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スペクトラム社の記録破りのデジタイザが高度なFPGAベースの平均化機能を提供

Spectrum Instrumentation GmbH
2022年10月12日

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Spectrum Instrumentation GmbH
信号ノイズを低減し、分解能とダイナミクスを改善する強力なツール

デジタイザなど計測機器のメーカであるスペクトラム・インスツルメンテ-ション社(本社ドイツ・グロースハンスドルフ / 以下、スペクトラム社)は、同社の高速M5iデジタイザカード(図1)が、オンボードの加算平均化を実行できる新しいファームウェアオプションを開発しました。


平均化処理機能は、不要な信号ノイズを低減すると同時に、測定分解能、ダイナミックレンジ、および信号対雑音比(SNR)を改善するのに役立つツールです。この新しいオプションにより、M5iデジタイザは、高度なオンボードのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)技術を利用して、平均化機能を実行することができます。これにより、独自の提案が可能になります。M5iシリーズのデジタイザは、12ビットの分解能で最大6.4GS/sの速度でリアルタイムサンプリングを提供し、取得したすべてのデータを記録破りの12.8GB/sでPCIeバスを介して直接ストリーミングすることができます。この卓越した機能は、新しいファームウェアオプションによってさらに強化され、取得した信号を毎秒1,500万イベントという驚異的な速度で平均化することができます。


図1:M5i.33xxシリーズデジタイザには1チャネルと2チャネルのモデルがあり、PCIe 16レーンGen3インターフェースで最大6.4GS/sのサンプリングレート、12ビット分解能、最大12.8GB/sのデータストリーミングレートを実現しています。

スペクトラム社のテクニカルディレクターであるOliver Roviniは次のように述べています。「M5iシリーズのこの新しいオプションは、現在利用可能な最強の平均化システムのひとつです。FPGAベースの処理により、複雑で長い波形でも超高速で平均化することができます。実際、1回の取得で1Mサンプルの波形を平均するのに十分な処理能力があります。その結果、高周波信号や低レベルの非常に狭いパルス、あるいは大量のノイズのために詳細が失われている信号を扱う人にとって、魅力的な平均化パッケージとなります。適用分野は、質量分析、LiDAR、電波天文学、オートメーション、レーダー、生物医学、核物理学、通信、ソナーなどが挙げられます」


加算平均化処理機能について



図2:平均化はランダムノイズにより失われた信号を抽出する重要な手法です。また、測定分解能、ダイナミックレンジ、SNRを改善するために使用することもできます。

加算平均化処理機能は、時間領域ベースの一般的な処理手法で、信号のランダムな(相関のない)ノイズ成分を減らし、信号対雑音比(SNR)を改善すると同時に、デジタイザの測定分解能とダイナミックレンジを向上させるために使用されます。図2は、平均化によって過剰なノイズに埋もれている信号の詳細を明らかにする方法の例を示しています。

この例では、低レベルの信号(約3mV)がランダムノイズによって完全に埋もれています(上段のトレース)。元の単発の取得では信号源すら見えませんが、10回平均すると実際には5つのピークを持つ信号があることがわかります(中央のトレース)。

1,000回平均化すると、信号品質がさらに向上し、二次的な最大ピークと最小ピークを持つ実際の信号の形状が明らかになります(下段のトレース)。

理想的には、信号とノイズが相関していない場合、つまり、ノイズがランダムである一方で信号が反復的である場合、加算平均化関数は測定(または平均化)回数の平方根に比例してSNRを改善させることができます。たとえば、信号を256回平均化すると、SNRが24dBも改善される、或いは、測定分解能が約4ビット向上する可能性があるのです。このように、この手法を用いることで、M5iシリーズデジタイザの12ビット分解能を改善し拡張することができます。


組込みのしきい値定義平均化処理機能(TDA)

新しいファームウェアオプションには、平均化処理機能をさらに強化し、M5iシリーズデジタイザが過剰なバックグラウンドノイズに埋もれる稀なイベントを検出して平均化できるようにするために、しきい値定義平均化処理機能(TDA)と呼ばれるデータ抑制手法が組み込まれています。TDAにより、ユーザーはしきい値レベルを設定し、そのレベルを超える波形サンプルだけが加算波形に寄与するようにすることができます。設定されたレベルを下回るベースラインノイズサンプルは0に設定するか、ユーザー定義の値に設定することによって抑制されます。図3はFPGA機能のブロック図を、図4はTDA処理の概略図を示しています。

しきい値を下回る波形データは、平均化された波形から削除されるため、TDAは、低レベルの相関(同期)ノイズや、ベースラインドリフトのような他の波形要素を除去するための極めて有効なツールになります。これらは、従来の加算平均化処理では除去できない信号異常です。
平均化オプション(M5i.33xx-spavg)は、PCIe高速デジタイザのM5i.33xxシリーズで現在利用可能です。


図3:蓄積機能とTDA機能は、いずれもカードのオンボードFPGAによって、デジタイザADCから送られてくるリアルタイムデータに対して実行されます。


図4:TDA処理では、設定されたしきい値以下のサンプルをすべてゼロまたは事前定義された値に置き換えることで、ノイズを抑制します。

スペクトラム・インスツルメンテーション社(Spectrum Instrumentation)について
1989年に創業したスペクトラム社(CEO 兼 創業者Gisela Hassler)は、モジュラー設計を利用することでデジタイザ製品および波形発生器製品をPCカード(PCIeおよびPXIe)やスタンドアローンのEthernetユニット(LXI)として幅広く生み出しています。スペクトラム社は30年間に、トップブランドの業界リーダーやほとんどすべての一流大学を含む、世界中のお客様に製品をご利用いただいています。当社はドイツのハンブルク近郊に本社を構えており、5年保証と設計エンジニアやローカルパートナーによる優れたサポートを提供しております。スペクトラム社の詳細については、https://www.spectrum-instrumentation.com/ をご確認ください。

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