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SIMの業界とは? eSIMやiSIMってなに? これを読めばSIM博士!

4月6日はSIMの日! あなたの知らないSIMの世界についてソラコムに聞いてみた

大谷イビサ 編集●ASCII

提供: ソラコム

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新規案件ではかなりの割合がeSIM

大谷:こうした業界動向を踏まえて、ソラコムのSIMがこれまでどんな進化を進めてきたのか教えてください。

大槻:ソラコムがIoT向けデータ通信サービスのSORACOM Airを開始したのが2015年の秋です。当時は、日本国内で通信可能なSIMをカード型で提供していました。その後、2016年の秋にはいわゆるグローバルSIMを始め、2017年にはデバイスに組み込み可能なチップ型SIM(Embedded SIM、eSIM)を展開するようになりました。

SORACOMのSIMテクノロジーの歩み

SIMが持つ機能を基にした、IoT向けサービスもあります。それが2018年に提供を開始したSORACOM Krypton(クリプトン)というサービスです。Kryptonは、SIM内部の識別情報を用いて、IoTデバイスの初期化処理に必要な情報の取得を支援します。2016年のグローバル展開以降、ソラコムがフルMVNOとして自社でHLRやHSS(加入者管理機能)を開発したことで、より柔軟な回線管理・料金体系やIoT向け機能の提供が可能になりました。

大谷:続いてコンシューマ向けeSIMになりますかね。

大槻:はい。iPhoneなどでコンシューマー端末向けにQRコードを用いたeSIMプロファイルダウンロードのトライアルをスタートしたのが2019年頃。そして、新型コロナウィルスによるパンデミック直前の2020年2月、QRコードなしで、iOSアプリの操作だけでeSIMの購入から設定までが完結するコンシューマーブランド「Soracom Mobile」をスタートさせています(関連記事:eSIM&グローバル通信をお手軽に 君はSoracom Mobileを知っているか?)。

大谷:改めてeSIMのメリットについても教えてください。

大槻:IoT/M2M向けeSIMは先述の通り物理観点のメリットやデバイスベンダ側での相互接続テストの簡略化等が大きいと思います。コンシューマ向けeSIMはお客様観点では物理的なSIMの差し替えがなくなり、eSIMプロファイルをダウンロードすることにより、従来のSIMと同等の機能を実現します。Soracom Mobileはワンストップで、APNの変更もなく、すべての国で同じように利用できます。お客さまからも手間がないところはご評価いただいていますね。

大谷:SIMがソフトウェア化してきたわけですね。

大槻:はい。同じく2020年には弊社独自の技術として1つのSIMに複数の契約情報をOTAで載せられる「サブスクリプションコンテナ」を開始しています。また、デバイスの各種情報を取得して、サーバー側にレポーティングする「ローカルインフォ」というアプレットもインストールされています。さらに一部のお客さまには鍵ペアを自動生成するSIMアプレットの提供も始めています。

SIMに搭載されているプロセッサーは性能も高くないので、できることは限られているのですが、うまく使うことで、認証やセキュリティに役立てることができます。ちょっとしたプロセッシングをしたり、難読性もあるので、SIMの中に鍵を保存することでセキュリティを確保することもできます。

大谷:SIM自体で処理ができるというのは面白いですね。

大槻:IoTの世界って、サーバーやクラウド側のセキュリティに注目が集まるのですが、デバイス側のセキュリティにも気を配る必要があると私たちは考えています。たとえば小型コンピューターとして人気のあるラズパイの中のmicroSDに、クラウドへアクセスするための認証情報が、読み出し可能な状態で保存されているケースもあると聞いたことがあります。デバイスをいかにセキュアにするのかは、IoTが本格化した現在において取り組むべき課題でしょう。

カードサイズのSIMからナノSIM そしてeSIM、iSIMへ

大谷:なるほど。大槻さんがソラコムのSIMの歴史を振り返って、メモリアルなサービスとか、トピックはどこらへんでしたか?

