同じ目にあったことを覚えている人も多いでしょう。
リスト入りの影響で北米で製品が売れないわけですから、まだ売れる日本などに製品を回して、在庫処分状態で売りさばいていたのです。したがって、YMTC製のNANDフラッシュを採用するSUNEAST、ADATA、PNYなどのSSDが投げ売り状態となり、SSD市場全体の価格下落につながったのです。
このときの価格下落は政治と流通の問題なので、性能に問題があるわけではありません。つまり、YMTC製NANDフラッシュを搭載したSSDはお買い得だったわけです(中国に情報を抜かれる可能性が絶対にゼロとは言い切れませんが)。極端な特価品を見つけた場合は、直前にその製品になにがあったのかを調べる癖をつけておくといいでしょう。
製品に明らかな不都合があった場合、ファームウェアの更新などユーザー自身で解決できる軽微な問題であれば購入してもいいでしょう。しかし、不都合報告もなく正規代理店の保証シールも貼られていないような場合は、警戒レベルMAXです。PCパーツは決して安い買い物ではないので「安物買いの銭失い」にならないよう自衛が必要です。
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