Amazon、Meta(旧Facebook)などハイテク企業の人員削減が見出しを飾る中、スマートフォン市場の苦戦も目立っている。サムスン、シャオミと上位ベンダーが発表した決算からは、苦しい実情が見えてくる。
半導体の需要動向が大きく響いたサムスン
端末事業は比較的堅調
サムスンが2022年10月末に発表した2022年第3四半期(2022年7~9月)の業績によると、売上高は76兆7800億ウォン(約8兆4500億円)、純利益は9兆1400億ウォン(約1兆円)。前年同期と比較すると売上高は3.79%増、純利益は24.16%のマイナスだった。営業利益は前年同期比31%マイナスの10兆8500億ウォン(約1兆1900億円)となった。
続いて今年に入って発表した第4四半期(2022年10~12月)の見通しでは、営業利益は前年同期比69%減の4兆3000億ウォン(約4700億円)。これは2014年第3四半期以来、8年ぶりの低さだという。売上高も前年同期比マイナス9%減を予想している。
サムスンの業績に大きなマイナス影響をもたらしているのは半導体。コロナ禍以降にサプライチェーンに乱れが生じ半導体不足になり、投資を強化したものの、今度は需要が伸び悩んでいるようだ。同期のサムスンのメモリー事業はマイナスを報告している。
スマートフォンを含むMobile eXperience事業は、「堅実な利益を上げた」と報告している。折りたたみを含むフラッグシップ製品、新しいウェアラブル製品が好調だったようだ。
Mobile eXperience事業の見通しとして、プレミアムスマートフォンの好調な売れ行きを維持し、タブレットとウェアラブルの売り上げを拡大していくとしている。一方で、「経済状況は不透明であり、収益性にフォーカスする計画」とも記している。
シャオミは幹部が相次いで退社 人員削減も実施
続いてシャオミを見てみよう。安定して世界のスマホ市場で3位の座を確保しているものの、本国の中国経済が振るわず、インド市場でも当局による資産の差し押さえ(その後、一部救済が認められる)など苦戦している。
シャオミの2022年第3四半期の売上高は701億7000万人民元(約1兆3400億円)、純利益は21億2000万人民元(約400億円)、それぞれ前年同期比9.7%、59.1%のマイナスを計上している。
スマートフォンの出荷台数は第2四半期、第3四半期と2四半期連続で増加しており、同社の「MIUI」の月間アクティブユーザー(MAU)は5億6400万人。1年で7800万人増加したと好調さをアピールしている。
一方で、幹部が続いて退任した事実や人員削減も報じられた。クアルコムから移籍して、2015年に入社したプレジデントのWang Xiang氏、共同創業者のHong Feng氏とWang Chuan氏が退任するとFinancial Times(FT)は報道。CNNでは10%の人員削減を開始したことも報じている。
Wang氏の後任は、Redmiブランドを率いてきたLu Weibing氏になる。FTが入手したという社内メモで同社CEOのLei Jun氏は、自社が難しい局面にあることを認めながら、「スムーズにバトンを渡すことができた」と記しているという。