大槻:やはりeSIM対応ですかね。ソラコムも始まった当初は数百回線という規模のお客さまが多かったのですが、eSIMを始めてからは案件の規模が数千、数万にまでスケールできるようになりました。同時に、製品にeSIMを組み込んで通信の疎通確認を実施した後に、SIMのステータスをStandbyに変更することで、在庫期間は基本料金が無料で保持できる(1年後更新が必要)料金プランを発表したこともあり、量産を前提としたIoTデバイス・コンシューマーデバイスの案件が加速するようになりました。現在はお客様の全体の6割以上近くがeSIM搭載デバイスで、新規案件ではかなりの割合でeSIM化されています。

進むソラコムのeSIM採用

当時の初期のお客さまの1つがポケトーク様です。通信でデバイスとクラウドをつないで、通訳を提供するという新しい製品コンセプトに私たちも驚きました。

お客さまのフィードバックを受けて、より使いやすいeSIMになってきています。では、さらなる進化はあり得るのかを考えてみると、大きく二つの方向性、物理的に極限まで小さくする方向性と、仮想化してソフトウェア化していく方向性になります。

大谷:確かに最近のSIMは小さいですよね。私もミニSIM以降はよくわかっていません(笑)。

大槻:物理的に言うと、SIMはいわゆる1FFというクレジットカードサイズからスタートしています。ヨーロッパで最初に投入された自動車用の携帯電話にはフルサイズのカード型SIMが刺さっていたんです。

その後、みなさんが見慣れている2FFサイズのミニSIMとなり、3FFサイズのマイクロSIM、いまもっともメジャーなナノSIMにまで小型化されています。一方で、組み込み用途では6mm×5mmサイズのMFF2になっており、さらに小さいWLCSPというフォームファクターもあります。

SIMの進化

そして、現在は業界的にiSIM(integrated SIM)に進んでいます。これは従来のSIM/eSIMと同等のセキュリティを担保した上で、セルラー通信のモジュールのチップセット内にSIMの機能を実装する技術です。

大谷:ワンチップ化してしまうんですね。

大槻:はい。従来セルラーのSoCとSIMは部品としては別々で、これはeSIMでも別々でした。SIMスロットがなくなり、書き換え可能なeSIMが表面実装されても、部品としては違うものだったんです。このeSIMをセルラーのSoC(System on Chip)に格納してしまうのが、iSIMになります。

iSIMとは?

大谷:eSIMで充分な気もするのですが……。

大槻:従来の物理SIMにあった課題はeSIMでかなり解消してきたのですが、基板スペース、消費電力、処理能力、実装コスト、輸出入コスト、商流の煩雑化など、セルラーSoCにワンチップ化することで、eSIMでも解決しきれなかった課題の多くを課題が解消できると期待しています。

たとえば、基板スペースの問題。先ほどMFF2は6mm×5mmと説明しましたが、半導体の世界だと、まだ大きいくらい。スマートウォッチのようなウェアラブルでは極端に小型のデバイスも出始めています。商流に関しても、SIMを組み込むメーカーからすると、今まで別々に調達しなければならなかったSIMとセルラーSoCを同じメーカーから調達できます。まさにワンチップ化することで、商流もシンプルになります。

大谷:業界構造も変わりそうですね。

大槻:この半年で各SIMベンダーがコンシューマ向けとIoT向けでiSIM対応を発表しており、先日開催されたMWCでもクアルコムやタレスがiSIMへの対応を発表していました。

われわれもこうした最新の技術や動向にはつねに目を光らせており、eSIM/iSIMに関しては標準化のワーキンググループにも参加しています。また、iSIMに関しても2022年の夏にソラコムは、セルラーIoT向けのチップセットを開発する​ソニーセミコンダクターイスラエル(Sony Semiconductor Israel Ltd.)と、セルラーIoTデバイス向けにセキュアな認証情報を提供するKigenの提供元であるKigen社とともに実証実験を実施したことを発表しています。アーリーフェーズから最新技術を試すことで、お客さまと一緒に実証実験や商用化まで進められるよう準備しています。

大谷:なるほど。すごく勉強になりました。では、最後にSIMの日を迎えるにあたって、ソラコムとSIMの今後についてまとめてください。

大槻:SIMのテクノロジーはセルラー通信の認証やセキュリティの根幹です。この技術があるからこそ、IoTプラットフォームSORACOMも世界中でサービスを展開できていると言えます。eSIMやiSIMが普及することで、SIMの存在は物理的には小さくなり、見えにくくなっていきますけど、あらゆるモノがコネクテッドになっていく時代には、システムやサービスの企画・開発に関わる方はしっかり押さえるべきテクノロジーだと考えています。

大谷:ありがとうございました!

(提供:ソラコム)

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