マザーボードは同じチップセットでも幅広いラインアップで展開される。それだけユーザーニーズも細かいということの裏返しだが、それぞれのモデルにどういった差があるのか理解していないと、自分にあった製品を選ぶのも難しい。今回は、AMD B650チップセットを搭載するASUSのマザーボードを見ながら差が出るポイントを解説する。そして、それぞれクラス別のオススメモデルを紹介していこう。
3つのシリーズのコンセプトを知ろう
ASUSのマザーボードシリーズは数多く、「ROG」、「TUF Gaming」、「PRIME」、「ProArt」、「Pro Workstation」などがある。このうち、コンシューマー向けでメインとなるのはROG、TUF Gaming、PRIME。自作PCユーザーも、ほとんどがこの3つの中から選んでいるのではないだろうか。
各シリーズでターゲットとなるユーザーが異なり、もちろんデザインも異なる。当然、機能もおおよその価格帯も異なってくる。まずは各シリーズのターゲットとデザインにフォーカスして説明していこう。
ROGは「Republic of Gamers」の略としてスタートしたシリーズで、メインはゲーマーであり、その中でもパフォーマンスや拡張性を追求するユーザーがターゲットだ。デザインもROGならではの独特な世界観。ここに高性能な電源回路、先進的な機能、追加チップを用いた豊富なインターフェースなどが詰め込まれている。
つまり、ROGはハイエンド向けのシリーズで、価格帯も高価な部類になる。そしてそのハイエンド向けのROGの中にも、「STRIX」や「CROSSHAIR」、「MAXIMUS」などクラス別に異なる製品名がつけられている。
TUF GamingのTUFはTough(タフ)と同じ音で、高い耐久性を前面に打ち出し、長時間のゲームプレイでも安定したPCを求めるゲーマーに向けたシリーズだ。同じゲーミング向けのROGとはどこが違うのかと言うと、大きくは価格帯だ。
価格帯が上のROGは先進的な機能を惜しみなく盛り込むことができる。一方、TUF Gamingにはコストパフォーマンスという使命もある。コストを抑える必要からROGほどの機能は搭載されないが、一方でゲーミングの本質部分については妥協していない。デザイン的にはゲーミングで主流のブラックにシンプルなヒートシンクで「タフ」を表現している。
PRIMEは前2つのシリーズとは少し異なり、ゲーミングよりも汎用的なスタンダードマザーボードの位置づけだ。それも、最近はビジネス向けをメインターゲットとしている。「CSM」(Corporate Stable Model)として長期販売したり、「ASUS Control Center Express」というサーバーグレードの管理ソフトウェアを利用可能にしたりといったところがその理由だ。
主に想定しているのはホーム&ビジネス。安さが求められる点でデザインはTUF Gamingと比べてもよりシンプルに、ホワイトやシルバーを用いた配色になっている。ただ、このカラーが魅力でPRIMEを好むPC自作ユーザーも多い。