ウォルターズ・クルワーは4月18日、東京恵比寿にあるウェスティンホテル東京にて記者会見を行ない、世界のESG規制に対応した経営管理プラットフォーム「CCH Tagetik」の新機能「CCH Tagetik ESG & Sustainability Performance」の日本市場での提供開始を発表し、その概要について解説した。
世界が舵を切るESGの波
1月にEUにて「企業サステナビリティー報告指令(CSRD)」が発効された。これにより、環境権(気候変動、生物多様性)、社会権、人権、ガバナンスなどに関連する持続可能性に関する諸問題についての報告が求められる。この、サステナビリティー開示の動きは日本でも本格化しており、遅くとも3年以内に有価証券報告書での法定開示が予定されている。
ウォルターズ・クルワー コーポレート・パフォーマンス&ESG部門のCEOであるカレン・アブラムソン氏は「こうした複雑なグローバル要件の管理、成長の促進、変化のナビゲーションを向上させるためのデジタル技術としてCCH Tagetikを提供してきた」と語り、「世界的にみても成長著しいアジア市場において、ESG意識への変革を促していく」とコメントした。
この会見に登壇したパートナー企業のEYストラテジー・アンド・コンサルティング社長 近藤聡氏は、「ESGへの対応は報告義務だけでなく、サステナビリティーが、商品を購入する意思決定に影響するという消費者の割合が50%存在すること、投資家に対して長期的な価値や競争上の優位性を示す上で重要である」と語っている。
グループ全体で経営情報を一元管理
新ソリューションについての発表は、同社CCH Tagetik日本マネージングディレクターの箕輪久美子氏が登壇し行なわれた。
今回発表されたのは、財務・非財務情報、ESGデータの管理を一元で行ない、データの収集から分析、アウトプットまでをひとつのプラットフォームで実現するCCH Tagetikを活用した新機能。
日本企業では、独立採算制により各部門・事業部ごとに数字を管理してきたことで、部署やグループ会社によって異なるシステムを採用してしまい、グループ全体での一元管理が難しいという固有の事情があり、同じ分類のデータでも、粒度が異なったり整合性がとれないデータが散在しているのが現状だという。
しかし、CCH Tagetikを導入することでひとつのプラットフォームにデータを集約し分析できるようになる。また、現在、多くの企業がESG報告書の作成にいくつものソフトウェアを併用しているが、CCH Tagetikひとつで作成まで行なえるのが強みとしている。
CCH Tagetikには、業種別KPIカタログ、計算処理、入力・報告フォーマットが事前に定義され、GRIやSASBといった各種報告書の基準に沿った開示を行なえる。データ分析のためのダッシュボードやアドホック分析、シミュレーション機能などを搭載している。
これを活用し同社では、以下のようなESG経営の段階的アプローチを提唱している。
・第1フェーズ 開示および分析
ステークホルダーに向け、ESG関連の情報開示や分析をより効率的・効果的に行なう。
・第2フェーズ ESG指標と事業計画の連携
実際の事業活動のなかで、ESGの目標達成に向けPDCAを行なっていく。
・第3フェーズ ESG規制のなかで新たなビジネスモデルを構築
プロアクティブに事業ポートフォリオの分析や、製品ポートフォリオの再構築を行なう。
現在、ESGは単なる規制のトレンドではなく、サステナビリティーを中心とした新しい社会に変化していくとし、同社は、この潮目をチャンスとし日本企業がイノベーションを起こし、世界をリードしていけるよう変革をサポートしていきたいと目標を語り、記者会見は終了した。