スマートプロジェクターメーカーJMGOは4月6日、日本で初めて3色レーザーを採用したという、4Kプロジェクター「N1 Ultra」を発表した。価格は28万3360円で5月15日に発売する。
自社開発した光学エンジン「MALC」を搭載し、3色レーザーモジュールには、日亜化学工業の「QuaLas RGB」を採用した。これまでの3色レーザーはコストがかかり一部の映画館のプロジェクターにしか採用されていなかったが、小型化と低コストを実現できたことで一般製品への搭載が実現した。これにより、映画館並の映像をN1 Ultraで楽しめるという。
従来のLED光源などでは、緑の光を直接だすと発光効率が低く、蛍光体とよばれる物質を使って青から色変換を行なっていた。今回、日亜化学工業は明るく発光効率の高い緑のレーザーダイオードの開発に成功し、色純度の高い緑を使用できるようになった。赤・青・緑の3色のレーザー光源により、従来のプロジェクターに比べ、色再現範囲を圧倒的に広げることに成功した。
これにより、自然界における物体色の99.9%を再現し、BT.2020のほとんどをカバーしている。ここまで色再現を実現しているのは、この3色レーザー光源だけだという。
下図の赤線で囲まれた部分がN1 Ultraでカバーしている色再現範囲。白線が従来の4KLEDプロジェクターの色再現範囲であり、より多くの色を再現できることがわかる。
明るさは2200CVIAルーメン。CVIAは中国で策定された規格で、3200ANSIルーメンの製品よりも明るく、コントラスト比は1600:1となっている。JMGO独自の比較測定で従来品よりも鮮明な映像を出力できているという。
レーザー光源にはデメリットとしてスペックルノイズがある。その対策として、JMGO独自技術の上下左右に高速で振動する板に、1本1本の強いレーザー光を混ぜ合わせることで、映像をなめらかにするライトスペックル技術を採用している。また、QuaLas RGBにて、色純度が下がらない範囲で色の波長をずらすことでザラつきを抑え、鮮明な映像を映し出す。
一体型設計のジンバルスタンドは、左右360度、上下135度に向き調整を行なえる。また、シームレスな台形補正により、向きを変えても即座に歪みのない映像になる。真上に向けることで天井への描画も可能。
本体にはデンマークのオーディオメーカーDYNAUDIOの10Wスピーカーを2基搭載。OSはAndroid TV 11を搭載し、アップデートへの対応も現在協議しているという。
インターフェースには入出力HDMI 2.1×1、eARC対応の入出力HDMI 2.1×1、USB Type-A×1、ステレオミニ端子×1を搭載している。
発表会には、オーディオビジュアル機器の総合アワード「VGP」の審査委員長である大橋伸太郎氏も登壇。「N1 Ultraは眩しいくらい明るくてポテンシャルが高く、スマートプロジェクターの第二章を告げるような製品」と語った。また、「素性がいいので、もっと沢山の映像プリセットを搭載してほしい」とJMGOに提案する場面もあった。
N1 Ultra現在、事前予約を受け付けており、予約すると特典として専用スタンドをもらえる。また、解像度が2Kになり、明るさも少し下げた普及モデルの「N1 Pro」の発売も予定されている。