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ハイブリッドイベントを楽しむコツリアル会場に参加するならひたすら現地を楽しめ

サテライト会場でJAWS DAYS 2022に参加したら、勉強会の楽しみ方に改めて気づいた

2022年12月07日 07時00分更新

文● 重森大 編集●大谷イビサ

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 年に一度のJAWS-UGのお祭り「JAWS DAYS」。国内外のクラウドエンジニアが集う早春の名物イベントだが、今年は秋口開催。「JAWS DAYS 2022 - Satellites」と題して、リアルとオンラインのハイブリッドイベントとなった。サテライト会場での参加体験をライターの重森大がレポートする。

ハイブリッドって、結経妥協の末の産物なのでは

 やっぱりさ、リアルな会場で会いたいと思いませんか。でも遠距離の人にとってはオンラインで開催してくれるメリットもある。そう、みんなどっちもわかっちゃったんですよ。オフラインでリアルに会えることの素晴らしさも、オンラインで広く参加できる利便性も。

 だったらいいとこ取りすればいいんじゃない? そう考えるのは当然だよね。そうして生まれたのが、ハイブリッドイベント。リアル会場でも開催し、オンラインで配信も行なう。現地で参加したい人の思いも、遠距離で参加したい人の思いも汲んだ最強リザルト、かと思った。一度は……。

 でも、ちょっと違ったんだよね。

 現場にいる発表者と観客、それにオンラインの視聴者。温度差は大きかった。目の前の観客を重視して話をすれば、オンラインの視聴者は置いていかれる。オンラインでも楽しめるように工夫すれば、現場にいる人とはかえって距離感が生まれる。正直、演台に立つ人は大変だと思う。

 こうしたハイブリッドイベントの派生形態として、サテライト会場という仕組みが生まれた。今回のJAWS DAYS 2022で採用された方式だ(関連記事:今年のJAWS DAYS 2022はoViceと全国各地のサテライト会場でも楽しめる)。物理会場を分散させることで新型コロナウイルス感染症がまん延する危険性を避けつつ、リアル会場の楽しみ、オンラインでの楽しみを満たす方式だ。無論、この方法にもハイブリッドイベントならではの課題はある。しかし人数が少なく各会場の自由度が高いというメリットがある。今回はJAWS DAYS 2022に参加した経験を通して、サテライト会場型ハイブリッドイベントの楽しみ方を再考してみたい。

学びの効率とは違う視点で、イベントへの参加意義を考えるべきときが来た

 ある程度オンラインイベントになじんでいる読者にとっては今更だと思うが、対面で楽しめるセッションとオンラインで楽しめるセッションは違う。つくりが根本的に違うと言っていい。

 相手の反応を見ながら対話形式で進めていくセッションは、リアル会場で対面で行なう方がいいと思う。登壇者は聴衆の反応を直接見つつ進められるし、参加者も周りの雰囲気を感じながら一体感をもって楽しめる。一方、同じようなセッションをオンラインで実施すると、相手の反応が見えないので盛り上がっているのか、すべっているのかもわからないままに進めなければならない。参考になるのはTwitterのハッシュタグくらい。

 逆に一方的に語り、何かを紹介したり説明したりするセッションは、オンラインに向いている。アーカイブされていればなおいい。詳しく聞きたいところや、深く考えたい部分では一時停止したり巻き戻したりできる。いい教材として生きる。実質的なプラスを大きく得られる方式だろう。

 だがしかし。勉強会が勉強だけを目的としているわけではないということは、参加したことのある人ならわかっていることではないだろうか。そこにはコミュニティがあり、コミュニケーションがあり、相互の学びがある。登壇者から視聴者に向けた一方的な授業であれば、コミュニティに参加しなくてもいい。あえてコミュニティに参加する意味は何かと問われれば、やはり似た境遇の人達と交流し、共に学ぶことにあるはずだ。

 であれば、だ。我々は学びの効率性ではなく、コミュニティで得られる効果を最大化するように行動すべきではないのか。それがハイブリッドイベントを楽しむための評価軸であるべきだ。そう思い至り、そう思い切った筆者の1日をお伝えしたい。

サテライト会場じゃなければ得られない楽しみを優先

 2022年10月8日朝、筆者はJAWS DAYS 2022 -Satelite-のリアル会場のひとつ、浜松会場にいた。9時50分のイベント開始時に集まっていたのは、スタッフを含めて10名ほど。こじんまりした、いい人数だ。東京に大勢集まるのもいいけど、ゆったりとした地方会場の雰囲気が好きだ。

ゆったりしたスペースに十数人が着席する、余裕ある空気感がいい

 近い席の人と旧交を温めつつ、大きなスクリーンでセッションを観る。画面では、アマゾン ウェブ サービス ジャパン エバンジェリストの亀田治伸さんがしゃべっていた。「AWS Under the Hood 〜AWSを中で支えるサービス群について語る〜」というタイトルだったが、強く興味を惹かれたのは次の一節。

「最近気になっているのは、ダイバーシティについてです。女性の社会進出を支援するのは企業が果たすべき社会的責任だとか言われていますが、重要なのはそこではないと思っています。より良い労働環境を用意して、多様な人に楽しく働いてもらうのは、企業に取っては生存戦略なんです。労働者に選んでもらえる企業にならなければ、企業が存続できないからです」(亀田さん)

 なるほど、これは理にかなっている。実際、女性を初めとする多様な人を受け入れている企業には人気企業が多い。人気企業だから多様な働き方に対応する余裕があるのではなく、それを受け入れてくれる企業だから、労働者が集まり、企業も成長する。そう考えると、腑に落ちることが多い。

 肝心のサービス群についての話は、周囲がだんだん盛り上がってきてしっかり聞けなかった。筆者自身も、久しぶりにお会いした方と話をしていたり。せっかくリアル会場にいるのだから、現地でしか得られないことを優先した。この辺りで、サテライト会場にいる人とオンライン視聴している人との間に温度差が生まれるのだろうと思う。

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