CPU、GPUともに期待以上に性能は向上
前述したようにテストに用いたMacBook Proには64GBメモリ版のM2 Maxが搭載されていた。高性能コア8個、高効率コア4個と38コアGPU、2個のMedia Engineを内蔵しており、M1 Max搭載モデルの実績からすると冷却性能は十分で、このSoCの性能は100%発揮できるものと考えていいだろう。
前述したようにシステム全体の電力効率は上昇しているように見受けられるため、MacBook Pro 16インチモデルの冷却容量が不足することは考えにくい。
システムトータルのピーク性能引き上げたCPU
まずはCPU性能だが、高性能コアのピーク性能はMacBook AirのM2に比べやや向上している。GeekBench 5のシングルコアのスコアはM2 MacBook Airの1892に対し2060を記録する。SoCの最高クロック周波数は3.7GHzと計測で、MacBook Airの3.5GHzよりもピークの周波数動作が高いことが理由だが、クロック周波数の増分よりも高い性能が出ているのは、MacBook Airがファンレスの薄型ノートのためだろう。
言い換えれば(ほんの少しだろうが)冷却容量に余裕のあるM2 Mac miniでは、MacBook Airよりも良い成績が得られるはずだ。なおM1 Maxのシングルコアのスコアは1785。動作クロック周波数は3.2GHzでクロック周波数を3.7GHzに換算すると2063と、ほぼM2 Maxと同じになる。
M1の高性能コアであるFirestormとM2の高性能コアであるAbalancheは、ほぼ同じ性能といわれてきたが、計算上もそれが実証されている形だ。しかし、M1の省電力コアであるIcestormとM2の省電力コアBlizzardでは、Blizzardの方が高性能と予想される。A14とA15の比較でそうした傾向が見られるからだ。
マルチコアのスコアは14316と、M1 Maxの12197を圧倒する。もちろん、これは高効率コアが2個増え、さらにクロック周波数も上昇しているからだが、M2 Maxの数字を周波数あたりに換算してM1 Max相当にすると12381で、実はピーク性能だけで比較するとクロック周波数比+アルファ程度で、Blizzardが2個増加したほどのスコア上昇はない。
しかし、そもそも10個を超えるコアが同時に動作する状況だ。当然、局所的な熱や消費電流の上昇もある。マルチコアでのスコアが単純に掛け算とならないのは当然で、むしろピークのクロック周波数を500MHzも上昇させながら、ピーク性能をここまで引き出せていることの方を褒めるべきかもしれない。
同じくCPU性能を計測するCinebench R23のスコアはマルチコアで14680(ピーク値ではなく10分のスタビリティテスト)。対するM1 Maxは12359であり、Geekbench 5のマルチコアスコアの性能比に近似している。Cinebenchのシングルコアとマルチコアの倍率は8.61で、M1 Maxの8.08である。