Galaxyシリーズで実践! 使い方はとても簡単
今回はGalaxy Buds2 ProとGalaxy Z Fold4を手もとに用意して、360オーディオ録音を試してみました。
設定メニューが多少入り組んだところにありますが、機能のオン・オフを切り換えること以外に複雑なパラメータ調整などもないので、気軽に楽しめる機能です。Galaxy Buds2 Proをペアリング後、カメラを起動して動画モードを選択。設定アイコンをタップして「動画の拡張オプション」から「360オーディオ録音」をオンにしましょう。
機能をオンにすると、カメラのプレビュー画面の右上隅に「360 MIC」のアイコンが表示されます。Galaxy Z Fold4が対応する8K/24fpsまですべての録画モードと併用できる機能です。
カメラアプリから録画を開始すると、イヤホンから立体感に富んだサウンドが聞こえてきます。録画中の音声モニタリングに対応しているので、歩きながら動画を撮る際にも周囲の音に気を配ることができました。
撮影したビデオには、360オーディオが記録されます。立体サウンドを再生して「聴く」ために特別なデバイスは不要です。そのままGalaxyシリーズの組み合わせで聴いても良いですし、ファイルをPCに転送して、有線のステレオヘッドホンを接続して聴いても360オーディオが楽しめます。LC3コーデックによる録音品質がとても高く、周囲を移動する人や車の音が鮮明に感じられます。
ワイヤレスイヤホンによる
360オーディオ録音がトレンドになるかも
Galaxyシリーズが先鞭を付けたことで、今後はLE Audioによる新しいオーディオコンテンツの楽しみ方に対応するデバイスが続々と増えそうです。
今回Galaxyシリーズが対応した360オーディオ録音は、今後他社の製品もLE Audioに対応すれば使えるようになるのでしょうか。サムスンに問い合わせたところ、「Galaxyシリーズのスマホとワイヤレスイヤホンの間で独自の同期処理が必要となるため、他社製品との連携はできない」という回答でした。
ただ、同様の360度録音、バイノーラル録音の機能をLE Audioの規格に従って他社のデバイスも実現する可能性は十分にあります。録音のクオリティやインターフェースの操作性など、出来映えを比べてみても楽しいと思います。例えば、Galaxyシリーズの360オーディオ録音は動画撮影を伴うので、「音だけ録れるアプリ」があってもおもしろそうです。
音楽作品のレコーディングや、旅の思い出を360度サウンドでクリッピングしたり、様々な楽しみ方に広がることを期待しましょう。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。