愛知県安城市は、持続可能なまちづくりとSDGsに取り組む企業・団体と共にSDGsの目標達成を目指す「あんじょうSDGs共創パートナー制度」を立ち上げ、現在190社を超える企業と団体がパートナーとして登録している。
シリーズ企画として、そんな共創パートナー企業・団体を広く発信。事業内容やSDGsの活動に加え、地域との結びつきなど、「実はこんなユニークな取り組みを行っていた!」と、共創パートナー各企業・団体の知られざる魅力を深掘りしていく。第7回は、安城市に工場を持つ、セロテープで有名なニチバン株式会社を取り上げる。
累計販売量は地球約4500周分! なくてはならない日用品セロテープを製造
1918年にばんそうこう類の製造から始まったニチバン。事業は大きく分けるとメディカル事業とテープ事業に分類され、メディカル事業では、救急ばんそうこう「ケアリーヴ」をはじめとしたヘルスケア商品、手術の際に使われる各種医療材などを製造。テープ事業では、誰もが知っている「セロテープ」シリーズが主要商品となる。
セロテープの製造が始まったのは1947年のこと。時代は戦後で、当時、国内には粘着テープがまだ存在していなかった。GHQから「検閲した手紙の封かんで使う粘着テープの開発」を打診され、セロテープが誕生した。1948年に発売され、その便利さや手軽さから、日用品としてあっという間に全国へ普及していった。
ちなみに、セロテープはニチバンの登録商標で、セロハンテープにおけるシェアは国内で約6〜7割、これまでの累計販売量は地球約4500周分となる。
木材チップと天然ゴムが原料。天然由来の素材を使ったセロテープ
誕生当時から現在まで、セロテープの原料は変わっていない。石油から生まれたプラスチック製品と思っている方も多いようだが、実はほぼ天然素材で作られたエコな商品である。
セロハンの原料は木材チップで、木材チップから「パルプ」と呼ばれる植物繊維の塊を作り、それを溶かして透明なセロハンフィルムを製造する。そして、天然ゴムをローラーで何度も伸ばし薄く柔らかくし、溶剤と天然樹脂を加えて粘着剤を作る。セロハンフィルムに粘着剤を塗って、最後に切断や包装の工程を経て、家庭やオフィス、学校で使われているセロテープが完成する。
広報部の卯月利征さんは「セロテープは知っているけれど、天然由来であることは知らない方のほうが多いと思います。最近はレジ袋が有料化されています。『購入後の商品です』と、印を付けたるためにテープを使う小売店が多いのですが、それがプラスチック由来ならもったいないですよね。『貼るテープも天然由来のセロハンテープにしたほうがいいのでは』という考え方が広まりつつあります」
地球に優しい天然由来のエコ商品。製造工場は自動化が進み、完成までのプロセスは次々と進化している。しかし、原料は木材チップと天然ゴム。変わることも大切だが、変わらず守り続けることも大切だと、セロテープは教えてくれる。
「巻心ECOプロジェクト」をはじめとしたニチバンのSDGs
ニチバンと安城市は切っても切り離せない関係だ。三河安城駅前にある「テープ安城工場」と「メディカル安城工場」は、名古屋にあるバンテリンドーム4.8個分を誇り、主力製品であるセロテープとメディカル製品を作っている。特に「テープ安城工場」は、セロテープ製造における重要拠点で、ニチバンにとっても中核的を担う工場となっている。
ニチバンのSDGsにおける取り組みで、代表的なものが「巻心ECOプロジェクト」だ。テープの巻心を集めて、段ボールに再利用。また、古紙回収業者に買い取ってもらった利益を元に植林活動を行っている。これまでにフィリピンにマングローブを植えたり、国内で植林活動を行ったりしてきた。この活動は、SDGsが叫ばれる前からニチバンが長らく取り組んでいる。
先ほど紹介した天然由来であることや、リサイクルのことを知ってもらおうと、出前授業も積極的に行っている。毎年、応募を募り、各地の小学校を訪問してきた。5年ほど前から、SDGsのカリキュラムとして組み込む学校も増え、ニチバンも要望を受けて協力。安城市西中学校や安城高校でも出前授業を開催した。
「私たちは地域に工場を造らせてもらい、皆さまの元で事業を運営させてもらっている感覚が強いです。(あんじょうSDGs共創パートナーに参加して)安城市役所様の協力がなければ、高校生の皆さんとSDGsでつながることはなかったと思います。これからも皆さまとの交流も含めて、地域に根差した工場を目指していきたいと思います」(経営企画室・森 修平さん)
プラスチック由来のOPPテープを天然由来のセロテープに変えることで、CO2削減を訴求しているニチバン。企業がSDGsに参加しやすい仕組みとして、こうした考えに賛同する企業も増えているそうだ。地球に優しいサステナブルな未来を目指して。ニチバンはセロテープで社会に貢献していく。
(提供:安城市)
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