プライム・ストラテジーはなぜCMSプラットフォーム統合サービスを始めたのか?
2023年07月03日 09時00分更新
こんにちは。KUSANAGIの開発チームで取締役をしている相原です。
「KUSANAGI」はWordPressをはじめとするCMSを高速に動作させる仮想マシンです。わたしたちは「KUSANAGI」を開発して皆様にご利用いただくほか、お客様のWebサイトを「KUSANAGI」で運用しています。
この連載では、「KUSANAGI」の開発やお客様とのお話の中で感じた課題や実際の運用の中で得た知見などをお伝えしています。
みなさん、「Webガバナンス」という言葉を聞いたことがありますか?
Webサイトは、単なる情報提供のためだけにあるのではなく、顧客との接点であり、企業のブランディングに寄与するとても重要な存在です。多くの企業では、サービスや人材募集などの用途別、組織別、対象国別、などさまざまな用途で複数のWebサイトを運用しています。
これらのサイト群を効率的に安全に運用し、統一された企業ブランドとして営業やマーケティングを実現するための総合的な取り組みをWebガバナンスといいます。
顧客との接点としてのWebサイトの重要性が高まるのと同時にWebガバナンスの重要性も高まっています。その中でも、ルールに沿った安全で効率的な運用を実現することは、Webガバナンスの実現を支える基本となる重要な取り組みとして注目されています。今回はこのWebガバナンスとCMSの統合、そして私たちプライム・ストラテジーとの関係についてお話ししたいと思います。
CMSプラットフォーム統合とその必要性
現在、Webサイトの63.2%(※)はなんらかのCMS(コンテンツマネジメントシステム)を利用してつくられています。
※2023年5月現在
Usage statistics of content management systems
https://w3techs.com/technologies/overview/content_management
クラウドの利用も一般的になり、サイトの立ち上げや管理が簡単になった反面、「Webサイトが乱立して、どこでどんな運用がされているかわからない」という課題が顕在化しています。このような状況では、管理されていないWebサイトがハッキングや改ざんにあったことさえ気がつかない可能性もあります。
Webガバナンスの実現にとって大きな障害となってしまいますね。
バラバラになってしまっている情報を集約して、Webの基盤を統一し、ルールに沿った安全で効率的な運用を実現する。このような取り組みをわたしたちは「CMSプラットフォーム統合」と呼んでいます。
とはいえ、CMSプラットフォーム統合を進めるのは、簡単ではありません。
なにしろ関係者との調整やサイトの引っ越しにも膨大な時間がかかります。運用ルールも厳しくしようとすればいくらでも厳しくできますが、管理をする情シス部門の方の工数が増えるばかりで、実際の運用の担当者もルールに縛られて、本来行なうべきWebサイトの活用のスピードが落ちてしまうようなことがあっては本末転倒です。
グループ会社や販売会社、複数の部門、制作会社など対象が広く関係者も多いため、プロジェクトの意義に共通の理解を持っていただくことが必要です。管理すべきサイトのリストアップも大変です。担当者が異動などにより不在となっていたり、存在すら把握できていなかった「野良サイト」が発見される場合もあります。
これらの準備段階を経て、いよいよCMSの移行やアップデートなどを進めるフェーズとなるわけですが、思わぬところでシステムが連携していたり、アップデートが想定していたよりも難しかったりと、一筋縄では進まないことがでてくることもあります。
統合プロジェクトを完了したあとは、運用フェーズです。セキュリティを継続的に担保するために、ルールに沿った運用を続けて行く必要があります。
プライム・ストラテジーのCMSプラットフォーム統合サービスで解決できること
わたしたちは、これらのお客様の課題を解決し、Webサイトを活用していただける基盤を整えるための総合的なサポートを行なう「CMS統合プラットフォーム統合サービス」を提供しています。お客さまの課題に対して以下のような対応で進めていきます。
課題:対象となるWebサイトのリストアップ
対応:リストをいただいて、サイトの現状を調査します。利用しているサーバ、ミドルウェアのバージョン、CMSとそのバージョン、ドメインやDNSの管理など、情報が煩雑になっているものを整理し、足りない情報があればお客様やベンダーさんと協力して補っていきます。要件定義や最終的なコストの策定にも影響するとても大切なステップです。
