このページの本文へ

WiFi 7ルーターや5Gミリ波/6Eモバイルルーターも参考展示、Interop 2023ネットギアブース

ネットギア、電波環境の悪いInterop会場でWiFi 6Eの“真価発揮”デモ

2023年06月20日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 2023年6月14日~6月16日に幕張メッセで開催された「Interop Tokyo 2023」。昨年からさらに規模を拡大したネットギアブースでは、AV over IP、ビジネスネットワーク(法人向け)、ホームネットワーク(家庭向け)の3領域を中心とした製品/ソリューション展示が行われた。

 前回の《AV over IP+Meural編》記事に続いて、今回はビジネスネットワーク、ホームネットワークの展示内容をお伝えする。今年はWiFi 6E対応のビジネスアクセスポイント「WAX630E」や「Orbi 9」がフィーチャーされ、電波環境の悪いInterop会場においても通信スピードが劣化しないWiFi 6E/6GHz帯の実機デモが行われていた。さらにネットギア初となるWiFi 7ルーター、ミリ波5G対応のWiFi 6Eモバイルルーターなど、これから登場予定の製品展示もあり、来場者の注目を集めていた。

ビジネス向けネットワーク製品のコーナー。WiFi 6Eアクセスポイント「WAX630E」、屋外用アクセスポイント「WAX610Y」など多数のラインアップを展示

5Gミリ波対応のWiFi 6Eモバイルルーター「Nighthawk MR6550」、WiFi 7ブロードバンドルーターの「Nighthawk RS700」も参考出展

ビジネスネットワーク:NETGEAR Insight、6Eアクセスポイントなどアピール

 ビジネスネットワーク領域では、WiFiアクセスポイントとスイッチの豊富なラインアップと、ビジネスネットワークをクラウド統合管理できる「NETGEAR Insight」がアピールされていた。

 ネットギア 会長兼CEOのパトリック・ロー氏は、NETGEAR Insightを使うことで多拠点に展開する企業ネットワークが一元的にリモート管理できる効率性を強調した。「あるいはSIerなどが、顧客企業のネットワークをまとめて監視、管理するサービスも展開できる。たとえば数十社のネットワークでもまとめて管理可能だ」(ロー氏)。

 デモ展示では、WiFi6EアクセスポイントのWAX630EWiFi 6E対応USBアダプター「Nighthawk A8000」を使ったスピードテストが披露されていた。Interop会場内では多くの出展社が独自のWiFiネットワークを構築しており、5GHz帯の電波状況は非常に悪い環境と言える。そこで、5GHz帯(WiFi 6)と6GHz帯(WiFi 6E)の通信スピードを比較していた。

 スピードテストの結果は一目瞭然で、6GHz帯が高いスループットと短いレイテンシを維持する一方、5GHz帯ではスループットが大きく落ち込み、レイテンシも非常に悪化していた。今後、映像伝送などより高速な通信にもWiFi 6EやWiFi 7が適用されるなかでは、クリーンな6GHz帯を適切に活用する必要が出てくるだろう。

6GHz帯/WiFi 6E(右)のダウンロード速度は727.2Mbps、Ping値は2ミリ秒だった一方で、5GHz帯/WiFi 6(左)のダウンロード速度は81.7Mbps、Ping値は117ミリ秒と大きく劣化している

 なおビジネスネットワーク領域では、Ultra60 PoE++対応の1G/2.5Gアンマネージスイッチ「MS108UP」がInterop Best of Show Award 審査員特別賞を受賞している。1ポートあたり最大60W、スイッチ全体で最大230Wの給電が可能なPoE++スイッチだ。管理機能を備えないアンマネージスイッチだが、小規模なWiFiネットワークを構築する際、アクセスポイントへシンプルにPoE給電したいというニーズが高まっており、それに適した製品だ。また前出のNighthawk A8000も同じく審査員特別賞を受賞している。

ホームネットワーク:WiFi 6Eスマホで1Gbps超え、次期WiFi 7ルーターも展示

 ホームネットワーク領域ではまず、WiFi 6Eルーター/メッシュシステムの「Orbi 9」をはじめとするOrbiシリーズが展示されていた。Orbi 9のデモでは、WiFi 6E対応のスマートフォン「Google Pixel 7 Pro」を使って実測値で1Gbpsを超えるネットワークスピードが実現しており、多くの来場者が注目していた。

 なおロー氏によると、OrbiでもWiFi 7モデルの開発を進めており、当初は現在のOrbi 9と同じクアッドバンドでWiFi 7に対応し、その次はペンタバンド(5帯域)モデルも計画しているという。WiFi7ではさらに高速化が進むため、Orbiの特徴である専用バックホールに6GHz帯も加え、バックホール通信も高速化していく狙いがあるだろう。

WiFi 6Eルーター「Orbi 9」

WiFi 6E対応スマホで実測1Gbps超えの通信スピードを実現

 もうひとつ注目を集めていたのが、次世代WiFi 7ルーターのNighthawk RS700や、5Gミリ波/WiFi 6E対応モバイルルーターNighthawk MR6550の参考展示(日本未発売)だ。

 RS700は、トライバンド合計で最大19Gbps(WiFi 6比で2.4倍)ものストリーミングスピードを実現するWiFi 7ルーターだ。ゲーミングブランドのNighthawk製品ということもあり、低いレイテンシも実現しているという。日本では未発表/未発売だが、米国では700ドルで予約販売されている。

 背面を見ると、WANが10Gポートになっているのに加えて、LAN向けにも1つ10G/マルチギガポートを備えていた(ほかに1Gポート×4がある)。4K/8KストリーミングやAR/VRコンテンツなど、家庭向けのコンテンツサービスも大容量化が進んでおり、こうしたユースケースをWiFi 7と有線10Gの両方で支える製品になりそうだ。

WiFi 7ルーターのNighthawk RS700。背面を見ると10G WANポートに加えてLANにも10Gポートがある

 MR6550(Nighthawk M6 Pro)は、5Gミリ波とWiFi 6Eに対応したモバイルルーターだ。5Gミリ波(WAN)は最大8Gbpsを、WiFi 6E(LAN)は最大3.6Gbpsの通信スピードを実現し、最大32台のWiFiデバイスを接続できる。日本未発売だが米国では1000ドルで販売されている。

 本体底面にはUSB-Cポートや2.5G LANポートも備えており、USB-C経由ではWiFi 6Eを超える最大5Gbpsの通信も可能。また5040mAhの内蔵バッテリで最大13時間使用できるが、USB-C給電で永続的に稼働させることも可能だ。そのため、たとえばネットワークが敷設されていない場所のカメラ映像を中継するなどの用途も考えられるという。

USB-Cポートや2.5G LANポートを備えるMR6550の底面と、裏蓋とバッテリを外した背面

* * *

 ビジネスネットワーク領域の展示ではアクセスポイントのラインアップが目立ったが、実はそれを支えるPoE++スイッチも豊富にそろっている点は注目しておきたい。審査員特別賞を受賞したMS108UPが示すように、小規模なネットワークでもPoE++給電が求められる時代だ。

 ホームネットワーク領域では、参考展示の製品も含めて、家庭向けインターネット回線の大容量化とインターネットコンテンツの大容量化への対応が急速に進む現状が反映されていると感じた。ネットギアでは“プレミアムなWiFi”を提案しているが、Orbi 9以後の製品でもこの路線が継承され、さらに強化されていくことになる。

カテゴリートップへ