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サイボウズサーカスで大阪ならではの独自企画

参加者からのコメントが飛びまくった「関西キントーーク」特別編

2023年02月22日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 昨年12月に大阪で開催されたサイボウズサーカス2022では、ユーザーイベント「関西キントーーク」のクリスマススペシャルが開催された。名物企画の「教えて先輩!お悩み相談室」でkintoneユーザー二人がゲストで登壇。会場からコメントや質問が飛び交いまくる展開となった。

kintoneユーザーの悩みに答える関西キントーーク

 MCを務めるのはサイボウズ大阪で営業を務める松森知里氏と米澤友里氏。松森氏はチキン、米澤氏はツリーをかぶり、すっかりクリスマス気分だ。まずは関西キントーークについて説明する。

サイボウズ大阪オフィスの松森知里氏と米澤友里氏

 関西キントーークは、サイボウズの大阪オフィスで開催されているユーザーイベント。前半はkintone導入済みの先輩ユーザーを迎えた「教えて先輩!お悩み相談室」というコーナーで、導入にまつわるエピソードを聞いたり、参加者のお悩みに答えたりする。後半はグループごとに分かれて懇親会。「情報共有したり、お悩み相談できてすっきりしたという声が多い。満足度の高いイベントになっています」と米澤氏は語る。今回はこのうち教えて先輩!お悩み相談室のサイボウズサーカス出張版という企画だ。

 ゲストで登壇したのはkintone導入4年目のサエラ薬局グループ田中良和氏。2021年のkintone hive osakaで地域代表に選ばれ、本選であるkintone Awardにも登壇している(関連記事:ツールのために仕事をするのはもうやめた kintoneで抱いた野望)。関西キントーークに関しては初回に登壇しており、今回はサンタの帽子をかぶって登壇した。

 もう一人のゲストは医療法人健生会の中尾典隆氏。中尾氏は2020年のkintone hive osakaに登壇しており(関連記事:kintoneへの乗り換えは、しっかりとした要件定義が重要というのが反省点)、今はkintoneエバンジェリストとしても活躍している。関西キントーークについては、1回目、3回目に参加しているという。

先輩としてアドバイスするサエラ薬局グループ田中良和氏と医療法人健生会の中尾典隆氏

 普段は20名程度でこじんまりやっている関西キントーークだが、今回のクリスマススペシャルはサイボウズサーカスの会場なので参加者も多い。そのため、お悩み相談への参加はスマホから利用できるオンラインツールのsli.doを使うことにしたという。

 ウォーミングアップとして、松森氏がkintoneの利用プランをアンケートでとってみると、ほとんどの参加者がスタンダードプランであることがわかった。ライトプランの利用者も多いが、1割近くはまだkintoneを使ったことがないという参加者だった。そして、2問目のkintoneの利用用途はフリーテキストだったので、「日報」「光熱費管理」「インシデント対応」「プラグイン開発」「社内Wiki」など、さまざまな用途が画面上に飛び交った。

「kintoneにあるよね」と言わせたら勝ち

 さて、本番の質問は選択式。「kintoneアプリ作成に関する悩み」「kintone運用開始後のアプリ」のいずれに悩んでいるか?という質問は「運用開始後の悩み」の方が気になっているとのこと。運用開始後に一番気になる悩みとしては、「利用してくれないユーザーに、どのように利用促進すればいいか?」が選ばれた。

一番は利用促進をどうするかという課題

 この質問に関して田中氏は、「必要に迫られてkintoneを導入した経緯があるので、必要に迫られていた部署はわりとすんなりと導入できました。でも、横に拡げていくにあたっては、部署ごとの温度差があった」と振り返る。あまり積極的でないユーザーにはやはり使ったら便利と思ってもらう仕掛けや説明が必要になるという。

 「Excelファイルをファイルサーバーやローカルのわけのわからんフォルダーから探すよりも速いと思ってもらう。利便性を感じてもらうのは一番よい」(田中氏)。社内でも積極的につぶやき、従業員にアピールし続けるとよいようだ。「『これってkintoneにあるよね』と言わせたら勝ち」と田中氏は語る。

 参加者のコメントとしては、「kintoneを使うしかない状況を作っています」「kintoneグッズを身につけて社内啓蒙している」などが挙がる。これについて中尾氏は、「ハチのマークのついたkintoneのパーカーを社内で着ていたら、そのパーカーなに?と聞かれたので、うちで使ってるkintoneのパーカーやでとと答えました。グッズは効果ありです」とコメントする。コメントを受けて松森氏は、さっそく会場内のサイボウズ焦点をアピールした。

