丸の内エリアの古き良き昭和レトロなスポットを、一人遊び好きな「LOVE Walker」女子編集部員クルミ(26)が実際に巡り魅力を深掘りする本連載。
第3回目は、有楽町の高架横にある純喫茶「珈琲館 紅鹿舎(コーヒーカン ベニシカ)」を訪れました!
まさに昭和にタイムスリップしたような“ハイカラ”な店内にキュン♡
今回の目的地「珈琲館 紅鹿舎」は有楽町駅のすぐそば。高架下沿いを新橋駅方面に歩くこと3分ほどで到着する雑居ビルの1階にあります。周りの風景とは一線を画す、店前の色褪せた看板やレトロなガラスケースからはひしひしと時代を感じますが…それもそのはず。創業は1957年なので今年で66年目。最初の東京オリンピックより前からあるんです!
お店から徒歩5分程圏内に東京宝塚劇場や日正劇場、シアタークリエなどの劇場があるため、創業当時から宝塚ファンを始め、観劇前後に訪れるお客さんに愛され続けているこちら。なんと、タカラジェンヌがお忍びで訪れることもあるのだとか…!
劇団の方がいるかも、なんてドキドキしながら入った店内は、“ハイカラ”という言葉がぴったり。ちょっと薄暗い照明に、きびきび働く蝶ネクタイを付けた制服のスタッフさん、可愛らしいアンティークがそこかしこに配置されている光景は、ノスタルジー感じまくりでキュンキュンします♡ 最近では昭和レトロ好きな若いお客さんが急増しているそうですが、納得の本物感。連載を続けていてつくづく感じますが、この古さが私たちにはとっても新鮮で、魅力的なんですよね。非日常を感じるのに、どこか安心感があって、ずっと浸っていたくなる。純喫茶、尊いです…。
時代を超えて愛される、元祖ピザトーストが美味すぎる!
レトロで異国情緒溢れるお店の雰囲気の他にも、人気の理由が。それは、映える&絶品のメニューが充実していること! なんでもこちら、以前は洋食店だったそうで、当時、喫茶店といえばコーヒー、紅茶、サンドイッチ、ケーキくらいしかない中もっとたくさんメニューを提供したいと、いろいろ開発したのだとか。その中で最も知られるのが、いまや喫茶店メニューの代名詞でもあるピサトーストです。イタリア料理店も全国に数店しかなく生地はもちろん売っていない時代でしたが、ピザ好きだった2代目オーナーが試行錯誤の末、パン生地で代用し完成させたのだと言います。
現在でも一番人気のメニューで、お客さんの2人に1人は注文するそう。60年変わらない誕生当時の味を、生誕のお店で味わえるなんて、もうタイムスリップアトラクションの世界かも。ちなみにツナトーストもこちらが発祥なのだとか。スゴすぎる…!
もちろん注文するっきゃないでしょということで「べにしか元祖ピザトースト」を実食! 作り方の基本は皆さん知っての通りのピザトースト。とてもシンプルです。特注のトーストに自家製ピザソースを塗り、その上に玉ねぎ、ピーマン、マッシュルーム、サラミ、最後にくせの強くないオランダ産のチーズをたっぷりトッピング。どこから食べても美味しく食べられるように、満遍なく具材を載せるのがポイントだそう。オーブンでこんがり焼き上げれば完成。チーズとソースが焦げた香ばしい匂いが食欲をそそります〜! あぁ、写真だけでなく香りもお届けしたい…!
食パンは3分割されているので豪快に手で食べるのがオススメ。持ち上げると、焼き目のついたチーズがとろーんと伸びます。一口食べれば、表面はカリカリ、中はふわふわな生地の食感がたまりません! 続いて、味がしっかり濃いめのピザソースと絡み合った具材で口いっぱいに幸せが広がり…思わずニヤけちゃいました(笑)。けっこうボリュームがあるので、男性のランチでも満足感は十分あると思います。
食にこだわりが強い日本だと、色々なメニューが日々アップデートされて美味しさが増していることも多いので、元祖の味が必ずしもサイコーって訳でもないのですが、この「べにしか元祖ピザトースト」は、シンプルかつ、誕生当時の時代の勢いを感じさせるような味の濃さが逆に新鮮。ピザトースト本来の美味しさを再確認させてもらえます。私も今度から、家で作る時は絶対チーズもりもり味濃いめにしようと誓いました!
他にもあるぞ! 個性豊かな映えメニュー♪
しょっぱいものを食べたらお次は甘いものですよね、ということで、メニューを再度チェック。写真からいかにも甘味度強めな、ホイップクリームたっぷりのパイを頼んでみました。味は季節限定の「アメリカンチェリーパイ」。“限定”という言葉の魔力には逆らえません。
テーブルに運ばれてきた一皿は、ボリューム抜群で味はイメージ通りのガツンとした甘さ。現代のヘルシー志向の流れとは逆を行く罪の味です(笑)。ちょっと重いかなと一瞬ひるみましたが、酸味の効いたジャムと合わせて食べるとバランスがちょうど良くて、パクパク完食です♪
こういうところに来たら臆せず興味の赴くままに注文するのが楽しむコツ♪ ということで、メニュー名が気になりすぎた「パリのロマンス〜シャンゼリゼのバラの香りに誘われて〜」を注文。過剰なネーミングがいかにも時代を感じさせるこちらですが、運ばれてきたのはバラの花を象ったホイップクリームの入ったカクテルグラス。そこにコーヒーが注がれると、バラがクルクル回るではありませんか! なんだこのパフォーマンス! 面白い! 飲んでみると、リキュールの華やかな香りがコーヒーと絡み合う、なんだかオシャレな味がしました。
お腹も満たされそろそろ帰ろうかというタイミングで、店員さんから「今『悪魔の炎』の注文が入ったのでぜひ見ていってください」とこれまた謎メニューを伝えられました。ん? なんですかそれは!? と思った矢先、店内は真っ暗に。
すると次の瞬間、テーブルの上に炎が上がっているではありませんか! 衝撃の光景を前に呆気に取られましたが、後で聞くと、これはブランデーに火を灯し、伸ばしたレモンの皮を伝って注いでいるのだそう。
こちらは先程の「パリのロマンス」とともに、初代オーナーによって考案されたメニュー。お客さんに楽しんでもらうために作られたと言います。まさか喫茶店でリアルなファイヤーパフォーマンスが見られるなんて、令和の時代になかなか想像できないですよね。「珈琲館 紅鹿舎」、おそろしい子!
昔から変わらない懐かしい味とともに、昭和のパワーを随所に感じて驚きと楽しさも味わえる名喫茶「珈琲館 紅鹿舎」。有楽町に行ったら、しばらくピサトースト一択だろうな〜。それくらい虜になってしまいました♡
これにて第3回「昭和レトロさんぽ」はおしまい。次はどんな場所に行こうかな〜!
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