ASCII Power Review 第194回
「α7RⅣ」からは3年振りのモデルチェンジです
ソニー「α7RⅤ」実機レビュー = AF専用のAIチップの威力は新次元だった!
2022年11月19日 10時00分更新
ソニーから11月25日に発売される「α7RⅤ」は、フルサイズミラーレス「α7シリーズ」の高画素モデルで、なんといってもAF用の専用AIチップを搭載したのが興味深い。
2013年に登場した初代から数えて5代目、2019年9月発売の先代「α7RⅣ」からは3年振りのモデルチェンジになるが、今まで代を重ねるごとに改良を繰り返し、特にボディー周りの操作系は着実に向上してきた。今回はどのような進化を遂げたのか注目だ。
背面液晶はマルチアングルに
メニューも最新α型に変更
パッと見ではボディーデザインに大きな違いはなく、背面の操作系も微妙な配置変更はあるものの第4世代とほぼ共通だ。
一番の進化は背面液晶の可動方式で、上方98°下方40°にくわえ、180°回転させることもできる4軸マルチアングル方式を採用した。背面液晶はチルト式とバリアングル式で好みが別れるが、合体させてしまえば誰も文句は無いだろう。
上面の操作系ではシャッターボタン後方に動画撮影ボタンを配置された。動画撮影がメインならこの位置のほうが使いやすいだろう。露出補正専用だった右肩のダイヤルは通常のコマンドダイヤルに変更。おかげで好みの各種設定を割り当てることができるようになった。モードダイヤル下部には「静止画/動画/S&Q(スローアンドクイック)」ダイヤルを新たに搭載。この辺りは2021年12月発売の「α7Ⅳ」と共通している。
メニューは2020年10月発売の「α7SⅢ」で大幅に一新した、項目ごとにタブ分けしタッチ操作も対応したタイプになった。一部項目の分類が変更されているので先代ユーザーからすると初めは戸惑うかもしれないが、慣れるとコチラのほうがスムーズに操作することができるはずだ。さらに「メイン」という項目が追加され、各種撮影情報を一覧で表示、変更ができる。
EVFは最高クラスの944万ドット
CFexpressのTypeAで最速クラスに
EVFもαシリーズのハイエンドモデル「α1」と同等の944万ドットで、現行のミラーレスのなかではトップクラスの高精細だ。
デュアルのメディアスロットは双方ともUHS-2のSDにくわえ、CFexpressTypeAにも対応。普及しつつあるCFexpressTypeBと比べるとまだ割高感はあるが、今後もαシリーズユーザーを続けるのなら、そろそろ導入を検討してもいい頃合いかもしれない。
側面端子のHDMIがフルサイズに変更されたのは動画撮影派には喜ばしい進化だろう。またシンクロ接点も変わらず搭載してくれて静止画撮影派も嬉しい。
バッテリーは2017年5月発売の「α9」以降共通の「NP-FZ100」を採用。公称の撮影可能枚数は先代の約530枚から約440枚(ともにファインダー撮影時)に減っているが、それでもフルサイズミラーレスとしては標準的なレベルだ。
また別売の縦位置グリップは今までは各世代で専 用品だったのが、今回は第4世代の「VG-C4EM」(3万6170円)が使用できる。所有している先代のユーザーには朗報だろう。
専用チップ追加でαシリーズ最高のAI-AFが実現
2億4080万画素のシフト撮影も進化
撮影機能で最も進化したのが被写体認識AFだ。従来機までは瞳AFによる被写体認識だったので、対象は人物と動物、鳥に限られていたが、本機では電車や自動車、飛行機なども認識が可能になった。 認識する対象はメニューから設定するが、任意のカスタムボタンに「認識切換設定」を割り当てれば、ボタンを押すだけで即座に切り替えることもできる。が、欲を言えば被写体問わす自動で認識してくれる機能が欲しいところだ。
また被写体の認識部位(瞳/頭/体)やトラッキングの乗り移りや維持特性など細かい設定ができる。ただ状況(被写体と背景の境界が曖昧など)やフォーカスエリア(ワイドかスポットなどで)によって認識具合は変わるので、使いこなすにはある程度の工夫が必要だ。
とはいえ、一度認識してしまえば粘り強く被写体に食い付てくれる。さすが瞳AFでトラッキングを普及させたαシリーズの最新モデルだと思わせてくれた。
画素数は先代と同じ6100万画素だが、現行のフルサイズ機では最高解像度であることには変わりない(他にはライカ「M11」とシグマ「fpL」しかない)。特に今回試用した「FE 24-70mm F2.8 GM II」や「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」のような最新レンズとの組み合わせでは、驚くほど精細感が味わえる。
16枚の画像を合成し、2億4080万画素の画像を生成する「ピクセルシフトマルチ」撮影も進化し、撮影時の被写体の動きを検出し、補正して合成することが可能になった。さすがに手持ち撮影は難しいが、草木や水面など、自然の動きがある風景写真で活躍してくれそうだ。
高感度の画質も先代と同等で、ISO6400を超えたあたりからノイズを感じ始めるが、ISO12800程度までは常用範囲だ。また高解像度だけあって拡大して見なければ常用最高感度のISO32000でも意外と許容はできる。
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