日本電気と東村山市は2月20日、IoTや都市OSを活用した災害時データ連携による情報収集・共有の効率化の実証実験を行なったと発表した。
両者は東京都が推進する「東京データプラットフォーム ケーススタディ事業」の一環として、災害時の情報収集・共有の効率化と迅速化を目的に、IoTや都市OSを活用した技術実証「東京データプラットフォーム(TDPF)-東村山市都市OS間のデータ連携」を2022年12月に実施。今回の実証では、「避難所の被災状況」と「災害時給水ステーションの開設状況」の2つのユースケースを実施し、災害時の情報収集・共有の効率化と迅速化を確認した。
これまで、自治体職員は災害時に限られた人手で住民対応(通報対応、応急対策、避難所運営等)を行なうとともに、避難所等の建物や給水ステーション等のインフラの稼働状況を目視で点検していた。また、関係機関への報告は電話・FAX・メール等で実施しており、早期伝達や迅速な情報連携に課題があったという。
今回の実証では、IoTセンサーにより自動で収集した被災状況等のデータを東村山市が実装する都市OS(FIWAREを活用)とTDPFに連携し、関係機関へのスムーズなデータ連携の有効性を検証。今回のTDPFと東村山市の都市OSとのデータ連携実証は、広域自治体と基礎自治体のそれぞれのデータ流通基盤を連携させる日本初の取り組みという。
実証実験では、東村山市内の避難所(市立小学校3校)に設置した傾斜計を傾けたのち、元の位置に戻すことにより地震の揺れを模擬的に再現。その上で、被災状況を電流センサーやCO2/温湿度センサーで自動検知する実証を実施した。今回、東村山市内22ヵ所の避難所のうちおよそ2割にあたる5ヵ所の建物を使用不能と仮定し、正常な建物から優先して点検を行ない、迅速かつ効率的な避難所の開設を可能とすることにより、開設までに要する時間の27%削減を見込んだ。
また、東村山市が開設作業を行なう同市内の災害時給水ステーションに、IoTセンサー(音声センサー、ドア開閉センサーなど)を設置し、給水の状況を自動で検知する実証を実施した。これまで、市職員から東京都水道局へ電話等で行なっていた開設状況等の連絡を自動化し、開設情報の連絡漏れや伝達ミスも防ぎ、報告業務フローの省略および、住民へ開設情報発信までの時間短縮効果を見込んでいる。
両者は今後、より正確かつリアルタイムに情報収集・共有できるセンサーの改良等の検討や、災害時だけではなく平時にも利用できるセンサーによるデータ連携の検討を進め、TDPFと東村山市都市OSのデータ利活用促進を目指すとしている。