多彩なデジタル音源、そして映像とも一体になった音の世界も
音の世界を楽しむ。これがオーディオの醍醐味であることは間違いない。
では、どんな音を聴くのか? かつてはCDやレコードなどのディスクに収めた音源だった。しかし、さまざまなスタイルで音楽を楽しめる現在、そのあり方も変化している。パソコンやメディアサーバーにファイルとして保存された音源、インターネットを経由した音楽ストリーミング、さらにはスマホで楽しむ動画コンテンツ。そして、テレビもまた音の世界を楽しむ入口となる重要なデバイスだ。コンテンツの楽しみ方が多彩になる中、「映像と一体となった音の世界を楽しみたい」と考えるユーザーはいままで以上に増えているように感じる。
その一方で、コロナ禍などを経て、自宅で音楽を聴く時間を長く持ちたい、あるいは本格的なスピーカーで音楽を楽しみたいといったニーズも高まっている。となればリビングにも本格的なオーディオシステムを置きたくなる。
ただし、ここには少し悩ましい問題も。音質にこだわるなら、単品のHi-Fiコンポで音楽再生用の本格的なシステムを組みたいが、こうした新しいコンテンツを多彩に楽しめ、さらにテレビまで含んださまざまなソースとうまく連携させるような機器がなかなか選べないからだ。
HDMI ARCに対応したデノンの「DNP-2000NE」
この記事で紹介するデノンの「DNP-2000NE」は、伝統的なHi-Fiシステムと、映像を含めた新しい音楽/音声フォーマットをつなぐ架け橋となる製品だ。
特徴はアンプなどを内蔵した一体型機ではなく、ネットワーク再生に特化した専用機である点。音質にこだわるユーザーをド真ん中のターゲットに据えた本格派のオーディオコンポだ。再生可能なフォーマットも極めて多彩。ネットワーク再生や音楽ストリーミング再生に加え、USBや同軸/光デジタル入力を通じたさまざまな機器との接続が可能で、テレビの音を高音質に再生するためのHDMI ARC入力も装備している。
すでに単品でシステムを組んでいる人がDNP-2000NEを導入すれば、今まで使っていたシステムを生かしつつ新しいフォーマットの再生する準備が完了。逆にリビングでHi-Fiオーディオを始めたいと考えている人が、将来のステップアップを見すえて購入するのにも適している。リビングとなじみがよく、テレビやスマホなどとも相性のいい“理想的なオーディオシステム”を作るためのピースを埋めるには何が必要か? この記事ではこうした課題について考えてみたい。
リビングになじむオーディオシステムの条件は?
リビングのオーディオシステムを強化したいと考えた際、編集部が重視すべきと考えているのは以下の3点だ。
- 多彩なコンテンツの再生ができること
- 家族みんなが手軽に使えること
- 省スペースかつ高品位であること
リビングは家族とともに時間を過ごす場所であり、音楽再生だけでなく、テレビを始めとしたさまざまな機器が置かれその連携を楽しむ場所でもある。本格的な音は追究したいが、オーディオ機器に詳しくない家族でも使える手軽さも欲しい。そして、生活の場であるリビングの雰囲気を損なわないシンプルで質感の高いものが好ましい。すでに単品で本格的なシステムを組んでいる人であれば、ほかの機器とグレード感の揃った高級感ある製品を選びたいと考えるだろう。
テレビが置かれたリビングで音を強化したいと考えた際、これまで有効だったのはAVアンプの導入だ。しかし、音楽中心の再生でサラウンド再生にはそこまでこだわらない人、映像関係などAVアンプが持つすべての機能が必要ではない人もいるだろう。であれば、2chのステレオ再生に特化した機種を選び、プレーヤー自体の再生の質を高めたり、スピーカーやアンプなど組み合わせる機器のほうに予算をかけたりしたほうがいいとも言える。
その場合に有力な選択肢となるのが、DNP-2000NEのような専用プレーヤーである。後述するように、オーディオ機器としてしっかり設計され、中級クラス以上のグレードの高いコンポーネントと組みあわせても遜色ないパフォーマンスを持つ。こうした製品であれば、既存のシステムと組み合わせる場合も、将来的なシステムのグレードアップを考える場合でも心強い。