課題:Webサイトの整理と棚卸
対応:同じCMSで作られているサイトはできるだけまとめたほうが効率的です。高度で複雑なWebサイトに関しては、スペックが高いサーバで管理しやすい構成へ、コーポレートやECサイトのような個人情報が含まれるWebサイトはよりセキュアにといったように、サイトの性質も考慮します。また、管理する部門やベンダーさんによっても管理するサーバをわけたほうがいい場合もあります。このように複雑に絡む要因を整理し、最も効率的と考えられる組み合わせをご提案します。
課題:運用ルールの策定
対応:お客様の要件をお伺いしながら、セキュリティを確保しつつ、運用の柔軟性も確保できる、バランスを考慮したプランをご提案させて頂きます。同時に基盤に導入するWAFや改ざん検知などのセキュリティツール、移行時や運用時のアップデートのポリシーなども決めていきます。
運用ルールは決めたら終わり、ということではなく、さまざまな状況の変化によって変わっていくものです。このステップで基本的な考え方を統一しておくことで、柔軟な運用が行なえるようになります。
課題:サイトの移行と想定していなかった課題への対応
対応:サイトの移行時に、アプリケーションの最新化を行ないます。古い環境(ミドルウェア)で動作していたものは最新の環境で動作するように調整します。社内システムなどと連携している場合には連携の調整なども行います。
実際の移行作業を進めると、想定していなかった課題が発生することもあります。お客様に解決方法をご提示し、方針を決めていきます。
課題:継続的なセキュリティの担保
対応:継続的にセキュリティを担保するには、最新の環境に保つことが重要です。定めた運用ルールに沿って定期的なアップデートを行います。また、脆弱性に関するレポート(WordPressの場合にはWPScanを利用したWordPressやプラグイン、テーマに関する脆弱性の有無のレポート)や、定期的な脆弱性診断などもを行ないます。
課題:プロジェクトの長期化と膨らむコスト
対応:対象サイトが多くなるほど、プロジェクトは長期化し、コストも膨らんでしまいます。そのため多くの作業を自動化しています。環境構築やサイトの移行、テストを自動化することでプロジェクトを短期間で完了することができます。また、公開してから障害につながる点がないかについてもAIが検証してアラートをあげるため、より安定した状態で運用に入ることができます。
CMS統合といえばプライム・ストラテジーへ
わたしたちにはKUSANAGIという高速で安全な、標準化されたWeb基盤となるプロダクトがあります。これまでも多くのお客さまのWebサイトの運用をお手伝いしてきましたので、さまざまなリスクに対してのノウハウもあります。このノウハウをもとに移行から運用までのさまざまなステップを、AIを活用して自動化しています。
Webガバナンスを実現するために、このような課題に直面し、一つ一つ解決しながらグループ内のWeb基盤の統合を進めているSUBARU様がどのように取り組まれていらっしゃるのか。SUBARU様にインタビューをさせていただいた記事がありますので、ぜひご覧ください。
関連記事:SUBARUが考えるWebガバナンスと基盤統合の意義
https://ascii.jp/elem/000/004/110/4110428/
また、実際のプロジェクトも担当している池宮取締役のインタビュー記事、Webサイト統合の悩みやサービスのメリットについて私が答えているインタビュー記事もぜひご覧ください。
関連記事:待ったなしのCMS統合と自動化 プライム・ストラテジー池宮取締役が語る
https://ascii.jp/elem/000/004/121/4121259/
関連記事:サイト移行や運用ルール作成も任せられる「CMSプラットフォーム統合サービス」の魅力
https://ascii.jp/elem/000/004/110/4110848/
CMS統合のプロジェクトは必要とされているのに、なかなか総合的に、しかも短期間で対応できる業者さんが少ない。このようなお困りごとを解決したい。そんな思いで立ち上げたサービスです。KUSANAGIもCMS統合に必要な機能拡充を進めています。プロダクトもサービスも多くの企業のみなさまのWebのガバナンスの実現を支援できるよう進化を続けていきます。
「WordPressならプライム・ストラテジー」から「CMS統合といえばプライム・ストラテジー」へ。