働き方・仕事についてのお悩み、募集しています!
「こんな働き方はもう嫌だ…」「仕事がなんだか楽しくない」。
日々働いていて感じる、誰かに聞いてほしい、でも人には言いにくい仕事の悩み。この連載では、そんなお悩みを一緒に考えます。
何か一緒に考えてみたいことがあれば、匿名でも大丈夫なので、お気軽にメッセージください。お悩みメッセージはこちらから。
卵子凍結と仕事の両立に悩んでいます。
ASCII読者の皆さん、こんにちは!正能茉優です。
今月も、パーソルキャリア株式会社の新規事業企画、ハピキラFACTORYの代表、そして慶應義塾大学大学院の特任助教と、3つのお仕事をしています。
さて、この連載「お仕事悩み、一緒に考えます。」では、今月も、読者の皆さまからいただいたお仕事に関するお悩みについて、一緒に考えていきます。
今月のテーマは、同じく30代の女性にいただいた「卵子凍結」に関するお悩みについて。
とてもセンシティブなテーマであることを自覚しながら、働く女性にとっては、働くことと切っても切り離せないテーマなので、ぜひいっしょに考えさせてもらえたらうれしいです。
卵子凍結に興味がある。でも仕事も頑張りたい…
正能さん、こんにちは。
私は正能さんと同じく、企業の中で、ある事業そして部署の責任者として働いている35歳です。
最近よく耳にする「卵子凍結」に興味があり、ただ友人や会社の人に話をすることも憚られるテーマなので、同じく仕事に力を注ぐ同性として、ご意見を聞きたく連絡しました。
私は今自分の担当する事業がとても楽しく、直近で結婚をしたり、子どもを産んだりすることは正直考えていません。
ただ年末年始に久しぶりに実家に帰り、母と話をして「いつかは、自分も家族や子どものことも考えたい」という非常に漠然とした想いを自分が持っていることに気がつきました。
そこで先日、卵子凍結のオンライン説明会に行ったのですが、この卵子凍結というのが想像以上に時間がかかるもので、本当に実現に向けて動くのかすらわからない漠然とした子どもや家族への想いのために、目の前の仕事を犠牲にするべきか悩んでいます。
説明会に参加した私が思うに卵子凍結は、特に「時間」と「お金」の面での犠牲が大きいです。
時間の面では、この後の進め方としては、卵子凍結に向けて必要な検査をして、また別日に検査結果を聞きに行って、さらにまた別日に卵子凍結に必要な排卵に向けての注射を打ちに通って、ある程度卵子が育ったタイミングを確認しにも通って、タイミングを見て採卵をしに行くという感じです。射を打つことが自分でできなかったり、卵子の育つスピードが予想とずれていたりした場合には、各プロセスにおいて複数回の通院になることもあるとのこと。
しかもこれらのプロセスは、事前にスケジュールを組めないことも多く、卵の育ち方次第では「急遽明日病院に行かなくてはならない」ということも。
さらに、卵子の数や質によっては、これら全体のプロセスを繰り返すケースもあるようで、テトリスのように組まれている現状の自分の業務スケジュールを見る限り、通院しきれるようには到底思えません。
また、卵子凍結をした先には、「いつかこの凍結した卵子で子どもを産みたい」と思う時があるのかもしれませんが、その時にも繰り返されるであろう通院と仕事を自分は両立できるんだろうか……という不安な気持ちになったりします。
(チーム内にちょうど妊娠している後輩がいて、定期的な検診はもちろん、重いつわりで、1日5時間以上点滴に通い続ける様子を見ていたので、そう感じるのだと思います。)
やりたい仕事に責任者という立場でやっと関わることができるようになった中、どうしても目の前の仕事を放り出したくない自分もいるし、でも未来の可能性を残しておきたい自分もいるんです。
また、かかるお金も、これまた採卵の回数や、1回の採卵でとれる卵の数で変わるものなのですが、100万円前後はかかりそうなので、簡単に踏み切れないところもあります。
ただただ思うがままに自分の考えを書いてしまったのですが、もし正能さんが私だったらどうしますか?
このようなセンシティブな話を初対面で伺うことが失礼であるという自覚がありながらも、直接の知り合いではないからこそ相談しやすいところもあり、ぜひご意見伺えるとうれしいです。
(ナミカさん・35歳・会社員)
私ならまず一回、卵子凍結してみます。
ナミカさん、お便りありがとうございます。
「仕事」と「ライフイベント」って、令和になった今もなおどうしてこうも悩むことなんだろうと思いつつも、私自身ももちろんそうですし、私の周りにも悩む友人がたくさんいます。特に最近は「卵子凍結」や「不妊治療」といった選択肢も一般的になってきて、ますます悩みも多様化してきましたよね。
今回いただいたお便りについては、正直お答えするか悩みました。というのも、当事者ではない私が自分の意見を言うことで当事者として日々考えられている方に不快な思いをさせてしまうかもしれないリスクを感じたからです。
それでも今回は、この記事を読んでくださっている当事者以外の誰かが「卵子凍結」を知ったり、考えたりするきっかけになったらいいなと思い、お悩みに答えさせてください。
まず私は当事者ではないのですが、一緒に働くメンバーの中に悩みながらも卵子凍結に踏み切った女性がいたり、友人にも一人卵子凍結に向けての採卵を来月予定している女性がいたりと、この半年の中で3人の女性が卵子凍結に向き合う様子を近くで見てきました。
(センシティブな話なので、ここからは少しフェイクも交えつつ、お話しさせてください。)
彼女たちの葛藤を少なからず感じ、その中でたまに相談をもらう機会もある中で、「自分だったら……」と考えての答えですが、私ならまず一回卵子凍結してみます。
ただあくまでも、「卵子凍結して、妊娠に必要とされる数の卵子を残します」ではなく、「まず一回、卵子凍結してみます」が今の私の答えです。
理由は3つです。
- 年齢に応じて卵子の質が変わっていく中で、今が一番若いこと
- とれる卵子の数は、やってみないとわからないこと
- 自分がどう感じるのかも、やってみないとわからないこと
まず1つ目は、私の友人がそれこそ卵子凍結の説明会に参加し、「年齢に応じて、卵子の質が妊娠しにくい質にどんどん変わっていく。つまりは将来子供が欲しい場合に、凍結しておくべき卵子の数も大きく変わる」と聞いたときに「もっと早くやっておけばよかった。5年前だったらかなり違ったのに」と話してくれたことなのですが、「とはいえ今が一番若い」のは紛れもない事実です。
もちろん、お金も時間も、さらには心身への負担もかかる中で「とりあえず、やってみればいいじゃん」なんてことは友人には絶対言えないし、もしも自分が当事者でもそんな簡単に決断できるとは思いませんが、卵子の質を変えることができない現在の医療のもとでは「今が一番、未来に可能性を残せるタイミング」なのは間違いないので、自分が将来に可能性を残しておきたいと少なからず考えている場合には、これは踏み切ろうと決める理由の大きな一つになるかと思います。
やってみて初めて、「具体的な負担感」がわかる
その上で「まずは一回やってみよう」と思う2つ目の理由としては、ナミカさんも様々なことを調べられていると思うので、こんなことをお伝えするのは釈迦に説法状態かなと思いつつではありますが、やってみてわかることも実は多いんじゃないかということです。
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