HomePod(第2世代)が発表されたが、この製品についてのイメージは二分されると思う。初代モデルが発売された当初、この製品はさまざまな長所は備えていたものの、利用可能なシーンは限られ、多様なオーディオソースへの対応もできていなかった。結果として、音質が良い高価な、しかし連携するサービスが少ないスマートスピーカーでしかなかったが、アップルはその後、繰り返しHomePodファームウェアであるaudioOSをアップデート。
すでに販売されていないものの、初代HomePodは発売当時と比べて利用できる場面が大幅に増え、またステレオ再生だけではなくDolby Atmos再生にも対応、さらにはApple TVと連携することでテレビ(あるいはテレビに接続された機器)の音声も再生可能になっている。
初代モデルがアメリカなどで発売されたのが2018年だから、実に足掛け5年にわたって改良されてきたことになるが、改良はaudioOSだけではなく同時にiOS、iPad OS、macOS、tvOSにも施されており、同時にこの間、アップルはApple Musicに空間オーディオコンテンツを追加し、映像配信サービスのApple TV+を開始。トータルでオーディオ体験を高める戦略を地道に継続してきた。
実機の第2世代HomePodを使って感じるのは、こうしたオーディオ体験を改善するためにアップルが自社製品ファミリーに施してきた戦略の集大成とも言える製品になっていることだ。結果として第2世代HomePodと似た製品はあるが、厳密に比較するライバルがいない製品になっている。
3つのHomePod活用スタイル
HomePodの使い方は大きく分けて3つある。ひとつはシンプルにHomePodを1台配置するもの。この時、HomePodは1台のスピーカーでありながら、ステレオおよび空間オーディオ(Dolby Atmos)の再生にも対応する。これは円周状に配置するビームツイーターで、360度に音を出せるHomePodの設計上の特徴を利用したものだ。
もうひとつはHomePodを2台ペアリングして、1台のオーディオ機器として使う場合。ステレオおよび空間オーディオ(Dolby Atmos)の再生が可能なのは同じだが、より明瞭なステレオイメージと空間オーディオの音場再生能力が得られる。1台の価格は4万4800円、ステレオペアでは8万9600円となる。
最後に挙げておきたいのが、Apple TV 4K(第2世代モデル以降)と組み合わせて使う場合だ。Apple TV 4Kは、HomePodをスピーカー出力先として選べるだけでなく、eARCによる接続にも対応する。eARCはハイレゾやDolby Atmosなどの音声ストリームをテレビ側から送るための規格で、結果的にテレビ内のチューナやアプリ、あるいは接続されているブルーレイプレーヤーなどの音声を、HomePodから出すことが可能となる。
Apple TV 4KのWi-Fiを加えた価格は10万9400円で、上位のWiFi+Ethernetモデル(内蔵SSDも2倍の128Gバイトになる)にグレードアップしても11万3400円。この価格設定はDolby Atmosに対応するサウンドバーと競合する。