抵抗感を持つ年配には、つきっきりで教える

 利用促進をいかに進めるか?という質問に関して、中尾先輩は「最初に入れた部署はExcelで無理矢理やっていた感じで、ほぼ壊れかけでした。高いシステムを買いそうだったので、『それkintoneでできるからやらせて』と言って差し替えました。IT拒否の人も、基幹システムなので使わざるを得ない。強制力は持たせられるかなと」と語る。

 中尾氏の健生会では、まず社内の問い合わせ管理にkintoneを使った。「共有サーバー上にExcelファイルを置いて使っていたが、問い合わせがじゃんじゃんかかってくると取り合いになるので、開けない。あとで入れようと思っても、だいたいは忘れている」というのが課題だった。リアルタイムな問い合わせを入力するために導入したのがkintoneというわけだ。

 「年配の方はなかなか使い方に慣れてくれない方が多いというコメントがありました」(松森氏)について、田中氏は「私の所属している総務課は7名中、4名が還暦を過ぎています。こうした人たちにデータを登録してもらうことはあきらめたとしても、データベースとして利用する際にどれだけ簡素化できるかは工夫できる」とアドバイスした。実際、サエラ社内では、還暦オーバーの方たちもきちんと使っているという。

 中尾氏は、還暦近くの方に一度つきっきりで教えているという。「年齢が高いから使えないのではなく、新しいことを覚えるのに抵抗感があるだけ。今まで慣れたやり方を変えたくない」と指摘する。一方で、慣れたやり方でも面倒は面倒。「実際、触ってみて意外と自分でもできると思ってもらったらしめたもの」と中尾氏。率先して試す若者に比べて、抵抗感を持つ年配に対しては、きっかけ作りのためにつきそってあげることが重要だという。

「こんなアプリがほしい」と言えるだけでもいい

 続いて、わずか1%差で2位となった「アプリ管理者をどのように増やすか?」というお悩みに移る。長らく一人管理者だったものの、先日ようやく待望の増員があった中尾氏に聞くと、「使ってもらっている部署に、困ったことなどを聞きにいったとき、質問してくれる人はkintoneに興味を持ってくれている人。ちょっとアプリ作ってみない?と聞いてみる」とコメントする。感触がよかったら、上長と根回しの上、アプリ管理者になってもらう。

 中尾氏はちょうどアプリ管理者の教育を始めたところ。でも、「なにさせていいか、けっこう難しい」と答える。というのも、kintoneは情報が多すぎるからだという。「ヘルプは充実しているけど、それ読んでおいてねというのは雑すぎる」と考えた中尾氏は、kintoneで課題解決アプリを作った。利用者の立場で、スレッドに書き込んでもらったり、レコードを登録したり、操作をとにかく試してもらい、課題をクリアしてもらう。その上で、自習のためのリンクを用意。「難しいと挫折してしまうので、楽しく学べるようにがんばって作っています」と中尾氏は語る。

 サエラ薬局は、全員アプリを作れる設定にしているという。しかし、完成形でないと表に出したくないというアプリ作成者がたまにいる。「フィールド名はそのまんまで並べて、次の段階で変えていこうと考えている人も、その段階を人に見られるのがいやという人もいます」。その場合は、田中氏だけがアクセスできる専用のスペースを設けて、思い切り試行錯誤してもらうという。「自由に作れる環境で大事ですよね。ちょっと変なアプリ作っちゃって、『こうした方がいいのに』と最初の方に言われちゃうとちょっと心折れるので、このアイデアはいいですね」(松森氏)。

 田中氏も、以前はアプリを作れることが重要だと思っていたが、最近は業務改善の意欲とアイデアの方が必要なのではないかと感じているという。「こういうアプリが欲しいと言える力を持っているだけでもいいのではないかと考え方が変わってきました」と田中氏は語る。「システム部署が管理者をやってくれません」というコメントに関して、田中氏は「うちの情シスはkintone一切触っておらず、人事や経理が自分たちでkintoneを使っています」と答える。

 米澤氏が「質問責めになりませんか?」という質問に対して、田中氏は「質問攻めになるほどみんなアプリを作ってない」とコメント。とはいえ、来る質問に対して即答できる質問は即答し、即答できないものは中尾氏をはじめとする諸先輩方にエスカレーションするという。他のユーザーに聞く場合は、Twitterでハッシュタグを付けて質問を投げると、先輩たちがわらわらやってきて知恵を授けてくれる。また、オンラインコミュニティの「キンコミ」を使えば、ユーザーが相互に教え合っているという。

 「(kintoneを)わかってもらうのに2年かかりました」「みんな大好きレガシーシステム」「社内のコミュニケーションをkintoneに一本化すると使わざるを得ない」などなど、大阪という土地柄なのか、会場からのコメントはすさまじく多かった。最後、サイボウズの二人は関西キントーークについて告知して、参加者と盛り上がったセッションを終えた。

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