日本電気は5月19日、映像分析向けの「あいまい検索技術」を開発したと発表した。
商業施設における迷子などの特定人物の捜索にはカメラ映像から視覚的な特徴を分析する手法が注目されているが、記憶を頼りに服装の色を誤ったまま検索してしまい対象の人物が抽出できない場合や、服装などの条件から検索しても多くの人物が該当し絞り込みが難しい場合など、カメラ映像の有効活用には課題がある。また、顔認証技術を使用した分析は、プライバシーへの配慮が必要であり、カメラの解像度が不足している場合には有効に活用できない可能性もある。
今回開発された技術は、カメラに映っている人物の視覚的な特徴から、性別、上下それぞれの服や帽子、靴の色・形状、鞄などの持ち物の情報といった100以上の属性情報をAIによる推定の確信度とともに付与。そして特定人物の検索の際には、それぞれの検索条件について、記憶とAIによる推定、双方の曖昧さを考慮し総合的に合致するかを判定して検索結果を出力する独自の検索技術の活用により、対象人物を効率的に発見できるという。
例えば、服装の色について記憶が誤っている場合や、光の加減によりAIによる推定が事実と異なる場合など、検索条件の一部に該当しないものがあっても候補から排除することなく対象人物を見つけることができるとしている。
同社が実施した実証では、人の往来が激しい14ヵ所のエリアを撮影し、1000人以上が映る1時間程度のカメラ映像から、本技術を用いて平均2分で対象人物を発見できることを確認。さらに、本技術は顔画像を使用しなくても外観属性の推定が可能なため、カメラ映像から人物を高速・高精度に検索することができるだけでなく、プライバシーに配慮した運用も可能なことから商業施設における映像分析技術の導入が行ないやすいという特長がある。
同社では、本技術を提供中の「NEC 映像分析基盤」にて2023年度中に実用化の予定。